6月の着物指導士試験に向けて絶賛練習中です。
(振袖を20分で着付けなくてはいけない)
本当は毎日着物を着て、身体にその感覚を覚えさせたいくらいですが、中々そうも出来ず...
そんな時はイメージトレーニングをしたり、この映画の松たか子さんや黒木華ちゃんの着姿を拝見して気持ちを奮い立たせております。
さて、この映画は戦前の東京山の手にある「小さいおうち」での暮らしぶりや当時の社会状況を、晩年のタキ(倍賞千恵子)の目線で語られていくヒューマンストーリーです。
戦争の足音が聞こえはじめている昭和11年。山形の貧しい家で育ったタキちゃん(黒木華)は昭和レトロモダンな赤い屋根の小さいおうちで女中さんとして働き始めますが、ある日奥様の秘密を知ってしまったことで、その良心の呵責に何十年もの間苦しみながら生きていきていきます...
この映画の中で主演の松たか子さんの美しさと貞操さの中に潜む魔性の演技に惹きつけられました。
その一つが着付けのシーンなのですが、普段からお着物を着なれた方なので、一連の所作がとにかく美しい!特に帯締めを口に挟む仕草の艶っぽいことよ。それは帯を解く時も然り。博多帯のキュッキュッという音がなんとも言えません。
奥様の秘密を知ってしまったタキちゃんの行動は、正しい判断だとは思いますが、彼女自身は大きな十字架を一生背負って生きてきたんだなあ...と。タキちゃんお疲れ様と言いたいです。
しかし、ラスト、米倉斉加年さんとタキちゃんの孫役の妻夫木聡さんのやり取りで、幾分救われました。バートンの絵本『小さいおうち』の使われ方も良かったですね。
大好きな昭和レトロモダンなインテリアにそして着物(明仙)。
その細かな描写や繊細な動きに感銘と共感を受け、印象に残っている映画のひとつです。
2014年公開、山田洋次監督作品。