業界紙時代の藤沢周平のコラムと業界紙時代の彼をとりあげた評伝。

 一般紙と違う食肉加工品業界の関連紙に載せるものだけに、切り口も食肉加工や消費者目線と一風変わっている。

 日本ではおそらく古来から肉食は行われていたのであろうが、食肉加工文化が陽の目を浴びるようになったのは日が浅い。海外のように肉屋を営んでいた偉人が特に見当たらないのも、日本において食肉加工が特別低く異端な地位に置かれていたことをうかがわせる。

 そのような英雄ではない庶民の視点からの歴史や文化に触れる語り口からは、後の作家藤沢周平へとつながる、そこに物語が生まれてくるような目線が見えてくる。