伝統的に熱いフットボールを展開するノースイーストの古豪
ニューカッスル・ユナイテッド(愛称:マグパイズ)
これまでリーグ優勝4度を誇り、FAカップは6度制している。
いずれも1900年代の初期から中期にかけての栄冠だが、日本にもニューカッスルのサポーターは多いのではないだろうか。
それはアラン・シアラーという偉大なストライカーの存在によるところが大きい。
初めて白と黒の縞々模様のユニホームを観たのは、サー・ボビー・ロブソン監督が率いていた時だった。
自陣ゴール付近でボールを奪ったニューカッスルは、素早く前線のシアラーへボールを渡す。
すると左サイドを快速をとばしてベラミーが駆け上がり、シアラーが絶妙なパスを通す。
左サイドのベラミーが駆け上がるのと同じぐらいのスピードで3、4人の白黒縞模様のユニフォームが中央へ駆け上がってくる。
ベラミーが味方の勢いを殺さないクロスを上げ、ニアサイドの選手がスルー、最後はシアラーが右足を振り抜き、ボールはゴールへと突き刺さる。
その瞬間ゴール裏のマグパイズサポーターは狂喜し、スタジアムは最高の雰囲気に包まれる。
そんなシーンを見た瞬間、僕は一瞬にしてニューカッスルの虜となってしまった。
「4点獲られても、5点獲ればいい」
サー・ボビーの超攻撃スタイルはその当時どのチームよりも格好良く、アラン・シアラーのゴールはまさに職人芸だった。
例え負けたとしても完璧なカウンターを見せるチームにサポーターは誇りを持っていただろう。
そんなイメージが頭から離れないため、今シーズンのニューカッスルを見た時は愕然とさせられた。
選手も監督も替わり、時代も変わったのはわかっていた。
しかし、マグパイズは1点を取って守りきるチームではだめなのだ。
マイク・アシュリーオーナーのクラブ売却問題、ケビン・キーガンの早すぎる更迭、エースであるマイケル・オーウェンの相次ぐケガなど、様々な問題が発生し、チームの調子は落ち込むばかりだ。
選手層を見る限りでは下位をうろうろとしているチームではない。
確かに今はオーウェンを始め、ヴィドゥカ、マルティンス、アラン・スミスとFW陣のケガ人が続出し台所事情は非常に厳しい。
しかし、それをいい訳にするようなチームをマグパイズサポーターは潔しとしないだろう。
FWにはアメオビや若手のキャロル、MFにはダフ、グティエレス、バット、それにこの冬ボルトンから加入したノーランがいて、DFにもコロッチーニとバソング、GKはギブンの移籍により正ゴールキーパーとなったハーパーがいる。
このメンバーを揃えて勝てない理由がどこにあるのだろうか。
先日行われた対サンダランド戦のノースイースト・ダービー、結果として1-1の引き分けに終わったのだが、もしシセが後半途中に負傷退場していなければ負けていただろう。
67分にスティーブン・テイラーが戦う姿勢を見せ、PKを獲得したのは、ホームの利というのも考慮してもとても立派だった。
ノーランも加入したばかりだったが、このダービーの大切さを十分に理解して戦っていたし、バットはいつも通り熱い戦いを見せ、グティエレスとダフは果敢に勝負を仕掛けていた。
DFのコロッチーニとバソングも必死に体を張ってシセとジョーンズを抑えていたし、ハーパーはギブンに勝るとも劣らないパフォーマンスを見せていた。
だがチーム全体として戦っていたかというとそれは首肯できない。
FWのキャロルは経験が少なく、上手く自分を出すことがあまりできていなかったし、アメオビに関しては集中がきれているシーンが目立ち、何よりもシュートスイングの遅さは致命的だった。
後半はほとんどの時間を攻撃に費やしていたニューカッスルだったが、PK以外に得点を奪えなかったのはこの二人が原因と捉えられても致し方ないプレーぶりだった。
チームとしての攻撃の型はなく、若いキャロルにはどのように動けばよいのかはっきりとしなかったとするならばそれまでだが、せっかく戦う姿勢を持っているのなら、ジョー・キニア監督は何か策を講じるべきだっただろう。
過去を振り返ってばかりでは仕方ないが、再び白と黒のユニフォームがピッチで躍動する姿を観たいものだ。
今のメンバーで考えるなら中盤でノーランとバットがボールを繋ぎ、バットとグティエレスがサイドからクロスを入れ、アメオビとキャロルがセンターでそれを合わせるという攻撃パターンが理想的かもしれない。
今一度ここで勇猛な戦士達にエールを送ろう。
戦え、マグパイズ!!