1型糖尿病の子どもを持つ親として日々を過ごしていると、どうしても「制限」や「不安」という言葉が頭をよぎります。血糖管理のために食事や運動、生活リズムに注意が必要で、普通の同年代の子と同じようにできるだろうか、将来に不安はないだろうかと心配になるのが自然です。
けれども、心の中に強く刻まれた思いがあります。それは「やりたいことは全部やる」という前向きな選択です。病気だからといって夢や楽しみを諦める必要はない。もちろん調整や工夫は必要ですが、できる方法を探せば道は開けるのだと考えるようになりました。
この考えをより強くしたのは、先日参加したあるセミナーでのお話でした。その中で「行動管理」というテーマが取り上げられていたのです。私自身、それまで「自己管理」という言葉はよく耳にしていましたが、行動管理という視点は新鮮でした。話を聞きながら気づいたのは、病気に限らず人生そのものを前に進めるには、自分の感情や状況に流されるのではなく、やるべきこと・やりたいことを“行動”に落とし込むことが大切だということです。
例えば、血糖管理一つをとっても、「気をつける」だけでは不十分です。具体的に「この時間に測定する」「外食の前に炭水化物量を調べる」「運動後は必ず補食を確認する」など、行動レベルで明確にしてこそ実際に管理ができる。セミナーを受けながら、「なるほど、これは生活全般にも通じる」と思いました。子どもがやりたいことをやるために、親として環境を整えたり、行動の工夫を考えたりすることもまた、行動管理の一部なのです。
病気を持つと「できないこと」にばかり目が向きがちです。しかし視点を変えると、行動を工夫することで「できること」が大きく広がる。これはとても大切な考え方だと改めて感じました。例えば、遠足や修学旅行に行くとき、事前に先生と話し合ってインスリン注射や補食の時間を確保するようにお願いすれば、他の子と同じように楽しめる。スポーツに挑戦したいときも、練習前後の血糖値の傾向を把握して補食の方法を準備すれば、無理なく取り組める。
そして、この「やりたいことは全部やる」という姿勢は、実は本人だけでなく、支える親にとっても大切だと感じています。親が「どうせ無理だろう」と思ってしまえば、その雰囲気は子どもに伝わります。逆に「工夫すればできるよ、一緒に考えよう」という前向きな姿勢を見せることで、子ども自身が勇気を持って挑戦できる。
もちろん、現実には不安も失敗もあります。血糖コントロールがうまくいかない日もあれば、予想外のトラブルも起こります。でも、そのたびに「次はどうすればうまくいくか」と行動を振り返り、次の工夫につなげればいいのだと思います。
セミナーで学んだ「行動管理」という考え方は、私にとって単なる知識ではなく、「やりたいことを全部やる」ための具体的な武器になりました。病気があっても、夢を諦める必要はない。むしろ一つ一つの行動を積み重ねていけば、他の誰よりもしなやかに、力強く人生を歩んでいけると信じています。
これからも親として、子どもの夢を応援しながら、一緒に工夫を重ねていきたい。1型糖尿病という現実は変えられませんが、その中で「やりたいことは全部やる」という選択は、いつでもできる。そう信じて、これからも前に進んでいきます。
