子の国際的連れ去り実例⑤ That's karma. からの続き

 

 

2回表の攻撃になるはずが、突然主審が立ち上がり、自らピッチャーマウンドに駆け寄るようなイレギュラーな展開を見せたナミさんの裁判。

 

 

とにかく、元旦那は裁判官に言われた通り、改めて宣誓を行った後、促されて着席した。

 

 

「それじゃ、聞くけど、君は日本から子供を連れてくるとき、元奥さんに帰らない可能性を話した?」

 

「いえ、話しませんでした」

 

「なんて言って子供たちを連れて来たの?」

 

「休暇だと」

 

「それはなぜ?」

 

「日本で弁護士に相談したら、日本の親権のシステムには問題があって、一回母親に子供を取られたら、父親はもう子供に会えないし取り戻せないから、黙ってアメリカに連れて行った方がいいって言われたから・・・」

 

 

 

(ええええええええええええええ!)(原告側一同の心の声)

 

 

 

無言だが激しく動揺する原告側をよそに、表情一つ変えることなくブラウン裁判官は質問を続けた。

 

 

「なるほど。それで元奥さんに何も言わなかったんだね。

それまでにも、アメリカに帰国する可能性や、仕事が転勤になる可能性を話したことは全くなかったの?」

 

「はい」

 

「話そうとは思わなかったの?」

 

「思いませんでした。日本はそういう国だと言われたので、子供を守るために仕方ないと思いました」

 

 

ここでおばちゃん先生がブチキレた。

 

 

「は??? 子供を守る??

裁判官、被告の言っている意味がわかりません! 抗議します!ムキー

 

抗議は認めません。私には彼の言っている意味がよくわかった真顔

 

 

と、裁判官。

 


これでわかったって、どういうことおおおおお!!

 

 

無言だが、原告側一同心の中で絶叫&動揺。

 

 

え、ちょっと、おばちゃん、この人、名裁判官って言われてるんだよね? 

ホントだよね?滝汗

 

 

 

原告側の動揺をものともせず、裁判官は表情を変えることなく、続いて、くるりとナミさんに顔を向けた。

 


「あなたは今、日本から裁判のためだけに来ているんだよね? いつ日本に帰るの?」

 

「3日後です」

 

「そう。それだけあれば十分。

 

それじゃ、原告の申立を認める。

 

2日で用意して、子供を子供の居住地であり、管轄権を持つ日本に即時返還することを命ずる。

 

被告は明後日の夕方6時までに、原告が滞在しているホテルまで子供に帰国の準備をさせて連れてきて、原告に子供たちを引き渡すこと。

原告は子供が帰国するための飛行機のチケットを大至急手配すること。

 

いずれの当事者に対しても、この判決に逆らういかなる行為を行った場合は、行政機関の出動(要するに警察)を含む、即時強制執行を認めるので、各自厳守するように。

 

以上。閉廷(ゲームセット)」

 

 

 

( ゚д゚)ポカーン

 

 

え?

 


今、何が起こった???

 

 

200ページの裁判資料、一回も開かれてもいないんだけど。

 

 

 

え、もう判決なの?

 

 

 

 

 

・・・・こうして、所要時間わずか15分で、試合は突然終了した。

 

 

 

 

 

 

↓よろしければクリックお願いします!


にほんブログ村


人気ブログランキングへ

子の国際的連れ去り実例④ 諦めるのは早い。 からの続き

 

 

というわけで、もうこの人でダメなら無理だろう、とおばちゃん先生が言っていたベテラン裁判官の審理で裁判ができることになったナミさん。

 


審理を待っている間、おばちゃん先生(中国系)はナミさんに言った。

 


「ナミ、私はあなたはとてもいい人だと思う。

どう考えても、元旦那がひどいことをしたよ。

 

でもね、それを法律もそう認めてくれるわけじゃない。

 

ブラウン裁判官は根性ある判決出す人だから可能性はあるし、私も全く諦めてはいない。

でも、8カ月も子供がこっちで学校に通って生活していて、相手も定職に就き、子供の親権をもって安定した生活を送らせていたら、その安定した生活を崩してまで子供を日本に戻せ、と裁判官が言う可能性は高くない。普通は返さないよ。

 

でもそれはカルマ

誰もカルマある。

悪いことした人、いいことした人、みんなカルマある。

 

子供にもカルマある。

もし日本に帰れなかったら、それは子供のカルマ。

それは受け入れなければいけない。

 

でもね、私長いこと弁護士してきていろんなタチの悪い人見てるよ。

 

悪人はみんな悪人のカルマで最後は終わる。それだけは言えるよ」

 

 

誰にも言っていなかったが、ナミさんはこの裁判に負けて子供を取られたら、元旦那を呪いながら命を絶とうと考えていた。

 

おばちゃん先生はそこまで考えて言っているのかな、と思いつつ、ナミさんは軽くうなずいて、「ありがとうニヤリ」と言った。

 

 

おばちゃん先生も優しいいい人だ。きっとここはGood karma(いいカルマ)キラキラだ。

 


できることはすべてやったんだ。あとは名奉行、カモン!

 

 

-----------------------------------------


というわけで、時間が来て呼ばれ、法廷に入廷。


訴えたらとりあえず調停に回される日本と違い、アメリカはいきなり裁判官が出てくる裁判だ(しかし、裁判官を指名することはできないし、当日行って誰が審理するのかやっとわかるシステムは、日本と変わりないかな)。


裁判官の入廷と共に一同起立して、本法廷で絶対にウソの証言を行わない宣誓を行い、着席。


ブラウン裁判官は無表情に席に座った。

 

アメリカの裁判ではお互いものすごい量の資料や書類を出しまくるので、ブラウン裁判官の前には、ざっと200ページはあるだろうという量の分厚い資料が山積みとなっていた。

 

「もし一つ一つの証拠を検証したりすると、かなり時間かかるね。3時間は見た方がいいよ」と、始まる前におばちゃん先生は言っていた。

 

 

まあ、野球一試合分か・・・

 

 

 

こうして開廷(プレーボール)。

 


まずは初回表、原告側のおばちゃん先生が、これまでの経緯の概要を口頭で説明。

 

そして初回裏、連れ去り元旦那側の弁護士の反論。

 

元旦那は親権者であり、転勤に伴って普通にアメリカに引っ越してきただけで、元妻と子供の面会も拒否しておらず、何の問題もない。

親権者が子供を返す必要はない。

欲しければ日本の裁判所からの子供の返還命令をもってこいニヒヒ(絶対出ないとわかっていてそう言っている)等々。

 

 

前々からの準備を積み重ねた、完全な確信犯だ・・・。隙がないゲロー

 


こうして一通りの説明を聞き終えたブラウン裁判官は、2回表、証拠の説明に入ろうとするおばちゃん先生を手で制し、突然連れ去り元旦那に向かって言った。

 

 

「君、ちょっと立って」

 

「?」

 

 

怪訝な顔をして立ち上がる元旦那。

 

 

「じゃ、手を胸に当てて、もう一回言ってくれるかな。『この場では絶対に嘘の証言を行いません。もし噓の証言を行った場合は、法廷侮辱罪として有罪になることも了解しました』」

 

 

元旦那は言われた通り、手を胸に当ててブラウン裁判官の言葉を繰り返した。

 

 

 

↓よろしければクリックお願いします!


にほんブログ村


人気ブログランキングへ

子の国際的連れ去り実例③ タイムリミットは半年 からの続き

 

 

あまりこの話ばかりで引っ張りたくないので、細かなところは割愛しつつも、今後に繋がることがあるポイントは外したくないDragonです。今日も続き行きます!

 

 

---------------------------

 

 

おばちゃん先生(中国系)は炎のように一瞬怒ったムキーが、その後急に鎮火真顔してその決定を受け入れた。

 

 

「よく考えたら、彼女に根性ある判決は無理ね~。

無理に今日判決出せってぎゃーぎゃー言ったら、子供置いて帰れ、って言われるだけ。

そんなら保留で判決出されない方がマシ

新人の彼女なりに、ベストを尽くしたってことね(あたし、彼女の必死の空気読んだよ!)」

 

 

なるほど・・・。

 

 

というわけで、「この戸籍謄本は日本の役所が出した本物の証明書ですよ」という認証(アポスティーユ)をもらい、裁判所に書類を再提出。

 

 

再度スケジュールを決めたところ、審理は2カ月後に。

 

 

 

・・・空気は読んでも、これじゃ8カ月になっちゃう。チーン

 

 

子供を取り戻す目安と言われた半年を経過した後に審理されたところで、勝つ見込みは少ないのはわかっている。

 

 

 

ナミさんは泣きたい気持ちでしたが、とりあえず無理やり笑顔を作って、滞在していたホテルまで面会交流に来た子供たちを出迎えました。

 

 

アメリカでは裁判所で離婚時に決められた監護権がすべてですし、お父さんだろうがお母さんだろうが特に有利に考えられることはありません。

 

 

子供たちと食事をするために、エレベーターに乗り、ロビーに向かっている間ナミさんは、あと何回子供たちと会えるんだろう、と悲観的な気持ちになっていました。

 

 

そこに、エレベーターに乗り合わせた初老の白人女性が、息子さんに声をかけてきました。

 

 

「みんな、この町に住んでるの? 旅行?ニヤリ

 

 

すると、声をかけられた長男(当時9歳)がビクッと顔を上げ、

 

 

旅行だよ! 住んでるのは日本!!」

 

 

と即答したのです。

 

 


まだ諦めちゃダメだ―――!

 

 


ナミさんは、はっ!としました。

 


当時9歳の長男は、父親から何を言われても、絶対に日本に帰るという気持ちを変えていませんでした。

 

しかし、当時6歳だった次男は、父親の話を単純に信じて、もう日本には帰れない、ここで暮らしたら犬を買ってもらえるって約束したし、パパに文句を言わない自分はいい子で、お兄ちゃんは悪い子、と信じていました(母親にも、「パパがダメっていうから帰れないし、帰りたくない」と言っていました)。

 

 

そういうところからも、ナミさんは、

 

「次男は状況を受け入れてなじみ始めている。闘い続けることに意味があるのだろうか。

もうこれを受け入れて、離れて生きていくのが子供のためなのか・・・」

 

と思い始めてもいました。


しかし、この時の長男の言葉で、まだ諦めてはいけない、とナミさんは思いなおしました。

 

 

嘘をついて連れ去られた後に、日本に帰りたいというからワガママな悪い子で、おとなしくパパの言うことを聞いているといい子で、ご褒美がもらえる。

 

少なくとも、子供自身はそう思っている。

 

 

こんなことを許したら、長男のためにも、次男のためにもダメだ。

 

例え1%でもチャンスがあるならやるしかない。

 

 

 

 

こうして2カ月後、連れ去られてから8カ月で、ナミさんは再び裁判所を訪れました。

 


おばちゃん先生が晴れやかな顔で現れました。

 


「ふふっ、私たち、今日はツイてるよ。
ベテランのブラウン裁判官ね。


あの人はいい裁判してくれることで有名よ。期待できる爆  笑

 

 

 

ベテラン名裁判官は、果たしてどんな裁判をするのか?

 

 

↓よろしければクリックお願いします!


にほんブログ村


人気ブログランキングへ