今週も本を読み上げました。
読んだ作品は「吉村昭」の「磔」です。
この本は、短編集で「磔」、「三色旗」、「コロリ」、「動く牙」、「洋船建造」の5編が収録されてます。

あとがきに寄せているように、この「磔」が彼にとって、初めての歴史小説であったことです。
これ以降に彼は、多くの記録文学を連ねた長編に移るターニングポイントなんです。
「磔」は豊臣秀吉の命令によって長崎で磔の刑に処された26人のカトリック信者が
京から長崎まで移送され処刑されるまでの物語です。
この物語も好かったのですが、読みたかったのは「三色旗」と「洋船建造」です。



「三色旗」はフェートン号事件を書いたモノです。
実はオランダと云う国はフランス革命時代にフランスに占領され国家が植民地化されました。
しかしながら、一部の人間はイギリスに逃れ亡命政権になりました。
この状態は第2次世界大戦時のフランスと同じです。
ナチスドイツに占領されたフランス政府とは別にイギリスに逃れたた自由フランス政府の様な状態です。
日本に残ったオランダの出先機関は植民地支配を受けた事を江戸幕府に知らせずにいました。
そんなさなかにフェートン号事件はイギリス政府が出島を管理する植民地政府に圧力を掛ける目的で来たんです。
この背景に沿って記録文章の様に書かれています。

「洋船建造」はロシアから来た「プチャーチン」が載って来た船が難破して、
日本で本格的な洋船を建造して帰国するまでの経過が書かれています。
プーチン政権になる前には建造した現地には子孫達の交流が在ったそうです。

この2つの物語を読んで観たいと思ってました。
なかなかいい物語でした。