イングランド・プレミアリーグ学 -3ページ目

イングランド・プレミアリーグ学

イングランド・プレミアリーグを色んな角度から分析していく学術的ブログ☆

あなたはもう今季プレミアリーグの覇権争いは終わったとお思いだろうか。


マンチェスター・ユナイテッドがその揺るぎない安定性をもってリーグを制すると。


確かにその可能性が一番高いということは認めざるを得ないが、サッカーとは最後の最後まで何が起きるかわからないスポーツなのだ。


そしてここで断言しよう。


覇権争いはまだ終わっていない。


なぜならブルーズはまだ死んでないのだ。



今季モウリーニョショックから立ち直るべくブラジルの名将フェリペ・スコラーリを監督として迎えた。


スコラーリの愛弟子であるデコもバルセロナから呼び寄せ覇権奪還への体勢は整ったかのように思われた。


しかし現実はそう甘くはなく、ポゼッションサッカーを信条とするスコラーリサッカーはチェルシーサッカーとはそりが合わず、各選手の士気も下がりきっているようだった。


不甲斐ない試合内容の結果、サポーターからの不満の声も挙がり、ついにフェリッポンの愛称で呼ばれた監督はスタンフォード・ブリッジを後にすることになった。


そして新たに迎えられたのはヒディングマジックでお馴染みの現ロシア代表監督を務めるフース・ヒディングだ。


どうやらオーナーのアブラモビッチの懇願によってロシア代表とも兼任でチェルシーの監督を今シーズンいっぱいまで務めることになったようだ。


そして初戦をアストン・ビラに1-0で競り勝ち、チャンピョンズリーグではユベントスを退け、続くウィガンをも2-1で下しここまで3連勝をあげている。


アストン・ビラ戦は1-0と数字を観ただけではただギリギリで試合に勝ったという印象しか受けないかもしれないが、試合を観た立場から言わせてもらえば明らかにチェルシーは変わっていた。


何よりも選手一人一人の表情が変わり、気持ちが充実した感じでプレーからは今シーズン感じることのできなかった気迫が伝わってきた。


そう、あの栄光時代を築いたチェルシーの強さが戻ってきたのだ。


選手達はボールをワンタッチ、ツータッチでまわすようになり、スコラーリの時はショートパスばかりでロングパスをほとんど見ることができなかったが、この試合では効果的なロングパスが何本か見られた。


元々技術の高い選手が揃っているのだからロングパスが通ることは当たり前のように思われるかもしれないが、サッカーの質自体が変わったことに驚かされた。


ヒディングマジックとはここまで全てを変えてしまうものなのか、ドログバとアネルカがボールに絡むとワクワクする感覚を久々に感じることのできる試合だった。


ビラの調子が落ちているという事実はもちろん加味すべき事だが、チェルシーの大人なサッカーに手も足も出ない状況だったのは誰が見てもうなずけただろう。


そしてユベントス戦が終わった後、中2日で行われた対ウィガン戦。


この試合も感想を言わせてもらえば、チェルシーのチェルシーによるチェルシーらしいサッカーを観ることができた。


前半立ち上がりからの20分間と選手交替の隙をウィガンに突かれ得点を許した時間帯を除いてはチェルシーがウィガンゴールに猛然と襲いかかり、相手GKのカークランドとDFのブランブルとボイスの粘りに阻まれたため大量得点には至らなかったが、息を呑むシーンは何度も観ることができた。


そしてこの試合で最も良かったことは後半ロスタイムにランパードが勝ち越しのゴールを挙げたことだ。


ウィガンに一瞬の隙を突かれ同点に追いつかれてしまい、ユベントス戦の疲れの影響も出てきたせいか選手の動きが鈍くなっていたが、サッカーの真髄を知る男がこの試合にけりをつけてくれた。


実はヒディングサッカーによって最も輝きを取り戻したのはアネルカでもドログバでもなくランパードなのだ。


モウリーニョが率いていた時と同じくランパードは前線によく顔を出し、積極的にボールに絡むと同時にゴールを狙う。


こういったプレーこそがランパードの真の魅力であり、リヴァプールのジェラードと渡り合えるMFの姿を久々にこの試合で見ることができた。


このランパードが奪ったゴールのごとくチェルシーはまだ覇権奪取を諦めていない。


ブルーズはまだ死んでいないのだ。


ヒディングマジックによって命からがら奈落の底からはい上がったチェルシーをシーズン終了時まで軽んじることは決してできないだろう。





今シーズン開幕前、スカイブルーのユニフォームがピッチで躍動する姿を多くのサポーターが楽しみにしていた。


アラブの大富豪がバックに付いたことによる超大型補強の実現。


ローバーズでその手腕を見せた名将の獲得。


そこには雲一つない青空が広がるはずだった…


しかし、シーズンが進むにつれ思わしくない成績に誰もがこう呟く。


「こんなはずじゃ…」


今、スカイブルーの空には暗雲が立ちこめている。



ロビーニョ   (63億円)

ジョー     (38億円)

コンパニ    〈非公開〉

ベン・ハイム  (0円)

サバレタ  〈非公開〉

ベラミー  〈19億円〉

ブリッジ  〈13億5千万円〉

デ・ヨング  〈24億円〉

ギブン  〈非公開〉



これだけの選手を獲得してシティが今シーズンを無事に過ごせるとは思えない。


現にこの内、ジョーとベン・ハイムは既に他のチームへとローンへ出されてしまった。


なぜこんなことになってしまったのだろうか。


それを読み解くためには2つのクラブを例に挙げるべきだろう。


数シーズン前のレアル・マドリードとチェルシー。


この2つの過去のチームとシティの今のチームに共通することは“過剰移籍”である。



言わずと知れたスペインのメガクラブ・レアル・マドリード。


銀河系軍団と謳われたそのチームはジダン、フィーゴ、ベッカム、ロナウド、ファンニステルローイと次々と世界のスーパースターをかき集めチームを作った。


各々の選手は言うまでもなく素晴らしいプレーを見せ、ジダンやフィーゴの美技に酔いしれた時もあった。


しかし、そんな宇宙一の集団は結果として崩壊してしまった。


その要因は明瞭で、個が強すぎるあまりチームとしてはまとまらなかったのだ。


そして、チェルシーの場合もまたしかりで、シェフチェンコやバラック、グジョンセン、クレスポなどを集め魅力あるチームを作ろうとしたが、それに失敗。


何人かの選手を放出し、監督にモウリーニョという人心掌握に長けた男を就けたことによってチームはまとまりを見せたのだ。


このようにお金だけではチームは強くならないということがおわかりいただけるだろうか。


確かにスキルの高い選手を集めることはチームの強化、そして巨大化には欠かせないことだが、それと共にチームのまとまりというものが必要になってくる。


その役割を大きく担うのが監督であり、良い監督なしではチームの強化などありえない。


その点に関してはマーク・ヒューズはこれだけのタレント集団を扱う器ではなかったのかもしれない。


もちろんシーズン終了時までその判断をするべきではないと思うが、もしUEFA圏内を逃すようなら選手の顔ぶれから判断して罷免されても仕方ないだろう。


今シーズンは若手監督がすぐに罷免されるケースが多く、その善し悪しは議論を要すが、もしアラブの大富豪が寛容でないのならヒューズの運命は火を見るよりも明らかだ。


そうなるとオイルマネーで再び高額な監督を呼び寄せるのかもしれないが、スカイブルーの空がが油まみれにならないことを願うばかりだ。









ここではこの冬に移籍した主な選手を紹介します。




ストーク・シティ


 IN: J・ビーティ ← シェフィールド・ユナイテッド


    エザリントン ← ウエスト・ハム


    アンリ・カマラ ← ウィガン〈ローン〉





サンダランド


 IN: ダヴェンポート ← ウエスト・ハム〈ローン〉

 

    ベン・ハイム ← マンチェスター・シティ〈ローン〉


 OUT: チョプラ → カーディフ〈ローン〉





トットナム・ホットスパー


 IN: ジャーメイン・デフォー ← ポーツマス


    ロビー・キーン ← リヴァプール


    パラシオス ← ウィガン


    クディチーニ ← チェルシー




ウエスト・ブロムウィッチ


 IN: ジェイ・シンプソン ← アーセナル〈ローン〉


    フォルトゥネ ← ナンシー〈ローン〉


    ユスフ・ムルンブ ← パリ・サン・ジェルマン〈ローン〉




ウエスト・ハム


 IN: サビオ・ヌセレコ ← ブレシア


 OUT: エザリントン → ストーク・シティ

   

      ダヴェンポート → サンダランド〈ローン〉


      フォベール → レアル・マドリッド〈ローン〉




ウィガン


 IN: ミド ← ミドルズブラ〈ローン〉


    エンゼゴビア ← ニューカッスル


    ロダジェガ ← ネカクサ …メキシコ・リーグ


 OUT: エミール・ヘスキー → アストン・ビラ


      パラシオス → トットナム


      ライアン・テイラー → ニューカッスル

   

      アンリ・カマラ → ストーク・シティ〈ローン〉