今週も本を読み上げました。
読んだ本は久々に歴史ものを読みたくなり「司馬遼太郎」の「幕末」です。

 


本書の「あとがき」の冒頭には、「暗殺者だけは、きらいだ」とある。
その「司馬遼太郎」が幕末の暗殺者たちを描いたのが、この連作短編集である。
幕末の天誅事件は文久元年から慶応3年までの7年間で、
文久元年~3年 (1861~63) 97件
元治元年    (1864)     38件
慶応元年~3年 (1865~67) 26件
合計161件であるらしい。
「司馬遼太郎」による暗殺者の定義は、

「何等かの暗示、または警告を発せず、突如襲撃し、または偽計を用いて他人を殺害する者」

ということになる。
彼はそのような暗殺者を「人間のかざかみにもおけぬ」という。
この短編集が単行本として刊行された1963年というと、
「竜馬がゆく」や「燃えよ剣」を連載していた時期と重なる。
本書には坂本龍馬や土方歳三のような「幕末」のメインキャラにはなり得ない、
どちらかと言えば無名の連中が次々と登場する。
ここで取り上げられた暗殺事件のほとんどは歴史の「奇形的産物」に過ぎない。
しかしながら、これもまた「幕末」の一側面なのである。
その中でただ一つ、例外的に「歴史を躍進させた」暗殺事件がある。
それが冒頭を飾る「桜田門外の変」だと思う。
作者の「司馬遼太郎」は「井伊直弼」を全く評価してない作家で、
物語の中でもそんな記述が沢山在ります。
それ以外の物語は読み物としては面白かった。