黒塚という能楽をご存知だろうか?
安達ヶ原とも言う。
いわゆる「人喰い婆」のお話。
そのお話を手塚治虫さんは見事にSFにする。
萩尾望都さんの「半神」のように、
優れた作者の本質は短編に現れることがある。
権力の意のままに殺し屋として活躍する若者。
目指した星には老齢の女性がいた。
若者を見て何かに気づく。
訪れた若者に自ら料理した食事を与えて寝室まで案内する。
だがなぜか泣き伏すのだ。
若者。
起き出して女性の秘密を暴く。
多くの人骨を見つける。
そして彼女を殺害しようとする。
殺し屋の過去が話される。
若者はかつては革命家だった。
アンニー黒塚という名の恋人がいた。
だが彼は捕えられる。
そして流刑星に送られる。
冷凍睡眠でひと眠りで30年。
引き返す。
ふた眠りで60年。
恋人はどうなっているだろうか。
彼女はもう地球に居なかった。
若者は新しい政府の任務に励んだ。
殺し屋としての活躍。
権力の犬となった殺し屋として。
だがその革命政府もまた人々を苦しめる権力と化していたことを彼は教えられる。
老婆の生涯も明らかになってゆく。
長い時を経て。
彼はどうすれば良いのか?
彼女の手料理をあらためて味わう。
時間の差を古典の物語に活かす。
手塚治虫さんの素晴らしい作品を全編お読みあれ❗️
見逃した作品の中に、
とんでもなく新しい発見を見出せます。