奇書の定義とは何か。

 現実からの逸脱かとも考えたが、この解説書には、生理現象に根差したものも収録されている。ならば逸脱しているのは常識なのか、それとも日常なのか。どれもぴたりと当てはまるかといえば違う気がする。枠におさまりきらないものをとりまとめたもの。それが奇書なのだろうか。

 奇書の内容は現在の価値観からすれば荒唐無稽なものが多い。だが、人が不可解なものに出会い、それを理解しようと思考を進めていく。その過程でまず突拍子もない方向に進んでいくことが、人の思考の流れとして興味深い事象だ。

 特異な奇想にたどり着いたり、物語をつくり記録として形に残す。そんな人間の不思議を感じさせる素材。それが人の歴史の中で異彩を放つ奇書の価値でもあるようにも思える。