日本の農業における可能性を模索する動きは多くあるが、農協からの資材の買い上げが原因して多くの根源的な課題が浮き彫りになっている。
1. 農業資材の情報不足、価格の下方硬直
我が国の農業機械製造業は、国内大手4社で国内出荷額全体の8割を占めるなど寡占状 態にある。。トラクター、コンバイン、田植機といった主要3機種の平成27(2015) 年の国内販売台数の企業別シェアを見ると、国内大手4社で97%を占め、企業別シェ アもほぼ固定して推移している。。クボタヤンマー井関農機。輸入が3%
2. 農薬の価格の下方硬直、審査制度の不整備:農薬取締法
農薬出荷実績に占めるジェネリック農薬の 割合は5% 製造業者数:169
3.配合資料の事業者の増加。生産性の低さ。 メーカーの乱立
我が国の配合飼料製造業は、65社115工場あり、配合飼料工場全体の操業率1は93% となっている。他方、韓国では、56社95工場と我が国と大きな違いはないものの、操 業率は237%と我が国と比較して圧倒的に高く、保有する製造能力をいかして、極めて効 率の良い生産体制となっている。 また、我が国の配合飼料の銘柄数は、配合飼料メーカーの販売戦略や畜産経営を営む農 業者からの細かい要望への対応等の理由から、家畜の飼養頭数が減少傾向にある中でも増 加し、現在は約1万6千銘柄となっている。このため、1銘柄当たりの年間生産量は 1,456tと韓国の約3分の1にとどまっており、このことがコスト高につながっている状況 にある。
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4. ハウスの規格多様化
農業用温室について、我が国では、パイプハウス、耐候性ハウスやガラス温室が設置さ れています。これらの設置費用を韓国と比較すると、いずれについても我が国はおおむね 2割高くなっている。 この原因として、パイプハウスについては、大手1社だけでも50種類以上の型式があ るなど、大手メーカー各社が多種多様な型式のパイプハウスを販売していることなどが挙 げられる。
5. ダンボールの規格多様化
我が国の段ボール箱製造業者は約2,400あり、段ボール箱は、一般的に受注生産品目 で、実需者である農協生産部会等が用途、材質等を決め、農協等を経由して段ボール箱製 造業者に発注している。この結果、例えば、キャベツでは273農協で338 規格、だいこんでは192農協で263規格と、農協ごとに規格が異なる。
上記は2017年の農業白書からの抜粋。特にこのハウスや段ボール、配合飼料の規格が近隣諸国と比べて割高になっているのは明らかに農協が各地で努力をしてきた結果である。この結果、地方や品目に応じた細やかな対応ができるわけで、これが日本の高品質な野菜を支えていることは、農家さんが儲かりにくい構造の裏返しでもある。(ちなみに価格自体に転嫁されているかというとそんなことは必ずしも言えない。)その一方で建設資材は大型受注による一極化がすすんでいるが、これは種苗の取引業者や農薬の取引業者など、業者単位での寡占を生んでいる。だが裏返せばこれらのメーカーは日本の各生産地にあった仕様の製品をカスタマイズし続け、それが品質や農家の方の労働力の負担を下げているともいえる。
上記に見たように、政府が面と向かって批判することも、実はプラスの面もあるわけで、保守派との対立は絶対に免れない。所謂農業のグローバル化は、短期的なコストを低くする一方で、土地に合わせてカスタマイズして生産する御用聞きがなくなってくるわけで、必ずしも長期的には手放しに喜ぶことは難しい。ここに農業のグローバル化の問題がある。
自分はどちらかと言えばグローバル化には賛成ではあるが、日本の農業の固有性を失いかねない動きを手放しに良しとするのはなんともいいがたい。だが一方で農業生産法人が拡大をし、質を担保しながら量を確保できる体制を作ること、また同時に農薬を抑えた土地集約的、消費者直売の両面が進んでいくことには、賛成である。もちろんここにも問題がないわけではないけれども、今までのカスタマイズされた技術を生かしつつ、多くのデータを生かして最適最安の方法を探すというのが大きな事業者がやるべきことで、それと同時に会社でいうベンチャー企業のような存在が質の多様性を引き続きサポートしていく体制である。儲かる農業はこの両極に位置しているからだ。
この二極化が実現し、それぞれが棲み分けを行って今までの技術を何とか生かす道筋を考えてもらいたい。海外の外資を規制緩和により導入すれば、コスト圧力に押されて農業の多様性が損なわれる。長期的に。そこだけは避けなければならないと思う。