イングランド・プレミアリーグ学 -6ページ目

イングランド・プレミアリーグ学

イングランド・プレミアリーグを色んな角度から分析していく学術的ブログ☆

リーグ前半戦の好調ぶりを支えたアミール・ザキのチーム残留が決まり、ウィガンサポーターは胸をなで下ろしたのではないだろうか。


だが一方で、ザキの相方であるイングランド代表FWヘスキーがアストン・ビラへ移籍し、中盤の要のパラシオスもトットナムへ。


小粒だが魅力のある選手を揃えたブルース監督は頭を悩ましたに違いない。


チームの主力を失ったウィガンは後半戦をどのように戦っていくのかとても興味深いところである。


しかし、ウィガンサポーターは決して暗い顔をする必要はない。


なぜならウィガンには頼もしい二人がこの冬加入したからだ。


一人はミドルズブラからローンで加入したエジプト代表のミド。


そしてもう一人はメキシコリーグからやってきたコロンビア人のロダジェガだ。


プレミアリーグファンの方ならミドはもうお馴染みの選手かもしれないが、ミドという選手を知らない方はぜひ覚えておいてほしい選手である。


ミドは04/05シーズンにプレミアリーグにやってきて、トットナムに加入。


その前はアヤックスやローマにも在籍していたが、彼が注目を集めたのは05/06シーズンにトットナムで24試合に先発して11ゴールを挙げた時だろう。


その後はご存知のようにベルバトフやロビー・キーン、さらにデフォーなどとポジション争いの末、出場機会を求めて07/08シーズンミドルズブラへ移籍した。


しかし、ミドルズブラでもケガやアフォンソ・アウベスとのポジション争いから今シーズンもなかなか出場機会がもらえないでいた。


その結果、チーム内の雰囲気にも馴染めずウィガンにやってきたのだ。


彼の特徴はその風貌からもわかるようにとにかく気迫溢れるプレーをするところだ。


まさに獅子奮迅という四字熟語が最も似合う男ではないだろうか。


少しざっくりとしたプレーが目立つが、それは彼のカリスマ性でカバーされているということにしたい。


ここ最近は出場機会に恵まれなかったこともありコンディションが上がらず、彼らしいプレーを見ることがなかなかできないが、試合にコンスタントに出場する事ができればその辺は問題ないだろう。


先日行われた対リヴァプール戦でも早速先発出場し、PKではあったが貴重な同点ゴールを挙げ、リヴァプールと1-1の引き分けに持ち込んでいる。


内容はまだチーム内のコンビネーションが合っておらず、ザキとのエジプト代表コンビもまだまだこれからという印象を受けたが、今後はウィガンの大きな楽しみの一つになっていくだろう。



そして、コロンビア人のロダジェガに関しては正直まだ魚でも肉でもない(正体不明)と表現しておきたい。


リヴァプール戦には途中出場し、南米の選手らしく足元の上手さなどは確認できたが、彼がどういったプレーを得意としているのかはまだまだわからない。


ただ彼がザキに替わって入ってから、ウィガンの攻撃のリズムが良くなり、PKの獲得に至ったことと、試合終了間際のFKがクロスバーを直撃し、リヴァプールを狼狽させたことを考えれば、そのポテンシャルは相当期待できる。



今後ウィガンの浮沈の鍵は間違いなくこのエジプト人とコロンビア人になるだろう。


そして、プレミアリーグに在籍しているクラブの中で最も観客動員数の少ないJJBスタジアムに、より多くのサポーターがつめかけるようになることを願うだけである。


その為には青と白の縞々のユニフォームが4強相手に勝利をおさめる事が必須なのかもしれない。








THE GREAT ESCAPE(大脱走)


クリスマスを最下位で迎えたチームはそのシーズン必ず降格する。


そんなプレミアリーグの格言とも言えるジンクスをプレミア史上唯一破ったチームがウエスト・ブロムウィッチ・アルビオンだ。


04/05シーズン、クリスマスを最下位で迎えたWBAは最終節を迎えた時点でもまだ最下位にいた。


しかし最終節、シーズン終了までユナイテッドからローンでチームに加わっていたキーラン・リチャードソンなどのゴールでポーツマスを2-0で下し、サウサンプトン、クリスタル・パレス、ノリッチを飛び越しプレミアリーグ残留を決めた。


こうしてプレミア史上初の奇跡を起こしたチームは、今シーズンもまたクリスマスを最下位で迎えていた。


バギーズのサポーターは「おれらのチームにはそんなジンクスは通用しないぜ」と誇らしげに言うが、果たして今シーズンも再びあの奇跡を起こすことができるのだろうか。


まず単純にデータ上でその可能性を検討してみたい。


“大脱走”を成功させたシーズンの最終成績は勝ち点34、得失点差が-25だった。


今シーズンは24試合を消化して勝ち点22、得失点差も-22と失点が少し多いものの、勝ち点は今後の試合を考えればそこまで大差はないように見える。


しかしここで注意しておきたいのは、今シーズンのプレミアリーグは史上稀に見る大混戦の様相を呈しているということだ。


昇格組が今シーズンは素晴らしい奮闘ぶりをみせ、さらに中堅組が堕落する状況が目立つ。


それ故、上位陣はそれぞれ勝ち点3を積み上げるのに苦労し、下位陣は勝ち点1を拾うような姿勢を見せている。


現時点で下位に関しては、もし連勝するようなことがあれば、一気に順位を3つ、4つ上げることもできるのだ。


つまりもしこのまま上位陣の取りこぼしが続くようなことがあれば、残留に必要な勝ち点は上がり、優勝に必要な勝ち点は下がるという結果が生じてくる。


ではこの状況は、WBAの大脱走の可能性を高くしたのか、もしくは低くしたのか。


個人的には大脱走の可能性は高くなり、降格の可能性も高くなったと解答しておきたい。


つまり、THE GREAT ESCAPE(大脱走)をできるのはWBAだけだが、単なるESCAPE(脱出)ができるチームは増えたということだ。


下位陣の勝ち点差が縮まることによって、どのチームも一気に順位を上げて逆転しやすくなったのだ。



では次に大脱出を成功させる要因について検討していきたいところだが、04/05シーズンその要因になったのは冬の移籍だった。


その移籍期間に加入したキーラン・リチャードソンがチーム残留の立役者になったのは既に述べたとおりで、低迷しているチームに刺激を与えるためにうってつけなのがこの時期の移籍なのだ。


そして、今シーズンWBAが冬の間に獲得したのはジェイ・シンプソンとフォルトゥネという2人のFWだった。


それぞれアーセナルとナンシーからのローン移籍だが、先日行われた対マンチェスター・ユナイテッド戦にも二人揃って先発するなどトニー・モウブレイ監督の期待は大きいようだ。


残念ながらその試合はロビンソンの退場などもあり0-5と大敗を喫したのだが、前半は二人の関係で面白い攻撃を仕掛けていた。


この二人を取ったことによってそれまでFWで起用されていたベトナーシやルーク・ムーアの出場機会が減ったが、それでもチームにとっては良い刺激になったのではないだろうか。


新加入の二人が今後どこまでの活躍ができるかによってWBAの大脱走の可能性に大きく影響してくると思われるが、個人的にはWBAのグレイト・エスケープを再び見てみたいものだ。


ジンクスの通用しない唯一のチーム


そう誇らしげにバギーズサポーターがにやつく姿が想像に難くない。












今シーズン、エバートンはここまでBIG4とアストン・ビラに続いて上位に付けている。


いや、今シーズンと言った方がより正確かもしれない。


06/07シーズンは最終成績6位、07/08シーズンは5位とここ数シーズン安定した強さを維持していて、BIG4を優勝候補の本命とするなら、エバートンはまさに対抗馬という位置づけがふさわしい。


それはその他の馬とは違い、4強時代に終止符を打つ存在に最も近いということを意味している。


では、エバートンは単なる中堅クラブからいかに常に上位を伺えるクラブになったのだろうか。


まず一つはデイビット・モイーズという騎手の存在が非常に大きいだろう。


2002年3月から指揮を執りはじめた彼は、年々着実にチームのレベルアップを図ってきた。


もちろん苦しいシーズンを何度か経験し、今のポジションにまでチームを引き上げてきたわけだが、選手の移籍にお金を使えない中、彼は非常に面白い選手に目をつけてきた。


ジェセフ・ヨボを始め、ティム・ケイヒル、ミケル・アルテタ、そしてマルアヌ・フェライニと今これらの選手がエバートンで活躍し、評価を高めているのはデイビット・モイーズの選手鑑によるところが大きいだろう。


そして、一昨シーズンからのスピーディーかつ綿密なゲームの組み立てと堅固な守備はモイーズ監督がエバートンにもたらしたもので、他の中堅クラブから頭一つ抜き出る一因となっている。


先日行われたアーセナルとの試合でも選手一人一人が明確な意図を持ってプレーしており、チームコンセプトがあやふやになっているアーセナルを攻め立て、見事先制点を奪うこともできた。


結果はアーセナルのエース・ファン・ペルシに個の力でゴールをねじ込まれ1-1の引き分けに終わったが、チームとしての完成度はエバートンの方が圧倒的に高かったと言える。



そして2つ目はエバトニアンと呼ばれるサポーターの存在が大きいだろう。


すぐ隣にリヴァプールと言う世界的にも人気のあるがいる中で、エバトニアンは決して強いというだけで他のに賭けたりはしない。


ただ自分達の愛馬を信じて熱心に声援を送る姿は、まさに蒼き炎のようだと形容できるかもしれない。


特にそれはリヴァプールとのマージー・サイド・ダービーでより顕著になり、赤と蒼の戦いは単なるダービーとは様相を異にしている。



そして、今シーズンヤクブやサハといったFW陣に相次いでケガ人が出て、とても苦しい状況に追い込まれたエバートンだったが、ケイヒルがFWとして覚醒し、新加入のフェライニが思った以上にスムーズにチームに馴染み、大きな武器になっている。


更にFWのジョーをマンチェスター・シティからローンで獲得し、チームの馬力はより大きくなった。


ユナイテッドを除く本命各馬が失速し始めていることを考えると、対抗馬であるエバートンが大外からぶち抜く可能性は十分にある。


今シーズンこそゴール付近で両腕を大きく挙げて歓喜するエバトニアンの姿を見ることができるかもしれない。