縦割り行政・・なんとかならんのか防災対策
社協の会議の多さにものを申してきたが、今度は、防災対策の縦割り行政である。
今日は、札幌市危機管理対策課の所管で外部団体に研修を委託している「令和6年度避難所運営研修に参加した。
数年前から、小中学校を持ち回りでやっている研修である。
カリキュラムは、
1 避難所運営について(30分)
・避難所運営の基本的な考え方について、イメージ動画やスライドを使用しての座学
2 施設・設備等の確認(30分)
・防災行政無線の取り扱い方法の確認
・案葬番号キーボックスの確認
・受水槽の使用方法の確認
・備蓄物資の保管場所の確認
・特設公衆電話の確認
3 避難所運営ゲーム(HUG)(60分)
であった。
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9月11日は、札幌市防災訓練が計画されており、豊平区が実施当番のため、札幌ドームを対象に大掛かりな訓練が実施される。地区から30名位参加動員が予定されている。
そのほか、豊平町連と東札幌町連による(競合小学校校区)東園小学校での防災訓練も予定している。
また、各町内会での防災訓練も計画されている。
訓練は「何回やっても良い」と思うが、時期をずらして、今度は消防所管の「防火委員会」でも研修がある。
また、7月22日付で、札幌市保健福祉局障がい保健福祉部障がい福祉課調整担当課長名とさっぽろ地域づくりネットワーク ワン・オール センター長名で災害に備えた地域での支え合い研修会なるものの案内が来た。
要は、災害が起きたときの障がい者の支援をどうするかの、研修である。
黙っていると、市社協で災害時の地域支援ボランティア研修会も案内が来るだろう。
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市でも区でも、社協でも、縦割りで調整することなく、どんどん計画し、参加者を募る。
一本化できないものか。
平日の研修に出られるのは、80歳以上の年寄りを含め70歳代・60歳代以上の爺さんばかりだ。
災害時に活躍してもらう必要のある若手がいない。
土・日にでも研修するか、平日の18:30~にでもやってもらわないと、効果は期待できないと思う。
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今日のHUGの想定は、1月の真冬の大地震の想定であった。訓練対象の小学校に暖房用のポータブル石油ストーブが市から6台配置になっている。
ところが、燃料の灯油の備蓄がないと判明した。真冬の札幌市の小・中学校の体育館は暖房がないと底冷えして、建物の外で過ごすより厳しいのである。
実際に冬期間の避難所が大変だということは、今回の能登半島地震で良く分かったはずだ。
もっと、真剣に危機管理対策を取ってもらわないと。
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話は変わりますが、日本は、防災対策の後進国であるということです。
以下に紹介しましょう。
日本には、防災担当大臣はいますが、防災省(防災庁)はありません。
内閣府にたった90名のお役人がいるだけなのです。
先般のイタリヤ大地震では、テレビ映像を見てもわかるとおり、避難対策の先進国なのです。
その分、日本が後進国であることが、歴然と判明しました。
我が国の避難所の課題とイタリアから学ぶ支援のあり方
昨夏の8月最後の日、翌日は9月1日の「防災の日」というタイミングで、国際ユニヴァーサルデザイン協議会主催、ユニバーサルファッション協会共催(IAUD X UNIFA)による災害支援に関するセミナーが開催されました。 その中で印象に残ったのが、日本と同じ地震国であるイタリアの避難所の先進性についての講演でした。
講師はJパックス株式会社代表取締役社長で避難所・避難生活学会 常任理事の水谷 嘉浩氏で、災害による避難生活の必需品「段ボールベッド」を考案された方です。
「我が国の避難所の課題とイタリアから学ぶ支援のあり方」をテーマに、避難所先進国イタリアと、立ち遅れる我が国の被災者支援を比較し、支援のあり方を考察する内容で、私も災害支援について改めて考えさせられました。
開口一番、「イタリアは進んでいるが、日本は本当に遅れている」と発言され、ちょっとビックリ!
避難所は東日本大震災でも阪神淡路大震災でも過密な雑魚寝だったのです。2016年熊本地震頃から少しずつ改善されるようになり、2020年人吉市の豪雨災害でようやく400人分のベッドが届きましたが、まだその程度です。トイレも災害時にすぐ来なくて、3日くらいかかり、それも和式がほとんどで、食事もパン食でした。
避難生活に伴う災害関連死は、平成の30年間で4,958人と発表されています。しかしこれは申請して認定された人数で、実際はもっと多いと推測されています。その原因は調査の結果、約51%が避難所における生活の肉体・精神的疲労で、環境さえよければ防ぎ得た死だったのです。
とくにエコノミークラス症候群で死亡した現役女性、つまり母親世代の割合が高齢者より高かったことは注目に値するといいます。避難所における女性を取り巻く状況はより深刻であることを示している、ということでしょう。
国内外で数多くの避難所を回った氏が、災害対策先進国としてもっとも高く評価するのが、日本と同じ地震国のイタリアです。
そこで得たヒントが「TKB」と、次のように紹介しました。
TKBとは、T(トイレ)、K (キッチン)、B (ベッド)のことです。
Tは、トイレだけではなくシャワーも付いています。
Kは食事で、食堂が設営され、キッチンで調理した料理が出ます。Bは睡眠と生活環境で、テントが用意され4人家族なら約100㎡の空間にベッドが入り、空調も完備されています。そこにはもちろん衣服もあり、防寒着や下着、中衣なども揃っています。
イタリアには全国各地に巨大な備蓄基地が点在しているといいます。基地には常時約10,000人が長期避難生活を不自由なく過ごせる資機材が備蓄されていて、緊急時にはトラックで48時間以内に必要な物資が届けられるとのことです。
また48時間以内にプロの調理師が出動し、臨床心理士もPTSD予防に向けて現地入りするそう。子どもの遊び場や、乳幼児を守るケアも48時間以内に整えられるとか。日本なら1か月以上かかる話ですね。
では何故イタリアではこのような先進的な活動ができるのでしょうか。そこにはイタリア市民保護局という国家機関があるからといいます。
これは欧米先進国やアジア諸国には必ずある組織だそうです。ところが日本には内閣府防災担当はあっても、このような国の機関はないとのことです。
とはいえイタリアでも昔からあったわけではなく、災害頻発を受けて1992年に設立されたとの話。今では避難所の環境を起因とする死者はありえないといいます。
その規模も日本とは大違いで、日本の内閣防災担当が90名なのに対して、ローマ市の市民保護局は800名が常時待機しているとか。
避難所を運営するのは、約4,000あるというボランティア団体で、登録ボランティアは300万人(全人口の5%)。ボランティアとはいえ、志願者は職業を持ち、その職業を生かした災害を支援する訓練を受けている人々だそうです。
日本でもイタリアのように、避難所環境を向上させて災害関連死を無くすには、どうしたらよいのでしょうか。氏は災害支援専門の省庁の設置が必須であり、法律を変える必要があると提言しました。
下記に、関連死を防ぐための課題として:
・現在の災害救助法では避難所の設置期限は災害が起きてから「7日以内」などと定められているが、これは現実と乖離している。
・災害支援の市町村任せには限界があり、広域・複合災害を想定し、国全体で必要な緊急時対応が可能となる条項が必要。
・TKB導入の仕組みにオールジャパンで取り組むこと、など。
最後に、イタリアで学んだこととして:
・「たった一人の犠牲者も出さない」強い決意。
・災害支援には哲学が必要。
・ボランティアではなく、あらゆる専門職種が関わる仕組み。
・敵は「災害」であり守るのは国民である。
・しかし被災者にとって本当の敵は「絶望」である。
・「絶望」から守るには、そのための国レベルでの標準化が必要。
講演を聞いて、日本の避難所は、健常者も病気になってしまう劣悪な環境であることが分かりました。避難所での雑魚寝スタイルは、日本だけだそう!これでは要配慮者のことを考える余裕もありません。
耐震性能では進んでいる日本ですが、イタリアでは災害時に手厚く快適な仮設住宅が48時間以内に設置されます。避難所でもしも死者が出れば、責任者が訴求されるとのことでした。
日本は先進国と思っていましたが、災害支援ではスタート地点にも立てていない後進国だったのです。日本にもイタリア市民保護局のような機関ができるとよいのですが、
それには政治の強力なリーダーシップが必要不可欠です。いつか災害支援を最優先課題にする政治家が現れることを期待していますが、現状をみるといつのことやら---です。災害が起こってからでは遅いのに、遅々とした歩みの日本です。
イタリアに学び、少しでも遅れを取り戻したいものです。
「体育館を避難所にする先進国なんて存在しない」
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お分かりいただけたでしょうか。誠にお粗末なのが日本の防災対策なのです。
各学校の体育館と教室の一部を避難所に指定し、簡易ベットやダンボールベット少々、暖房用ストーブ6個程度、紙おむつや非常食、寝袋、毛布等の備蓄が少々と非常食少々。真冬に大地震が起きてブラックアウトになってごらんなさい。
体育館に避難したって、寒くて過ごせません。水もストップするし、トイレも使えません。
政党給付金がどうのこうの言ってる暇があったら、イタリアに担当職員を派遣し、徹底的に勉強させよ!。
体育館や教室を避難所にして、長期非難になると、児童の勉強の妨害でもある。
一日も早く、政府を動かさないと。
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縦割りで、クソにもならない避難所運営訓練を繰り返しやっても仕方がない。
災害から国民を守るのが政府の仕事だ!
札幌市内の各区ごとに2~3か所、イタリア並みの巨大な備蓄基地と防災拠点を作ってみよ!