いいよ、ってこぼれたことば走り出すこどもに何をゆるしたのだろ
ふと読んだ歌が引っかかっていて、東直子さんの『春原さんのリコーダー』を手にした。
「いいよ」と、その前に在る「〜していい?」
どうしてわたしに聞くんだろ。そんなことまで聞くのかな。色々言い過ぎたのかもしれない。わたしは戸惑って「どう思うの?」とか「いいのよ」とゆっくり返してみる。
自分が何気なく使う言葉が子どもの鏡で反射して反省してわたしは言葉を選び出す、そんな日々。
この歌に詠まれているのは、何も考えずに返した「いいよ」のあとの違和感、不安のように思われるけれど、「いい」「いけない」を日々問われ答えることに、本当にこの子の世界を作っているのは目の前のわたしらしい、神じゃないのに! と、こわくなってしどろもどろしている自分にも、ちょっと見える。
「いいのよ!か!」とパキッと笑う子に、少しほっとはしたけれど、「の」一つでこの子の世界をやさしくできるもんか。
『春原さんのリコーダー』東直子 ちくま文庫