7月23日土曜日、新橋にて。
代表の鈴木とのじまはあるバーに向っていた。
「ファーマーズナイト」というイベントに参加するためだ。
生産者と消費者をつなぐパーティイベントということで、僕ら二人は非常に楽しみにしていた。
今回は、そこで会った方と話して考えた「オーガニック」について。
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会場は小さなクラブのようなところで、DJのバフバフいうウーファーにびっくりしつつ、僕らは料理を選んだ。
そこで、出会ったのが、ある女性だ。
その方は広告会社でばりばり働いていらっしゃる方で、
話すと5秒で「パワフル!!」と思えてしまう、すごい人だった。
勢いがあって、とにかく突き進む、という感じにしゃべる。
では、なぜその方に話しかけたかというと、
「オーガニック」について熱く話していたからだった。
というのも、最近はオーガニックについて興味があったから。
いつも総合芸術イベント「JAZU」で運営を手伝わせてもらっている入江さんに「リハビリ」について話を聞いていたり、
医療ビジネスコンテスト「bridge」のことを聞いたりしていたからだ。
医療についてのお話を聞くと、自然と「食と健康をより結び付けられないか?」を考えたくなる。
そこで、健康につながる一歩としてオーガニックについて調べようと考えたのだ。
何て言ったって、オーガニックと言えば非常に聞こえがいい。
少しゲスなことをいうと、女性ウケがいいし、お洒落な感じもする。
もしこれをイメージアップの手段として使えれば……なんてことも、お恥ずかしいことながら少しは考えていたのだ。
だから「勉強になることはないかな?」という、軽い気持ちで話を聞いたのだが、その方からはなかなかハードな答えが返ってきた。
「私は化学肥料や遺伝子組み換えにアレルギーが出てしまう。知らずに食べると肌荒れがひどく、我慢ができないほど。だから、どうしてもオーガニックでなければならない」
聞けば、彼女の体は非常に繊細にできており、ケミカルなものをほとんど受け付けることができないのだという。
では、普段の食生活はどうしているのだろう。
その質問に、彼女は奔走の日々を話してくれた。
「日本はほんとうにオーガニックを消費する環境も、提供する環境も全てが整っていない。ほんとうに苦労した。そこで、どうすればいいかを考えて、とにかくきちんとした安全なものを提供してくれる農家をひたすらに調べた」
そこで知ったのが、なるべく品種改良のされていないものを食べることの大切さ。
人間にいじられていない、土臭い野菜を食べることだったのだ。
長く日本に根付いている品種は風土に慣れている分抵抗力があり、栄養も強いという。
しかし、そのクセの強い味やにおいは一般には受け入れられにくく、多くの場合品種改良で淘汰されてしまったらしい。
その結果生まれたのが、とげのないきゅうりや臭みの無いにんじんだ。品種改良で受け入れやすくなったが、代わりに風土に根付いた強さは失われてしまった。
彼女は生き残った品種を探して、とにかく農家にアポイントメントをとり、個人的に契約をした。
そこでやっとオーガニックなものを定期的に補給できる体制をつくることができたのだ。
つまり、彼女にとって、オーガニックは生きるためのものだったと言える。
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彼女と話したのは最初の30分くらいだったと思う。
少し話した後、彼女はお酒を取りに行き、僕はまた違う人にあいさつに向った。
しかし、少ししか話していないはずなのに、オーガニックの話は妙に頭について離れなかった。
未だに日本ではオーガニックが根付いていない。
むしろ「オーガニック(笑)」というように、過剰な健康意識だとバカにする風潮さえ、たまに見受けられる。
オーガニックとは何のためにあるのか。
僕らは一度、しっかりと考える必要がある。