1型糖尿病と診断されたとき、誰もが「わからないことだらけ」からのスタートだったと思います。私自身もそうでした。息子の病名を聞いたその瞬間から、何をどうすればいいのかわからず、不安だけが先立ちました。

まず必要だったのは、「病気について知ること」。
1型糖尿病とは何か。なぜインスリンが必要なのか。血糖値とはそもそも何を意味しているのか。そして、それが高いとどうなるのか、低いとどうなるのか。その時どうすればいいのか。――そんな基礎的なことから、一つひとつ学んでいきました。

次に必要だったのは、「日常の中での対応力」。
たとえば低血糖になったとき、何をどれくらい食べればいいのか。効果が早く出る食品や、時間がかかるものの使い分け。高血糖の時はどう対処するか。インスリンの種類にも短時間型、持続型などさまざまあり、ペン型注射なのか、ポンプなのか、選択肢もたくさんあります。

でも、本当に必要だったのは「孤独にしない環境」だったかもしれません。
一人で抱え込まないこと、質問できる相手がいること。先に経験した人の話や、同じように悩んでいる人の存在がどれだけ支えになるかを、何度も実感してきました。

これを読んでいるあなたは、どんなことが「必要でしたか」?
そして、今「必要なこと」は何でしょうか?
そんな問いを、時々立ち止まって考えてみるのも、前に進むための大切な一歩になるかもしれません。