本を読み上げました。
読んだのは「黒木亮」の「鉄のあけぼの」です。 
最近、鉄の話を専門家に聴く機会が在り興味を持ってました。
そこに、日本製鉄(旧新日鐵住金株式会社)がUSスチールを買収すると云うニュースが流れました。
そんな理由から読んで観たいと思いました。
この本は川崎製鉄(現JFEスチール)創設者である「西山弥太郎」を主人公とした小説です。
西山弥太郎(1893~1966)はあまり知られていません。

 


同時期に活動した「松下幸之助」、「本田宗一郎」、「盛田昭夫」よりも名前は知られていません。
それは創業者では無かったからかも知れません、しかしながら、貢献度は引けを取らない。
創業者と創設者の違いは英語で云うと創業者(Founder)、創設者(Co-founder)です。
頭にCoが付いてますから、複数で行う。
簡単に言えば、創業者は企業を始めた最初の人であり、
創設者はその他の創業メンバーと共同で企業を設立した人たちを指します。
どちらの用語も、企業の歴史や文脈によって微妙な違いがあるかもしれませんが、
通常はこのように使われます。

高炉で生産された銑鉄は、硬くて脆く、加工性に欠けるため、炭素、燐、硫黄、珪素等の不純物を
可能な限り取り除き、しなやかで粘りのある鋼にする。
これを「製鋼」と呼びます。
そもそも自然界に純粋な鉄は存在してない。
すぐに酸化するので酸化鉄として存在する。
技術的に難しいのは、その酸化鉄を還元して、酸素を取り除くこと。
方法は、高温で一酸化炭素と一緒に焼く。
そうすると銑鉄(せんてつ)ができる。
その銑鉄に含まれる不純物を高温で酸素と一緒に焼き、不純物を酸化させて取り除く。
こうして0.3%~2%の炭素を含んだ鉄合金である鋼(steel)ができる。
戦前の日本では質のいい鉄が出来ませんでした。
その結果、大型船舶は電気溶接が出来なかった。
戦艦大和が沈んた原因の一つとして装甲板の鋲が衝撃で外れた事が在ります。
電気溶接で在ればもっと強力な防御が出来たと云われてます。

さて、本の感想ですが、「黒木亮」にしては淡々と事実に基づいて書いてます。
「吉村昭」の本かと思うほど淡々としてます。
その中で「西山弥太郎」の鉄への想いが伝わってきます。
現在、生産量では中国、インドに抜かれ世界3位ですが、盛り返して欲しものです。
因みに中国は日本の10倍以上の生産量になってます。