この巨大な模型には驚かされた。



ほぼ散りかけている上野の桜並木を歩く。



看板が案内してくれる。



巨大なオブジェを発見❗️

でも説明がないから意図はわからず。



ここは通ったことがある。



旧東京音楽学校奏楽堂(重要文化財)


日本初の音楽ホール。

多くの音楽家を生み出したホールだが、

取り壊しの危機があった。

音楽関係者等の懸命な働きかけでここに移築復元された。

今でも使われてると思う。

(前に通った時に催しの案内があった)



そこからまだ少し歩くのでした。

上島珈琲店が良さげ。



ここかな?



シンボルかもしれない。



道路を挟んで美術と音楽で別れている。

「ブルーピリオド」の学生は見当たらなかった。



これもひとつのアート作品みたい。

(なぜかは忘れた)



若冲展みたいな混雑を予想して1時間前に到着。

でも未だ誰も並んでいない。

(開館時には列ができてます)



撮影スポットは限られている。


初めに説明文があった。


“江戸の吉原は約250年続いた幕府公認の遊郭でした。遊郭は前借金の返済にしばられ、自由意志でやめることのできない遊女たちの犠牲の上に成り立っていた、現代では許されない、二度とこの世に出現してはならない制度です”


開催前にバッシングを受けたから、当然のことを書いて置かなければならなかったのかな。


文は続く。


“一方で江戸時代における吉原は、文芸やファッションなど流行発信の最先端でもありました”


こちらの方の趣旨で展示がされてます。

そのために海外に流出した作品など、外国美術館などから借り受けています。



闇の夜は 吉原ばかり 月夜かな


宝井其角が詠んだ句は二重の意味を持つと言う。


「闇の夜は吉原ばかり」

または、

「吉原ばかり月夜かな」


明と暗の両方を待つのだ。


展覧会の学術顧問を務めた田中優子法政大学名誉教授は展覧会図録で語る。

“この世に幻として創り出された『別世』である”


それを観てみたいものだ。



第一部は吉原の文化やしきたり、遊女の生活などを浮世絵や映像を交えて解説してゆく。


会場は地下2階。

歌川豊春らの屏風絵が並ぶ。

花魁や新造や禿、遣り手など多くの役割があったことがわかる。


喜多川歌麿の描く遊女のタイムスケジュールもある。


午前6時頃に帰り支度をする客に羽織を着せかけようとする花魁。


仮眠して午前10時。

朝風呂で身を清める。


正午。

昼見世の為に身支度をする。

など12枚の浮世絵で花魁の1日を描く。


(ほとんど寝る時間がない)


ここで間違えてエレベーターで上がったら、

「第二会場を観ましたか?」と言われる。

慌てて地下に戻る。


第二部。

江戸初期から幕末明治まで通して観られる。


1617年に日本橋人形町に開設(元吉原)、

1657年に浅草日本堤へ移転(新吉原)。


新吉原では規制が緩和され店の方は喜んだそうな。

店では侍は刀を預ける。

(長崎の丸山遊郭では龍馬の刀傷がある柱があるそうだが?)


初期は武士階級が客として多かったが、

のちに商人たちが客となってゆく。

歌舞伎役者は立ち入り禁止だったそう。

なんでかな?


吉原意外にも遊郭はあった。

品川など各所に。岡場所と言う非公認。

吉原だけが幕府公認だった。


「居残り左平次」から「幕末太陽伝」を思い出す。


遊女は多彩な教養や鍛え抜かれた芸事を身に付ける。

春には数百本の桜を植樹し満開の桜を楽しむ。

(散り終えたら撤去)

季節ごとに催し事があった。


そんな贅沢な非日常の演出は江戸庶民も楽しんだ。

お上りさんの多くは吉原見物に訪れた。

(女性は花魁のファッションを学んだのかな)


来年の大河ドラマ「べらぼう」で描かれる蔦屋重三郎。


吉原で生まれ、出版や浮世絵を生み出すプロデューサーとして活躍する。

遊郭吉原のガイドブック「吉原細見」で名を上げる。

(グルメランキングみたいな?)

狂歌・戯作の出版を先導し、大田南畝や山東京伝らを次々と手掛ける。

寛政の改革で財産の半分を没収されても挫けない。

東洲斎写楽という謎の絵師が描いた役者絵で復活する。

どんなドラマにするか楽しみ♪


あまり知らない浮世絵師も。

浮世絵は海外に多く流出したので日本で知られてない絵師も多いのだそう。

英一蝶

鳥文斎栄之

彼らの絵も見事なものだ。


葛飾北斎や熱川広重などももちろんだが、

大英博物館など海外コレクションが観られるのは嬉しい。


流行した狂歌の発信地も吉原だった。


酒井抱一も現れる。

狂歌や浮世絵で活躍する。


抱一は遊女を身請けし生涯のパートナーとした。







大きな作品。

喜多川歌麿の「吉原の花」

満開の桜と客たちと通りを歩くひと。


だが虚構がある。

全て女性で男性は1人もいない。

(その方が良いけど)

アメリカの美術館からの借り物らしい。



勝川春湖「吉原仲の町図」

大英博物館蔵。

花魁道中です。



鳥文斎栄之。

こちらも大英博物館蔵。



地下2階から3階にエレベーターで上がると第三部。

中央に道があり、左右に店があるような設営。

係の方は法被を着ている。

“吉原の街”の装いですね。


三味線(早稲田大学演劇博物館所蔵)やファッションの為の工芸品の展示も。




奥に撮影🆗のコーナー。




高さ20cmもない人形だが極めて精緻❗️



中のしつらえもリアルだ。

数百の家具類がある。



遊女の生活が見えるようです。



「誰が作ったんですか⁉️」

その見事さにヒソヒソ声で学芸員さんに聞くと。


辻村寿三郎さんたちかあ❗️

「新八犬伝」で腕前は知っている。

(因果は巡る糸車〜♪)

八犬伝はこんど映画になるんじゃないかな。

「らんまん」では浜辺美波さんが読み耽ってましたね。

ワンピースとコラボした人形も作ったらしいね。



“華の吉原仲の町。

悲しい女達の棲む館ではあるのだけれど、

それを悲しく作るには、

あまりに彼女たちに惨い”


など辻村さんの心のこもった文が掲示されています。



それにしても本当に見事だ。



こちらから借用写真。

人形は金糸銀糸が織り込まれ、花や鳥が刺繍された衣装を身に付けている。



まじまじと眺めてしまう。



この作品には多くの方が見入っていました。



ネコは愛されたみたいです。



誰かな?



たくさんの簪。

これもファッション。



樋口一葉は一時期吉原近くで生活した。

その様子が読めるのが「たけくらべ」


主人公は美登利という名の美しい少女。

いずれ吉原に行かねばならない宿命を持つ少女を描いている。

「たけくらべ」を愛読していた鏑木清方の絵も展示されている。



水仙の造花を持っている。切ないものがたり。

展示作は鮮明なので見にゆきましょう。


第三会場を出るとミュージアムグッズ。

幾つか購入して。

出口待合室へ。



透明な席。

背後に大樹。



凄惨な美しさ。

(外に出たので叱られた)



でもこうした展示を叩くのは賛成しない。

反省点を踏まえた上での展示に問題はない。


歴史的な文化をなかったことにしてはならない。

数年前の「春画展」でも感じた。


大英博物館で「春画展」が人気を博した。

だが日本での開催は難航した。

国立博物館は逡巡した。


結局は東京と京都の小さな美術館が開催した。

大混雑でした。


スタンリー・キューブリックの「時計仕掛けのオレンジ」という映画の傑作の途中、白いぼかしがあった。

作品への冒涜に感じられた。


性的なタブー意識はとてもつまらないと思う。

忖度しての自主規制から美術・芸術は解放されるべきだと思う。


そう考えながらお昼はどこにしよう❓