河内長野市議会史上初めて、新年度予算の修正案が可決されました。
内容は「青少年健全育成に関する予算を前年度並みする」ものです。
今議会には、修正案が3本だされました。
3本出たことも史上初です。
2017年3月に自民党会派から1本出され共産党案とで2本になったことはありましたが、
それ以外では過去の数十年間は共産党からしか修正案は出たことがありませんでした。
修正案の内容もさることながら、議会制民主主義が前進した結果で、とても喜ばしい事です。
当局の原案が常に100%完璧であるはずは無いし、議員は議員の立場で市民から声を聴いていますので、ずっと原案可決では議会の資質が問われるものです。
今回出された修正案の要旨は
共産党案
・下水道使用料値上げに伴い、生活保護世帯に対し下水道使用料の減免を実施する。
・学校運営協議会事業の再構築をおこなう
・青少年健全育成にかかる事業費を前年度並みに戻す
・予備費を減額する
共産党案は共産党の賛成だけで否決されました
自民党案
・英語村構想の内、地域連携型英語村事業をやめる
・青少年健全育成にかかる事業費を一部増額する
自民党案は自民党の賛成だけで否決されました。
自民共産以外の9議員案
・青少年健全育成にかかる事業費を前年度並みに戻す
・予備費を減額する
全員賛成で可決でした。
修正案を除く部分への、日本共産党の討論は以下の通りです。
またこちらで動画をみれは、修正案や予算への各党の討論が動画で見られます。
議案第19号平成31年度河内長野市一般会計予算について、日本共産党市会議員団を代表し、賛成の立場で討論をします。
・ 新市長が誕生し2年半がたちました。トップダウンではなく、出来るだけ市職員の自主性を育てようとする市長の方針は大いに評価しています。その中で市民や議会での声に対し何か応える方法がないのか、それぞれの職員が受け持つ範囲で改善しようとする姿勢がみられ、とても喜ばしいことです。職員をはじめ市民も個性が輝く街づくりを更に進めていただきたいと思います。
・ この間、新年の集い事業が商工会との共催になり、市の産業の到達や課題を、各界から出席している市民も共有できるようになりました。これからは国会議員の話などはやめて、各界の市民からの発言をいただき、問題と課題を共有することで、市民が街づくりの主体者となれる「新年の集い」にしていただきたいと思います。
・ 高齢者のお出かけ支援では、昨年のタクシー券発行に続き4月からはバスの利用もできることになりました。高齢化が大阪一進む河内長野市です。免許返納の不安を抱いている高齢者の願いに寄り添った事業であるとともに、バスが走っていない地域でも使えます。なにより、高齢者がお出かけすることで元気になれる、地域経済活性化も促進し、現存の公共交通の維持・存続にも繋がる立体的な施策です。また新年度にむけて「まちなかクーポン」の協力店も41店舗から90店舗まで増やしていただきました。更に、市民との双方向型で利用を促進していだきたいと思います。
・ 南花台で行われている団地再生モデル事業では「自動運転の技術開発」に軸足を置くのではなく「住民生活の向上」に軸足を置いた事業展開に転換したこと。
・ リニューアルされた市ホームページではトップページに「お問い合わせ」のボタンをつくり、双方向型で市政運営を進める仕組みをつくったことも、住民が主人公のまちづくりに向けた大きな前進です。ますますこの先重要になる住民自治を推進させるために、更に市民に寄り添った住民自治の推進を望むものです。
・ また、期日前投票所を増やしたことは、憲法が保障する選挙を保障するもので、評価しています。高齢化が進む河内長野市で、投票バスの検討など更に選挙権の保障をするように努めてください。
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・ さて、一方で「働き方改革」と言われています。公の組織である市役所が率先して、有形無形の圧力を含めたサービス残業は、絶対に許さないという職場を作っていただきたいと思います。その中でタイムカードの打刻方法や、ノロウイルスなどによる休業補償なども改善してください。
・ また、高齢者や障害者、子どもなど弱者を守ること、福祉の増進は、地方自治法が定める自治体の本旨であります。河内長野市では、人口が減少する中で出生数が減っているにもかかわらず、保育所待機児が出そうな見通しになっています。近年では年度当初には待機児は出ていませんでしたので非常事態です。これは、共働き率の増加と保育士の雇用が困難になっているためです。
・ そのような中で、市教育委員会は市でたった1つしかない公立の三日市幼稚園を廃園にし、市に1つしかない公立の千代田台保育所を子ども園にしようとしています。断じて許されるものではありません。教育委員会は、「三日市幼稚園の児童が減ったので廃園にする」といいながら、児童が減少して来た原因は、「3年保育や長時間保育、給食や通園バスなど保護者からの要望に答えてこなかったから」と、自らの責任を認めています。それにも関わらず、存続に向けての努力もせずに廃園を一方的に保護者に通告し、保護者の質問にも、まともに答えようとせずに「決定したこと」と、議会承認をも軽視し、ごりおしで進めようとしています。しかも存続のためには「1.5億円の建設費と年間1億円の費用がいるのでお金がない」と言いながら、ざっとした試算のみで、正確な見積もりや、交付税算定、また、使える補助金はないのかなど何の調査も行っておらず、初めから三日市幼稚園の存続は考えていなかったことが明らかになりました。まさに幼稚園行政の責任放棄だといわざるを得ません。三日市幼稚園は江戸時代中期から地域の住民がお金を出し合い、寺子屋として運営されてきた、伝統ある河内長野市の教育の発祥の地、教育の聖地です。教育委員会が、唯一の公立幼稚園を、このようなぞんざいなやり方で地域の方々の思いも踏みにじり廃止することはゆるされません。
・ 他方で、千代田台保育所もパンク状態です。児童福祉法24条は、「市町村は、保育を必要とする場合、保育所において保育しなければならない」と市町村に保育義務を課しています。千代田台保育所はこの法の受け皿となる唯一最後に残された公立保育所です。新年度、2歳児で待機児が14人も出そうな状況です。法で課された市町村の義務がはたせない非常事態にも関わらず、教育委員会は「これからは民間に保育は見てもらう時代」などと、言い放っています。これは市町村の法定保育義務を投げ捨てるものです。現在、民間の保育園では経営が大変なため、余裕を持って保育士を雇用することが困難な状況です。そのため民間の保育園が出す保育士の求人は非正規の短期雇用になってしまうため、ハローワークに求人を出しても応募がないのが現状です。そのため民間保育園では保育士を十分に確保できず、待機児を受け入れることが出来ない原因になっています。
・ 一方で公務員の正職としての保育士の募集に応募が殺到してます。富田林市の募集では3倍、堺市では10倍の応募があったと聞いています。
・ これらの現状を見ても「民間に保育をまかせる」というのは、現実を見ない、時代錯誤だと言わざるをえません。
・ また、子ども子育て新システムが始まり、民間園を見ると保育所の殆どは保育所のまま、幼稚園の殆どが子ども園に移行している状況をかんがみると、今、子ども園の現場での悩みは、幼稚園がこども園へ移行をしたことによる問題です。現場では、これまでのあずかり保育の延長で2号認定の子供を見ているのが一般的です。労働時間に起因し、担任制からの移行をしなければ、対応できない問題。保育士免許を取得しなければならない問題。これらの問題に対応し子ども園を市として先導するなら、千代田台保育所を子ども園にするのではなく、三日市幼稚園を子ども園にして、こども園の先導をしていくのが、市の責任ではないでしょうか。
・ 日本共産党は、未来の河内長野市が子育てしやすい街になるためにも、三日市幼稚園に通園バスも給食も整備して、0歳児から受け入れる子ども園として存続する、少なくても、その可能性を探ることを求めるものです。
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・ 河内長野市では人口減と高齢化が大阪の中で最もすすんでおり、大きな政治課題となっています。もちろん三日市幼稚園を子ども園化して、待機児ゼロのまちにすることは急務です。
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・ しかし人口減少、高齢化は日本全国の問題であり、そのおおもとには東京一極に人も富も集中し、富めるものが更に儲かる仕組みがあります。
歴代の自民公明政権が個人の格差、企業の格差、自治体間格差を広げてきました。
・ 東京が勝てば、地方に富が滴り落ちてくる「トリクルダウン」が無いことは、もはや明らかですし、大企業が大もうけをしていますが一向に庶民の暮らしはよくなりません。このような政治を続ければ、我が国の地方は消滅してしまいます。日本共産党は、国政では富裕層・大企業に応分の負担を求め、地域格差も企業格差も個人格差も縮小することこそが、庶民も中小企業も、地方も元気にすることであり、国全体を豊かにする道だと提案しています。
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・ 河内長野市は高度成長期に開発することで街が大きく発展した典型的な街です。そして行き過ぎた開発は破綻し、今そのツケに苦しんでいます。これからさらなる開発をすすめることに展望はありません。もはや、道路をつくれば、街が発展する時代ではありません。一方で削減一辺倒の行政では悪循環が加速します。
・ 21世紀の日本は長期に人口が減少していく社会となるため、地方での街のあり方が再度大きく変化していく時代です。市の人口はピーク時で12万人でしたが、現在は10万人、15年後には8万人と推測されています。
・ いまひとつは、空き家対策の課題です。今は空き家を出さない施策が必要です。しかし平行して、20年後を見通した施策が必要です。20年後には実家を出て行った子どもたちが、親が亡くなり実家を処分しようとしても、買い手がつかない状況が予想されます。ですから、住宅の住宅以外の利用も促進する方法を考えなければなりません。
・ 現在、市街化区域の住宅地は、住宅が建っていれば83%程度の固定資産税減税措置がありますが、更地であれば満額の税金になるため、放置空き家が発生する原因にもなっています。
・ 日本共産党は、家庭菜園などの良好な土地利用をして頂ける方にはある程度の固定資産税と同等額の補助金を出せば、土地の流通を促進でき、空き家の時よりも市の税収も増え、良好な環境が維持できると提案しています。人口減少を嘆くのではなく、居住する市民が安価に広い土地利用が出来る利点を、わが市の売りにして行くことも提案します。
・ これからの街づくりでもっとも求められるのは、子育て支援と、若年層の働く環境を整え、地域の中で生産と消費が循環する地域循環型経済の構築です。
・ 市が産業振興ビジョンの作成を期に、初めて実際に歩いて企業訪問を行う中で、この間、産業振興が具体的に現状に即して大きく、動き始めました。ビジョン策定後も、年間50件の企業訪問を市職員が行っていることは、大変喜ばしいことです。
・ 新年度予算では商工業経営支援事業として、府の「設備投資応援融資」事業に積極的に手を挙げて行うことは喜ばしいことです。
・ また市は、昨年末に「産官学」が話し合うテーブルをつくり、初めて働く場所の確保に踏み出しました。大きな前進です。さらに、地方銀行や地域の学校など参加者を増やし前進を目指してください。また、介護や保育の分野は労働力不足になっており、施策しだいでは、地方で若者が働く場所となりえる分野です。国に労働条件の待遇改善を求めながら、福祉分野と産業振興が一緒に事業所を訪問するなどの、新たな展開を求めるものです。それらの取り組みを進め、「産官学」が一緒になって主体的に地域の経済を考える関係をつくる中で、奨学金返済補助や家賃補助制度などを、事業者とともに構築ができればと思います。
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・ 最後に中学校全員給食です。この間、ご飯が温かくなったことをはじめ、「福祉弁当ではない」として、「喫食率の向上を目指す」としたことは大きな前進ですし、今議会では「予算は無いが、おかずも温かくできないか研究する」また「みんなが食べたいと思える安全安心なおいしい給食を提供したい」と表明したことは、子供が食べることに立脚した給食行政が前進したことだと評価しています。
・ しかしながら、全員給食には踏み切れずにいます。給食は教育です。給食は教育だとして、給食費を無料にする動きが国でも府でも始まっています。あらためて「子どもが食べる」ことを原点に、育ち盛りの中学生に、栄養バランスも抜群の給食をみんなで食べる全員給食を開始するために、今すぐ準備を始めるように求めるものです。
・ 保育所待機児ゼロ、中学校全員給食は最低限の市町村に課せられた条件です。お金がない、と言う問題ではありません。この2つの問題を早期に克服し、この街で働いて、この街で買い物をして、生活する。この街に住んで子育てをすることで、地域の中で経済が循環していく、21世紀型の人口減少時代に相応しい、新しい街づくりが求められています。
・ 市職員も議員も企業も市民も、だれもが主体者となり、個性輝く街づくりに挑戦して行くことを提案して、賛成の討論とします。