東京夜光「世界の終わりで目をつむる」全公演を終えました。ご来場いただいたみなさま、ありがとうございました。
芝居をつくっていく過程で出会ったみなさまにお礼申し上げます。不愉快な気持ちになった方がいらっしゃったなら、本当に申し訳なく思います。
初めは人間観察のつもりでした。それがあるとき、ひとりの青年に出会い、わたしは彼のことを知りたいと思いました。なんだか違う世界を見ている彼を、わたしの世界に連れて来たい気さえしました。ここから外へ出て、あたたかいお茶を飲みながら話したい。
どんな音楽を聴くのか、季節ならいつが好きか、この夜の月は、彼の瞳にどんな風に映るのだろう?
知りたい気持ちの結晶として彼女が生まれていけばいい、まったく想像のつかない誰かが生まれたらいい。彼女がそこに居る、それだけにしたい。芝居という嘘に嘘を塗り重ねないように。
けれども最終的には彼女が生まれたというよりは、芝居というものでどうにか自分を保とうとしている、この世界で不安なわたし自身だったのかもしれません。
川名くんと丸山くんが居るならおもしろいものができるのだろうとわたしはどこか信じていて、でもその分自分の感覚を疑うというか、そんな反省はありますが、信じられるひとたちとできるのは何よりしあわせなことだと知っています。どうやら好評のうちに全公演を終え、うれしく思います。すてきなひとたちと出会えて幸運でした。「裸足の思い出」と続けて川名くんの作品のなかで生きられたこと、ありがたく思います。
稽古を見ながら、みんなしあわせになりたいんだな、と思いました。ただしあわせの在り方がそれぞれ違って、彼女はしあわせを来世に求めている。
それは、絶対にかなわない恋のようでした。「いつか」を描いている間はしあわせで、そのひとが傍に居ないときも気にかけ、そのひととの予定を最優先し、しかし「いつか」はなかなか来ない。もう来ないのではないかと考え始めると、途端に不幸が襲ってくる。諦めてしまえば、これまでの日々が無駄だったことになる、それは嫌だ、きっと自分が弱いから疑うのだ、信じる強さがほしい。そのひととの「いつか」だけが希望だから。他の誰かが現れれば抜けられるかもしれないけれど、自分の力では抜けられないのです。
願わくはあなたが、今この世界の誰かを大切に想い、そのひとをほんとうに大切にできますように。描いた「いつか」がかなわなくても、思いがけないあたたかな日がやってきますように。
良いクリスマスをお過ごしください。