アンソニー・ジョシュア vs ディリアン・ホワイト  -  試合動画 | R I N G C H E C K !

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打撃系格闘技の練習や試合についてのブログでしたが、
現在は海外ボクシングとムエタイの記事が中心です。
知り合い・近親者向けに書いています。





昨年末、追い込みや大会と重なってしまい

リアルタイムで見れなかったビッグマッチ達。

一ヶ月遅れで一気に観ています。

少しずつレビューしていきます。

まずは この超獣対決!!










ロンドン五輪金メダリストにして全勝全試合3R以内にKO

198㎝112㎏の筋骨隆々とした体格でありながら

中量級のスピードある選手に引けを取らない速さと巧さ

パンチの破壊力を持つアンソニー・ジョシュア。

誰もが認める新世代ヘビー級スーパースターですね。



→ アンソニー・ジョシュアの全KOシーン動画集



対するは、キック出身のボクサーの中では かなりのプロスペクトなのに

アルジェリみたいな知名度は一切無い ^ ディリアン・ホワイト。

個人的にはキックボクサーの方々には是非注目して欲しい選手です。

イギリス国籍ですが ジャマイカンであり

キック時代から高速の左右ハイキックと

鋭いパンチコンビネーションを持ち併せ

ヘビー級としては信じられないほどの

ハイセンス且つスピード感に溢れた選手でした。

( K-1ヘビー級全盛期の頃に活躍していたなら

確実に世界王座を取れていたと思います )

ボクシング転向後も 16戦全勝13KOのパーフェクトレコードでここまで来ています。

( 途中ドーピング問題?での謹慎期間等はあったが … )

無敗対決となった今回のヘビー級超獣対決ですが、

アマチュア時代にはディリアン・ホワイトがアンソニー・ジョシュアに勝っています!

アンソニー・ジョシュアにとってはリベンジの意味合いもあり、

彼にとっても特別な試合であった事は間違いないと思います。




▼ アンソニー・ジョシュア vs ディリアン・ホワイト






蓋を開けてみれば、現在のジョシュアとホワイトには、

圧倒的なフィジカル差がありました …

体付きだけでなくフレームを見ても二階級差くらいに感じます。

ホワイト得意のブロッキングした瞬間に合わせるカウンター、

タイミング自体は合っているのですが、

ジョシュアのパンチが強すぎてカウンターを打つ前に

ブロッキングごと吹っ飛ばされてしまいます。

初回終了時にはゴング後のパンチに切れたホワイトの暴挙 ( ! ) で

暴動寸前になる場面もありましたが、コーナーに戻ったジョシュアは冷静。

2Rもジョシュアは距離感を保ったまま強打を狙い打ちます。

ホワイトもスピード溢れるリターンを返し、

ヘビー級とは思えないほどのスピード溢れる高度な駆け引き。

中盤 ジョシュアの右打ち終わりにホワイトが左フックのカウンター、

これがクリーンヒットし、ジョシュアが一瞬平衡感覚を失うピンチ!

初めて見せるジョシュアの危ういシーンでしたが、

大きく振って襲い掛かるホワイトに対しジャブで距離を取り凌ぐジョシュア。

3Rに入るとホワイトが徐々にコンビネーションの種類を増やし

ボディジャブからの右ストレート、右フックから左ボディブローと

上下の揺さ振りを掛ける。ジョシュアは中間距離からジャブとワンツーに終始。

ジョシュア、プロキャリア初の4Rに入ると、セコンドに気合を入れ直されたか、

本来の強打で再び前に出てくる。 ホワイトもカウンターで迎え撃つ。

お互い強打を出しながら打ち終わりのカウンターも狙っているので、

本当に見応えがあります。 しかしながら、フィジカル差は如実で

見栄えの良いパンチは圧倒的にジョシュアであり、削られているのはホワイト。

5R 徐々にバックギアに入れながらカウンタータイミングを測るホワイトは

右クロスをジョシュアにクリーンヒットさせるも、ジョシュアは動じず … 。

ホワイトも高いクレバネスを持ってビハインドを覆す為の駆け引きを仕掛けながら

ボクシングをしているのですが、フィジカル差を生かしたジョシュアの強打に

いよいよ削り取られてきました。 

… そして運命の7R …

ジャブに合わせたジョシュアの右フックがホワイトのテンプルにクリーンヒット!

明らかに平衡感覚を失ったホワイトにジョシュアの強打が襲い掛かる。

右フック連打でガードをサイドに集めて、ラストは下から強烈な右アッパー!!

完全失神するホワイト … ジョシュアは初めて3Rを超える苦戦となりましたが

全勝全KOを守り切りました。



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ルックスもボクシングスタイルもスターそのもののジョシュアですが、

この試合で初めて見えた弱点も幾つかありました。

まずシンプルなパンチを強く速く打つ事には長けていますが、

ホワイトに初回からカウンタータイミングを掴まれてしまうほど

中間距離でのパンチコンビネーションに幅・種類が乏しい。

加えてフットワークに関して狭い歩幅での前後のグライディングしかない。

左右の動きが極端に少ないだけでなく、サークリングやピボットもない。

前後のグライディングしかないので、サイドプレスも掛けられず、

ホワイトがバックギアを使い出してからの追い方も上手くはなかった。

中間距離で良い強打が当たるまで同じペースで打ち続けて、

当たったら詰める、というスタイルでこれまでも圧倒してきているので、

これ以上ボクシングを広げずともヘビー級のスーパースターにはなれるのでしょうが

歴史に残るような存在を目指すのであれば、

まだまだ改善すべき点のある選手、という私見も持ちました。

無意味な 「 たられば 」 言いますが、

ホワイトとは、フィジカル差が縮まれば分からない勝負だと思います。



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ジョシュアがスタイルに付加するべき所作として

見習うべきは フェリックス・サボン のボクシング。

云わずと知れたキューバ伝説のアマチュアヘビー級王者、

バルセロナ五輪、アテネ五輪、シドニー五輪と、

3大会連続でオリンピック金メダルを取った英雄です。








90年代 … 誰もが思った … 彼がプロに転向していたら …

その夢を具現化してくれたのがロンドン五輪金メダリストにして、

サボンと全く同じ198㎝の体躯を誇るジョシュアなんです ( あくまで個人的意見 ^ )

パンチは両者全く引けを取らないくらいの凄まじい物を持っています。

そこにプラスしてジョシュアにサボンのようなボクシング幅と、

相手のペースチェンジに対応する為のアジリティがあったら …

サボンのような縦横無尽のフットワークと

アウトボックスからのスナイプ/ハンティング能力があったら …

おそらくこの世にジョシュアの敵はいなくなるでしょう。



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それにしても フューリー、 ワイルダー、 ジョシュア …

キャラもスタイルも違う怪物達が跋扈する頂上付近 …

ヘビー級の頂上争い、 面白くなりますね。