11月14日は「世界糖尿病デー(World Diabetes Day)」でした。

糖尿病の治療法を発見したカナダの医師、フレデリック・バンティング博士の誕生日にちなみ、1991年に国際糖尿病連合(IDF)と世界保健機関(WHO)が制定しました。

毎年この日には、世界中の建物が糖尿病のシンボルカラーである「ブルー」にライトアップされ、糖尿病に対する理解促進と予防啓発が行われます。

 

私は1型糖尿病の患者である息子の父親です。

1型糖尿病は、インスリンを作る膵臓のβ細胞が自己免疫反応によって破壊され、体内でインスリンを分泌できなくなる病気です。

発症すると毎日の血糖測定とインスリン投与が必要になり、生涯にわたって治療を続けることになります。

 

私の息子が発症したのは12歳のときでした。

突然の入院から始まり、インスリンの自己注射、カーボカウントによる食事管理、低血糖・高血糖への対応など、家族全員が一から学び直す必要がありました。

医療チームや学校関係者が協力し、少しずつ環境を整えることで、今では息子自身が自分の状態を管理しながら日常生活を送れるようになっています。

 

世界糖尿病デーは、そうした当事者や家族にとっても大切な日です。

この日を通じて、1型糖尿病が「特別な病気」ではなく、「正しい知識があれば支えられる病気」であることを社会に伝える機会になります。

インスリンポンプや持続血糖測定器(CGM)などの医療技術の進歩により、1型糖尿病の治療はこの10年で大きく変わりました。

ただし、制度面・教育現場・社会の理解にはまだ課題も多く、家族だけで抱え込まない仕組みづくりが求められています。

 

ブルーサークルは、糖尿病対策に向けた世界共通のシンボルです。

1型糖尿病をもつ子どもたちが、自分らしく成長していくためには、家族や医療者だけでなく、学校や地域社会の協力が不可欠です。

世界糖尿病デーをきっかけに、身近な人に「1型糖尿病ってどんな病気?」と話題にしてもらうだけでも、理解の輪は確実に広がっていきます。

 

私自身、父親としてできることは、身近な経験を通じて少しずつ伝えていくことだと思っています。

今年の11月14日も、青い光を見ながら、改めてこの病気と向き合うすべての人に思いを寄せたいと思います。