主要なキャストが揃ってます。

(この写真の場面はなかったみたいだけど)



仙台出身の岩井俊二さんが初めて東日本大震災を描く。(ドキュメンタリーは除いて)

それで人生が転変して行く人たちを描くのだが、

岩井さんは自然や海を悪くは捉えない。


冒頭のシーンは一面の雪原の中で女の子ふたりが遊んでいる場面で始まる。


はしゃぎ周り、

横になって空を見上げて歌う。

(後でのシーンも含めて)


もう 終わりだね

君が 小さく見える

僕は思わず君を

抱きしめたくなる


オフコースの「さよなら」がぽつりぽつり清らかに歌われる。



時間が交錯する。

場所も帯広、大阪、東京、石巻など行き交う。


東京。

震災のショックで言葉を発語しにくくなった少女が歌っている。

歌だけは歌える。


街頭で歌う少女に声をかける女性。

マネージャーをすると言う。

少女は彼女のところに泊めてもらう。

(少女の名はルカだけど姉のキリエを名乗る)


声をかけた女性は実は知り合いであり、

不思議な生活を送っている。

(真緒里だけどイッコ)


(ウィッグで色も変える謎めいた女性を広瀬すずさんが巧みに演じている)


この広瀬すずさんの役も岩井監督は悪人として描いてはいない。



街頭ライブの準備をして歌い出す少女。

映画のそれなりの歌なのかなと思ってたら❗️


(ホンモノだ‼️)

と驚かされた。

これは絶対プロだろ。

そう思って後で調べたら有名な方でした。


アイナ・ジ・エンドさん。

広瀬すずさんは以前から歌を聴いていたと言う。


(迂闊であった💦)


劇中。

米津玄師「Lemon」

あいみょん「マリーゴールド」

優里「ドライフラワー」

なども魅力的に歌われる。


だんだんとアイナさんが映画のために作詞作曲した歌が唄われてゆく。


まるで音楽映画のように。

(岩井監督は以前にも音楽映画を撮ってます)



運命の悪戯のように様々なひとの扉が移り変わってゆく。


恋愛

焦燥

消失

再会

絶望と喜びと。


キリエの歌声に惹かれて集まるミュージシャン。

大規模なライブが開かれる。おそらく無許可で。

警察が中止を命ずる。


だが彼女の歌に熱中した観客たちを警官たちは止められない。


キリエは歌い続ける。


イッコは花束を持って駆けつけようとする…




横になってしまったけど、

2人の雰囲気が伝わるでしょ?



教会が映画に現れる。

キリエは「主よ」の意味だそう。

そしてルカは福音書の聖人である。


キリスト教は置いといて。

映画の中で歌は何かに捧げているようだ。

岩井監督映画によく出るダンスも踊られる。


踊り

演劇

それらは捧げるもの、讃歌でもあった筈だ。

どの民族でも。


言葉では表現できない世界に誘う。

“魂”を和ませてくれる。



岩井俊二監督は独自の世界の中で人々のための捧げものを創り続けている。



それにしても岩井俊二さんは女性を清らかに美しく描く。


白い雪の中で。

海の砂浜のなかで。


ふたりはどこまでも自由だ。