人々の生活のなかに欠かせない社会福祉。

福祉とは「しあわせ」「豊かさ」を意味する言葉であります。

今から1429年前に社会福祉の場が生まれました。

愛染堂勝鬘院(あいぜんどうしょうまんいん)天王寺区夕陽丘町

推古天皇元年(593年)聖徳太子は『敬田院』『施薬院』『療病院』『悲田院』からなる四天王寺を建立。

そのなかの『施薬院』は、あらゆる薬草を植え、病に応じてあまねく人々に与えられるようにと、現在の愛染堂の場所に建立されました。

金堂(大阪府の指定文化財)

朱塗りの金堂は推古天皇元年(593)に聖徳太子が創建。

その後、織田信長による大坂石山寺攻めの時に消失しましたが、徳川幕府二代将軍の徳川秀忠によって再建されました。

多宝塔(国の重要文化財/旧国宝)

金堂の後方に建つ多宝塔は、推古天皇元年(593)に聖徳太子が創建。

織田信長の大坂石山寺攻めの際に消失しましたが、慶長2年(1597)に豊臣秀吉によって再建され、大阪市最古の木造建築物として、国の重要文化財に指定されています。

多宝塔の蛙股(かえるまた)扉の上部にある屋根との付け根付近には、十二支の彫刻が施されていますので、近くに寄ると見えます。

腰痛封じの石

愛染さんへ訪れると必ず座るのが、この腰痛封じの石です。

お尻を引いて石の突起に腰のツボを当て、ゆっくり深呼吸を数回繰り返すと腰の重い感じが軽くなる気持ちになります。

愛染めの霊水

絶えず湧き出る愛染めの霊水を飲むと、愛敬を授かり開運・夫婦和合・良縁成就・安産・出世・商売繁盛思いのままといわれています。

また、この霊水で染物をすると色よく染まるということで、染物屋さんの信仰が厚く「賑わしや愛染詣での紺屋づれ」と詩に詠われるほどでありました。

 

愛染かつら(左側)と藥医門(右側)

 

藥医門(やくいもん)は聖徳太子が愛染堂を建立したとき、この場所が施薬院だったこともあり、薬と医療の場であったことに由来しています。

 

愛染かつら

愛染堂の藥医門をくぐって右側奥に、樹齢数百年になる「愛染かつらの木」があります。巨大な桂の木にノウゼンカズラのツルが巻きつき、桂とカズラが一体となっている姿が、男女仲良く寄り添っているように見えます。

その姿からカップルの縁を取り持ってくれる「恋愛成就・夫婦和合の霊木」として、数百年のあいだ親しまれています。

皐月の季節に入り新緑の美しさを感じながら、愛染さんのパワーを授かってみてはいかがでしょうか。