今週も本を読み上げました。
読んだのは「吉村昭」の「深海の使者」です。
これは先日映画「沈黙の艦隊」を観たので潜水艦をメインにした小説を読んで観たくなりました。
この本は学生時代に読んだ事が在ります。
その時も映画「Uボート」を観た後に読んだ記憶があります。
記憶をたどると太平洋戦争期の日本の潜水艦がどのような活躍をしていたか、
そしてどのような過酷な任務に従事していたかを語っていたと思ってました。
この小説の舞台は遣独潜水艦作戦(けんどくせんすいかんさくせん)になってます。
この作戦は、第二次世界大戦中に遠く離れたドイツと日本とを結び、
戦略物資及び新兵器やその部品・図面等、さらには大使館付武官・技術士官・民間技術者等
日独両国の人材の輸送を行った日本海軍の潜水艦による作戦です。
つまり、日本からドイツまで潜水艦で行き来すると云う事です。
3万キロも彼方のドイツへ潜水艦で行く。
現在の原子力潜水艦で在れば潜ったまま航行できますが、当時の潜水艦は通常は浮上し攻撃時に潜るだけの船です。
従って、夜間は浮上して目的地を目指し昼間はじっと息を潜める感じです。
しかも、大西洋の制海権の殆どが連合国に握られています。
どれだけ大変で在ったか判ります。
全部で5回実施され日本⇒ドイツ⇒日本にまで達したのは1回のみ。
日本⇒ドイツ⇒シンガポールまで寄港できたのが2回。
日本の潜水艦技術は凄いと思ってました。
しかしながら、潜水艦に一番重要な静寂性は考慮されていなかった。
ドイツの技術者が太鼓を鳴らしながら動いていると表現してます。
ただ、小説は作家の表現が素晴らしいく、
「艦は、暗夜の海上にひそかに浮上した。
と同時に、潮の匂いにみちた外気が、艦内に流れこんできた。
それは、ソーダ水を口中にふくむような爽快さで、艦内の者たちは、
胸をはり鼻孔をひろげて夜気を思う存分すいこんだ。」こんな表現で表してます。
この表現の素晴らしさがこの作家の魅力です。
30年振りに読んだ作品は新たな発見がありました。