成年後見人等の申立てをする場合、ご本人の判断能力の低下の程度によって3つの類型に分かれます。つまり、後見、保佐、補助の3つです。3つの類型の違いは、それぞれ、精神上の障害により事理弁識能力を欠く常況(後見)、著しく不十分(保佐)、不十分(補助)という事になっています。

 

そして、後見においては、すべての法律行為について「代理権」が与えられるのに対して、保佐、補助については、ご本人が同意した項目についてのみ、代理権を設定する事ができます。これは、できるだけご本人の人権を尊重すべきであるという考え方に基づくもので、保佐(補助)開始審判申立とは別に、代理権付与の審判をを申し立てる事で設定する事ができます。

 

こういう事情に基づく訳ですから、家庭裁判所としては、できるだけ代理権の範囲を少なくしたいというスタンスを取っています。つまり必要でない項目については、安易に代理権を付与してくれません。ただ、申立前には不要だと思っていた項目について「やはり必要だった」事が判明する事もあります。

 

今回、新たに保佐人に就任した案件があるのですが、事前の聞き取りでは不要と思っていて「貸金庫に関する契約」について代理権を設定していませんでした。ところが関係者の情報から「実は貸金庫の契約をしていた」という事が分かりました。代理権を設定していないので、私が勝手に解約する事もできません。

 

仕方がないので、もう一度、代理権付与の審判を行って、貸金庫に関する契約についての代理権を追加設定する事になりました。今日は、急遽、ご本人に面会に行って、内容についてご説明し、申立てに同意して頂きました。結構、大変です。(笑) 今回は、申立て書類を私が作成した訳ではありませんが、申立てに関しては、関係者の事情聴取も含めて、慎重な調査が欠かせないと思いました。今後の資料作成の参考になります。

 

後見類型に関しては、代理権付与に関する話の他に、同意権の話もありますが、今回は直接関係しませんので説明を省略しました。

 

 

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