今週も本を読み上げました。
読んだのは「楡周平」の「鉄の楽園」です。
「鉄」と云うので製鉄所に関連する経済小説かと思ったのですが、
全く異なってました。

 


「鉄」とは「撮り鉄」、「載り鉄」等の「鉄道」の話です。
主人公は大きく3人、
四葉商事で鉄道の売込を担当している人間、
経産省のキャリアで在るが鉄道オタク女性、
鉄道オタクのR国の財閥の御曹司
で、この3人が中心に鉄道に関する問題を解決していく。

 


四葉と海東の想いは合致し、経産省を巻き込んだ世界初・鉄道専門大学の実現に向け奔走するのだが……。
鉄道産業を予見する、痛快経済エンタメの小説になってます。
でも、作者が一番訴えたかった事は、「誰のために仕事をしているか」ではないかと感じました。

自分たちの事業や仕事は誰のためにやっているかを考えさせられました。
小説のストーリーでは東南アジアの R 国のインフラ支援のために、
自分たちのビジネスからの収益、省庁の実績を上げるためが当初でした。
しかし小説ではその後に、主人公たちは 「R 国のために」 の解像度を上げていきました。
誰のためかの対象を直接やり取りしている R 国の政府、富裕層だけではなく、
現地の貧しい人たちも含めた一般の国民にも目を向け始めたのです。
問いかけたのは、今の R 国にとって本当に求められているものは何かを自分たちで泥臭く掘り下げていきました。
改めて読んで考えさせられたのは、視野を広く持って仕事と向き合っているかどうかです。
日本で昔から商売の世界で言われる三方よしです。
三方よしの三つとは、直接の顧客、その先にいる人々 (世間一般) 、自分たちです。
自分たちだけでもなく、かといって顧客だけを過度に優先して自分たちを犠牲にするのでもありません。
事業に関わる関係者全員に Win をもたらす仕事をしているかです。
肩の力を抜いて読める作品で面白かったです。