写真の小さなパンフは入場時にもらった。
金沢の信頼している病院系列の歯科で定期検査。
(どこかついでに寄ってみるか)
調べたら白山イオンシネマで、以前に聞いた事がある映画が上映している。
1週間限定上映らしい。
覗いてみるか!
「きみに読む物語」の筈がもらったパンフは題が違う。
別の映画の宣伝かなと思った。
上映が始まる。
ライオンが吠えることもなく映画のタイトルが静かに現れる。
「THE NOOTBOOK」
こちらが原題だったのか。
静かな湖畔が現れる。
空や湖の美しい自然。
そこにどうやら療養所があるみたいだ。
男性はデュークと名乗る。
少し年を重ねた女性は彼のそばで彼が読む物語を熱心に聞いている。
アメリカ1940年代初めの恋の物語を。
南部の田舎町。
都会からお金持ちは避暑地としてやってくる。
ノアは親友と材木工場で働く。
彼は遊園地のそばで、楽しげにはしゃいで通り過ぎる女の子たちに出会い、
その中のひとりに一目惚れする。
アリーという避暑に来た女の子。
ノアは大胆にアプローチする。
2人乗りの観覧車にアリーが乗ると、
ノアは飛び込んで間に挟まる。
係員に咎められ、ノアは自ら宙吊りになる。
危ないから降りて、と叫ぶアリー。
デートの約束をしてくれるなら、とノア。
仕方なくアリーはイエスという。
でも翌日になるとアリーは知らないという。
挫けないノアは話し続ける。
夜の大通り。
アリーの忙しい毎日や将来を聞いて、
ノアは窮屈だという。
そしてたとえばと提案する。
初めて共感するふたり。
クラクションが鳴り響き、
慌ててクルマをかわす。
笑い転げるふたり。
大通りで優雅にダンスをするのだった。
湖で泳ぐ。
ケンカしてすぐ仲直りする毎日。
ノアはある晩、アリーを湖畔の大きな、
しかしボロボロの家に案内する。
もちろん電気はない。
ノアがいつかこの家を自分の好きな家に改築する夢を語る。
アリーは、私の希望も入れてと。
絵が好きなアリーはアトリエがほしい。
家の色は白くて周りにアプローチもつけてと。
ノアは承諾する。
避暑が終わる。
家族に強引に連れて行かれるアリー。
ノアは手紙を書くという。
ノアは毎日手紙を書いた。
毎日毎日書いたが返事は来ることはなかった。
一年続けてノアは手紙を書くのを辞める。
戦争が始まる。
ノアは戦場で親友を喪う。
アリーは従軍看護婦を務める。
そして半ば死んだような若者からデートの誘いを受ける。
怪我が治ったらね。
そうアリーは答える。
戦争が終わる。
【途中で何度か療養所に映像は戻る。
食事をして、休憩をして物語は続く。
「なんだか前にも聞いた事がある気がするわ」
彼女は言う。
彼は「そう」と受けとめる。
もしかしたら彼女は何度も彼の話す物語を聞いた事があるのかもしれない】
アリーの前に若者が現れる。
「もう治ったよ」
彼は南部で富豪の息子だった。
アリーは恋に落ちる。
プロポーズを受け入れる。
ノアは除隊後自宅に帰ると父が優しく出迎えてくれた。
そして父は思いがけないことをいう。
想い出のある自宅を売却したと。
ノアが建て直すと言っていたボロい邸宅を買ったと語る。ノアは父を抱きしめる。
リノベーションの長い日々が始まる。
いつか父も世を去った。
そうして美しい白い邸宅が完成する。
ノアは完成した家を売ると新聞に載せる。
素晴らしい家を買いたい人は多かった。
提示価格以上で買うという人もいた。
だがノアはなぜだか売らない。
ウエディングドレスをみんなの前で試着するアリー。
なんて綺麗なの!
そう皆が誉めそやす。
ひとりが富豪2人の結婚予定を報じた新聞を見せる。
その新聞の下部にはノアと美しい邸宅の写真が映されていた。
驚愕するアリー。気を失う。
「心残りがあるの」
アリーは婚約者に告げる。
婚約者は優しい。受け入れる。
すぐに帰ると約束して。
アリーは想い出の家の前に行く。
ぎこちない再会。
だが少しずつ打ち解けてゆく。
嵐が来るから早めにボートに乗ろう。
ノアはいう。
様々なお話もしながら。
時には白鳥の群れに包まれる。
本当はもう飛び立つ頃なんだとノア。
ノアはむかしと変わらずホイットマンの詩をアリーに語る。
空に雲が覆い始める。
急いで戻ろうとノアは漕ぐのを早める。
雨は降りはじめる。
初めは雨から隠れていたアリーだったが、
土砂降りになって諦める。
びしょ濡れを笑い合うふたり。
まるで道路で横になった時のように。
ノアへの以前の気持ちを取り戻したアニー。
【療養所に場面は戻る。
それでふたりはどうなったの?と彼女は聞くのだった……】
星は流れ
鳥は飛び立つ
あと数日の上映。
金沢では上映は2館だけ。
観たくなった方は急いでね。
(パートナーと行くと良いかもしれません)