エビ煎餅。
(文章の始まりが
地味な食べ物スタートという
規模の小さい滑り出しになりますが
どうぞ読んでいただけたら)
エビが入った煎餅。
略してエビせん。
えび煎
いろんな書き方がありますが
気をつけないと
えび先 と誤って書いた場合
お煎餅ではなく
エビに似た中学校の時の
先生の呼び名のようになってしまうので
今回は
エビせん
で行きたいと思います。
先日
エビせんについて
真剣に考えてみる機会に恵まれました。
ありがたい話です。
この忙しい世の中、
そんな平和な時間をいただけるとは。
えびについては、幼少期から
散々考えたきたのですが
えびセンは盲点でした。
(なんのや)
ある日、ステキなアーティストさんのライブに
ステキなアーティストさんのお友達が
連れて行ってくれるという
輝いた予定がありました。
楽しみにしていましたが
その前に、人にお会いする予定があり
数時間、和やかにお話しした後
別れ際に
「どうぞこれ。
お荷物になってしまうかもですが」
✨
とご丁寧にお土産を差し出してくれた。
わあ、ありがとうございます!
と喜んで受け取りながら
紙袋に目がいった。
大きな字で
えび
と書いてある。
背景には
活きのいいエビの絵が
景気良く、大きく描がかれていた。
おお…✨
そこで思った。
エビせんて
紙袋にエビの絵、すぐ描くなあ。
エビの絵が描いていない、
えび煎用の紙袋を見たことがない。
なんなんだろう。
ものすごい自信だ。
その紙袋を持つ方の身になってほしい。
あ、あの人エビせん買ったんやな。
もしくは貰ったんやな。
エビせんが好きなんだな。
そういえば好きそうな顔してるな〜と
みんなにバレバレじゃないか。
持って来てくれた方も
思ったよりえびの主張が強い紙袋を渡され
私に会うまで
少しの恥ずかしがあったに違いない。
えびは私にバトンタッチされた。
それにしても、おなじエビせんでも
海老そのものをぎゅっと煎餅に
押し付けているタイプのエビせんが
多いように思う。
ヒゲや足の躍動感があるまま
ギュッとそのままの姿を
押し付けられていて、よく考えてみると
なんて暴力的な煎餅なんだ。
(煎餅に貼り付けられるなんて
エビの立場になると、震え上がること
この上ない。)
その押し付け煎餅パターンの中でも
(押し付け煎餅て、なんだ)
エビが立体感をまだ残している
化石タイプと
エビが完全に煎餅と同化して
表面がフラットになっている
ナスカの地上絵タイプに分かれていて
さらには、エビをくだいて
まんべんなく練りこんだ
オレンジ色の散骨タイプもある。
何、言っとんねん。
ここまで書いて、急にそう思った。
話を戻すと
エビがでかでかと書かれた
エビせんの紙袋を頂いて
わたしは迷った。
すごく嬉しいし、すごく食べたいねんけど
これからな、
お洒落なアーティストさんのライブに行くねん。
これを
そこにぶら下げていくのか。これを。
zeep東京に
エビの紙袋持参で行くのか。
えびの方も
未来透視ができるえびの仲間に
あなた、将来zeep東京に行ってますよと
言われて
まじで!?そんな奇跡ある?と喜んだのに
煎餅としてですけどね。と言われ
プラマイゼロやないか。
とがっかりしなくてはいけない。
ほかの考えも浮かぶ。
差し入れ、どうしようかな。
買う時間なかったな。。
じゃあ、これは!?
このえびせん、高級なお品だし
ちょうどいいんちゃうん。
頂き物やけど差し入れということにするか?
いやいやいや
瞬時に、ものすごい勢いでかき消した。
若手お洒落アーティストさんに
エビせん、渡すんかい!
しかも本人さんと面識はないから
知らん人からの、急なエビせん。
素晴らしいライブでお客さんを盛り上げ、
喉もカラカラのところに
知らんやつが楽屋に現れ
ニヤニヤしながら
良かったらどうぞ。
と
えびと書いた紙袋を手渡してくる。
えびせんや…!!
怖い上にえびせんという響きが
どうしようもない間抜けな空気を流し
そして、それと同時に私は
えびせんの人
になり、彼らの記憶にずっと
えびせんの人と残るのだ。
下手すれば
えびせん、もっと悪けりゃ
えびになる可能性もある。
いろんな考えが頭をかけめぐるが
一応
連れて行ってくれるアーティストさんの友達に
楽屋は行かずに、差し入れだけ
渡しておいてもらおかな..
とひとり言風につぶやくと
楽屋行かないんですか?
いいですよ!渡しますよ。✨
と快諾してくれたので一応
買う時間がなくて 、頂き物の
えびセンやねんけど…やっぱ変やんなあ
と言うと
え?
と聞き返されたので
えびセンです。
と言うと
えびセンか〜笑笑
美味しいけど、なかなかに
楽屋にえびセン持って行きづらいな〜笑笑
と笑った。
そらそうや。
私という存在が消え、
えびセンのみになった今
このお洒落なアーティストの友人が
楽屋まで
この「えび」とでかでかと書かれた紙袋を
ぶら下げて歩くのだ。
私に託されたのに
彼自身がえびセンを選び、えびセンを購入し、
えびセンをぶら下げてzeep東京にやってきて
全力でまさに今
「えびせん」を差し入れしに
楽屋に向かっていると
スタッフさんに思われたまま、
彼は歩かなくては行けないのだ。
彼のアーティストとしての
世界観に、えび煎餅は似合わない。
差し入れは、やめることにした。
でもね
えびセンを差し入れにくれる人がいたら
その人
いい人なんやろなと思いません?
と思いの丈を彼に投げかけてみると
確かに!!嫌いでイキってると思ってた奴が
えびセン差し入れに持ってきてくれたら
見直します。
あ、こういう優しいものを選ぶんだ✨
て好きになります。
と返ってきた。
わかるわかる!
スカしたお洒落な人が
ゴディバのお菓子を持ってきても
そうだろうね
となるけど
えび煎餅持ってきてくれたら
あれ?もしかして庶民派か?
と好きになるねえ!!
と盛り上がった。
えびセンは人を幸せにするね
と結論が出た時に
発展途上の国のために
募金してくださいと
突然、女性が目の前に飛び出してきた。
かなりの怪しさを醸し出していたが
綺麗な目をしているように見えたので
幸せの延長で
2人とも、迷わず募金した。
色々言いましたが
えびセンを隠し持って
素敵なライブを見せていただいた後
家に帰って食べました。
かなり、美味しかった。✨
ありがとうございます!