Dragon Night からの続き
永遠にも思える息子を巡った高葛藤の日々ですが、実際には永遠ではない。
やがて必ず終わりが来るのはわかっている。
つまり、「息子が大人になる」ということです。
子供が大人になり、親権など関係なくなり、自分の意思がハッキリすれば、親が揉めていることなど何の意味もなくなる。
しかしそうなるころには、親子の間の失われた時間を取り戻すのは、至難の業となっていることがほとんどではないでしょうか。
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僕の知り合いに、妻の浮気から離婚に至った人がいました。
非常に忙しい仕事についていて、あまりの激務に身体を壊して手術となり、手術後自宅で療養していた時に、妻の不倫に気づいてしまったんだそうです。
妻子のために身体を壊すまで働いていた彼にとって、その裏切りはやはり耐え難いものでした。
息子のことは心から愛していたが、不倫を責めても不倫脳になっていて、反省のない訳の分からない受け答えをする妻に対し、離婚を選ばざるを得なかった。
離婚当時、息子は5歳。かわいい盛りでした。
それでも彼は、幼い子供には母親が必要というセオリーを信じた。
そして親権を主張した妻に、息子の親権を渡したのです。
その後彼は、とても同じ会社でこれまでと同じように働き続ける気力が沸いてこず、仕事を辞め、家を売り、実家に戻りました。
ご両親は全てを失くして実家に帰ってきた30半ばの彼を、何も言わずに受け入れてくれたそうです。
しばらく茫然自失だった彼ですが、息子に養育費を送らなければいけない。
息子には両親の離婚の責任など全くない。息子に不自由させるわけにはいかない。
彼は立ち上がり、息子に養育費を送るために再び忙しく働き始めました。
そしてもちろん、子供に会いたいと元妻に申し入れた。
それでも元妻は、それを徹底的に拒否。
こうしてその人は、10年以上息子のために、ただ黙って養育費を払い続けたのです。
10年経ったある日、息子が高校生になったころ、突然元妻から連絡があった。
「塾に行くのにお金が足りない。養育費を増やしてほしい。息子に会わせてやる」
知人は半ば驚きながらも、養育費の増額に同意し、高校生になっていた息子に会いに行った。
息子の方が驚いたかもしれない。
5歳で別れてそれっきりでは、父の記憶などほとんどないはずだ。
10年ぶりの息子との再会を果たした知人は、息子に今の暮らしぶりについて尋ねた。
すると、息子がほぼ祖父母の家に預けられたまま育ち、母親はずっと離れて暮らしていた(不倫していた相手とはまた違う相手と一緒だったようだ)と知らされた。
なぜ育てられないのなら、自分に連絡してこなかったのだろう。
そもそも、最初から親権など欲しがらなければよかったのに。
何度子供に会いたいと申し入れても徹底的に拒否しておいて、ずっと祖父母に預けっぱなしとはどういうつもりなんだ。
元妻に対し、こみ上げる怒りを必死で抑えながら、知人は息子に、
「今からでもいいから、父さんと住むか?」
と尋ねた。
息子はそれを断り、北海道の大学に行って酪農を勉強したいと答えた。
社会を知っている父親として、息子の進路にアドバイスしたい気持ちもあった。
しかし、息子にこう言われて、知人は何も言えなくなった。
「できるだけここから遠くに行きたい」
そして息子は言葉通り、北海道の大学に進学した。
東京から、母から、父から、祖父母から、全てから離れて、できる限り遠くで、一人になった。
知人は息子が北海道に旅立つとき、500万積んだ息子名義の貯金通帳を渡した。
それっきり、息子から連絡は来ていない。
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あの時こうしていれば、ああしていれば、というのは簡単だ。
しかし、厳然たる事実として、失われた時間は戻らない。
こういう親子の姿というのは、悲しすぎると僕は思う。
なぜ有責配偶者であっても母親だからと親権を与え、その後、こちらが我が子の確認を何もできないような状況を当たり前にしてしまうのか。
ずっと祖父母に預けられっぱなしで母親不在で育って、それが不幸とは言わないが(男関係にだらしない母親の元で育つより、安定した祖父母宅の方が幸せかもしれない)、父親がずっと会っていたら、もっと違った展開、違った未来があったのではないだろうか。
僕はカイトの手の届く位置にいて、カイトを守れる存在でいたい。
自分の意思で未来を決められるようになったときに、
「今までの全てからできるだけ遠くに行きたい」
という理由で子供に進路を決めさせるのは悲しい。
まだやれることはあるはずだと思いたい。
というわけで、数日間、最近の諸々にお付き合いいただきありがとうございました。
また何か進展があれば書きたいと思いますが、そろそろ過去の話に戻って、次回からしばらく、面会交流の申立の話に戻りたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします!
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