今村くんをやっと見ました!
(何故か見る機会が全然無かった…)
前回分析したのはあくまで高校生である2年前。
そして今回2013年10月2日の内容を見て分析したいと思います。


最初に言いたい事として、別人のように良くなっていますね。フォームについては高校時代に比べて良く工夫されているなぁと感じました。私が特に酷評した変化球についても驚くほどの進化をしています。別人です。

※技術の細かい部分は以前に分析したブログで記載しています。今回は変化したと感じる部分の印象であり、確認が主な内容です。


《フォーム始動》
フォームについて最初に思ったことは「全部セットポジションなんだ」ということ。恐らくそれは軸足に安定して、よりシッカリと体重を乗せたいという考えからと思います。投球始動時に一旦右足に体重を乗せて、反動で軸となる左足に体重を乗せています。ダルビッシュが使用していた技術で、打者でも高橋由などが使用しています。リズムで足ふみをする感じです。たたんっ。高校時代には使用していなかったので、軸足に体重を乗せるのが上手くなったなぁと思いました。


《軸足で立つ》
綺麗に立てています。高校時代も上手でしたが更に真上へ位置エネルギーを動かす工夫をしています。それがハッキリと出ているのが振りかぶった腕。肩の高さより高く肘が上がります。高校時代は殆ど上がっていません。コンパクトに纏まっていた形です。今はあえて動かす事で、合わせるように足も「上へ上へ」と高く上がっています。


また、グラブの中で一つ叩くようにリズムを作っています。杉内のアレンジバージョンでしょうか。キャッチボールでもするように腕がリラックスしています。高校時代に力みやすかった部分を修正しようという努力が見えます。元々欠点の少なかったフォームですが、あえてハッキリと意味を持ったフォームへ改革。これら一連の「軸足で立つ動作」は要求される技術・センスも高く、リスクはありましたがナイスチャレンジです!意識の変化を強く感じる形です。


《重心を落とす》
元々この技術も非常に高い選手でしたが、軸足の立ち方がより高いレベルに来たため腰を落とす形も非常にプロらしくなってきました。間違いなく下半身が強くなっている。肘や肩も綺麗に上から出やすい深みのある重心で、縦の変化球への可能性を感じさせます。


《体重移動》
低い位置で椅子に座っている形のまま、体が横に移動。上体もバランスが良い。高校時代より、かなりハッキリと体の旋回を止める右手の使い方。止めるという意思を強く感じます。それにより、以前よりは上体の突っ込みを抑えられている。前へという意思が強すぎて歩幅も広かった選手ですが、歩幅も抑えられ低すぎる重心が力の入りやすい箇所で安定しています。ここでも成長を感じます。


何より球持ちがいかにもよく見える投球フォームの間。
今後、打者のタイミングを微妙に外し、高度な駆け引きを可能とする足運びをしています。良いですね。実戦の中で、色々試して欲しいです。


《開き》
グラブを抱え込むまで上体の旋回が中々始まらない粘り。ここも強くなったなぁという感想。特に変化球で開きに問題を感じていたのですが、スローカーブでもしっかりと腕がトップで我慢している。変化球のレベルが上がったのではないかと見ただけで感じます。一番気になっていた「開く動作の前に骨盤が下を向いてしまう形」も修正できており、プロの投手として恥じないフォームを身に着けたと、もうここの時点で評価したい思いです(笑)。


《スローイング》
やはり相変わらず前後エネルギーを激しく使うタイプですね^^
開くと同時に胸が前へ一気に出てきます。ただ、肘の高さは高校時代よりも高く維持されているので、問題ありません。むしろこの動作が打者のタイミングを外すタイプ(力で押すタイプではない)になっている要因かも知れません。踏み込んだ足と投げる肩を近づけるように投球動作をするのは理にかなった動作で、ここまで強く出ている投手は珍しいですがフォームとしては逆に安定するのではないでしょうか。頭の位置も大きく動いていません。バランスの良いスローイングと思います。


逆に頭が横を向いたり動き出すと力んでいる証拠で、ボールが行かなくなります。この試合ではメンタル的にキツイ状況になるとその癖がヒョコッと出てくる。5回からだったので、タイミング的にスタミナ切れもあるかもしれません。


《ストレート・変化球》
<ストレート>
140キロ超で安定して投げ込んできます。ストレートの威力はありますね。特に腰から高め近辺のストレートは打者が振り遅れ傾向で威力を感じます。逆に高校時代とは逆で低めは垂れる傾向にあります。1試合だけですが比較的コントロール良く投げている印象で、ストレートは破綻がない感じです。ただ、クイック時と繰り返しですが低目の威力が・・・。フォームが大きく変わった影響でしょうか。


高校時代も威力のないストレートに張られ、大量失点というパターンを見せていました。KOされるとしたら、いまだに生命線となるストレートの出来ということは十分ありえます。高めのボールにタイミングが合うようになったら変え時。コントロールは重要ですが荒れてる日もあると思います。そんな場合は案外ストレートの威力を重視した方が打ち損じてくれるパターンの投手かもしれません。


<カーブ>
笑ってしまいました。凄いスローカーブですね。オリックスで活躍した星野や中日の今中ばりのスローカーブです。打者の目線から一瞬消えるのではないでしょうか。ヘルメットのつばが邪魔で(笑)。高校時代のカーブはアマチュア仕様でプロではまったく通用しないという評価をしました。まさか、このような進化をしてくるとは脱帽です。二軍コーチの方も含め、素直に賞賛です。


1回に1・2球投げれば打者は結構気になるようで、いかに打者に見せるか。決め球以外で困ったときのとっておきという使い方がしっくりきているようです。もう少し、変化球としての威力を計算できる(今のところボール球になってしまうと打者を崩せていない)とローテーションは硬くなってくる感じですね。
スローカーブの名手だった今中はコースは真ん中でも構わないのでベースに落とす感覚と言っていました。そうすると打者が振ってくれる。 このレベルを期待したいと思います。


また、逆に高めに落ちてくるストライクギリギリのスローカーブなんて打者からしてみれば、視界に入れる為に顎が上がりアッパースイングで打つしかないのでまず打てないと思うんですよね(笑)。軸が崩壊しますし。金田正一氏がそんなカーブを投げていたと言う話を聞いたことがあります。一案としてコントロールできると面白いかと。


<スライダー>
これは驚いた。というべきでしょうね。大学生にも通用しないと思っていたスライダーが完全にプロでも通用しそうな切れになっていました。スピードも若干上がって、打者もある程度張っていないとしとめられない感じ。コントロールも良く、現状カウントを稼ぐ一番の球種になっています。以前は高速スライダーの習得を期待していましたが、カーブの遅さを考えると、これ以上速くなる必要は全然ないですね。


注文をつけるとすると空振りを狙うパターンとストライクを取りに行くパターンの明確化。阿部のサインを理解できずにストライクを簡単に取りに行くシーンが見受けられます。まだそこまでの技術は無いのかもしれません。現状、スライダーのカウントを取る球が甘くなる傾向にあり、それを痛打されている。一番使用している変化球なので、初球の入り方を含め工夫して欲しいポイントですね。


<チェンジアップ>
この球種をぜひ覚えてほしかったと思っていたので、これは嬉しい。投げれるだけのフォームは身に着けているのでもっと使用して欲しい球種。特に右打者対策として非常に有効になってくると思います。右打者には3割以上打たれているので、この球種はポイントと感じます。ただ、まだ杉内のような自信をもって投げ込めるレベルではないのでしょうね。


これが投げれるようになると先発ローテーションを外れた場合、中継ぎとしても非常に期待が出来ます。現状、中継ぎを考えると左打者ワンポイントかロングリリーフが役割になってしまいます。限定的。ワンシームかチェンジアップか。もう一つ武器が欲しい。器用なのは間違いないと思うので、実戦の中で色々と工夫して欲しいなぁと思います。


<フォーク>
素晴らしい進化です。高校時代のフォークは正直投げ方が悪い方向に変わり、その後の投球に悪影響を与えるレベルと評価していました。つまり使用禁止という評価です。ですが今日の投球を見る限り、全く問題を感じません。前に突っ込み過ぎなくなった結果というのもあるでしょうし、感覚的なコツをつかんだのだと思います。投げる前に非常にリラックスして投球するようになったので、押し出すようにして投げる悪癖もなし。良いフォームで良い変化とスピード(128キロ前後)を実現していると思います。


《投球術》
今のところ阿部におんぶの状態ですね。優しく指導されている様子です。これが厳しくなっていったら、ある意味で本物だと思います。内海しかり、澤村しかり。まだ投球に一杯一杯で、ペース配分は全くできていない様子。現状は本来のタイプと違って完全力投派になってしまっています。それを支えきる体にはまだなっていないので、長い回を期待できるかという不安はあります。まあ、高校時代も稀に見る一本気な投球をしていたので、現状の投球でも十分すぎるほど成長したなぁ~というのが私の感覚です。


投球のテンポは良いですね。野手は守りやすいのではないでしょうか。ここが何気に武器になっています。また、高校時代より投球と投球の間(あいだ)に間(ま)を取るようになりました。野手の声掛けなどがあるのかもしれませんが、打者にあえて時間を与えるのもアクセントになります。良い傾向ですね。


クイックの速さ、けん制の上手さは十分プロでも武器になるので、投球の幅として活用して欲しいですね。ただ、クイックは投球術として使用する分には面白いのですが、ランナーを出した時の球威は随分落ちていると感じます。打者がストレートに張ってきているのがハッキリ分かる為、もう少しクイックの精度はあげていく必要があると思いました。


《まとめ》
非常に成長したなという印象。先発投手として成功できる資質を高校時代に感じていたので、嬉しい限りです。しかし、力と技術が先行してメンタルや駆け引きをおろそかにする可能性も感じました。どうしても、気持ちが入りすぎてしまって体のコントロールが苦手。巨人にもいますね。澤村とか澤村とか亀井とか(笑)。


練習一流、実戦二流タイプにはしてはいけない逸材です。それは間違いない。川口コーチも確実に理解しています。なので、実はそんなに心配はしていません。一軍で確実に育成していく「期待選手」になったと思います。春先に数分でしょうか、動画で見たことがありますがその時の印象はけして良くはありませんでした。半年で一気に成長してきたな!というのが実感です。二軍コーチ陣が結果を重視して育てだしたのかもしれないと思っています。


また、この試合を見ていて6回から明らかにフォームがおかしくなりました。開きと顔の位置ですね。本人も球威が落ちたことを自覚し、力んで強引になっている。川口コーチも変え時をしっかりと見極めてくれています。


非常に器用さを感じる投手で、一通りの事が若くして実現できています。高校が超名門で無かったことを考えると、かなり成長が早い印象。こんなに早く一軍の先発でここまで投げられるとは思っていなかったので、プロのなかでも理解力・成長力は期待できると思います。何せ高校時代の問題点をことごとく修正してきているので。今は変にストレートを磨こうとか、フォームを弄ったりだとかせず、よく考え今のまま大きくなることを目指すのが成功への道になるのだと思います。


淡々と投げる事。これが現状できていません。一球の失敗だったり、カウントを悪くしたり、その度に表情に出るタイプで、各チームの研究が進むと攻略は可能な投手という印象です。若い。付け込まれる隙は感じます。変化球が良くなったといっても三振をバンバン取っていくタイプではないので、いかに打者に情報を与えないかというのも技術だと理解してほしいです。巨人には内海・杉内・菅野とマウンド捌き、メンタル面においても盗むべき技術の宝庫がいます。是非、参考にしてもらいたいです。


また、スタミナが怪しくなってもメンタルの強さでフォームのバラつきを抑える!これが一流の選手です。一生懸命自分を追い込んで、実戦を想定した練習でメンタルを鍛え上げて欲しいと思います。


来年は開幕ローテ入りの期待もしてしまいますが、これは勝ち取ってもらわなくてはなりません。かなり厳しい道で現状は難しいかもしれません。先発6人は余りにもレベルが高いので。ですが、これほどの力を持っているので誰かのリザーバー(結局澤村、宮国、ホールトンは1年守れなかった)として結果を出して、ローテを自分のものにできるか。運の要素も試されそうです。成長力は実証しました。非常に楽しみにしたいと思います。