こちらが小泉今日子さん。


朗読を担当。



シンガーソングライター。

ピアノと歌を担当する浜田真理子さん。



小泉今日子さんにとって、

「久世光彦」氏は恩師のような存在だという。


彼女の演技を支えてくれた。


久世光彦。


「時間ですよ」

「寺内寛太郎一家」

などの演出をする。


また舞台演出や作詞家の顔も持つ。



その久世氏が去って。

2人で相談して始めたのがこの会。


久世氏の文章を小泉今日子さんが読み、

浜田真理子さんが弾き語る。




世田谷パブリックシアターで始めて15年。


語り継ぎ、歌い継ぐことが久世氏を表現することなのだろう。



彼の本は文芸春秋社から五冊刊行された。



今年はBillboardライブ大阪にも来てくれた。



こんな舞台が見られます。



マリノさん?


初めはピアノだけ。

途中から沖縄出身のマリノさんがSAXを。


その最初の一音で音の世界が豊かになった驚き❗️


(どんな方かは全く存じ上げないのだけど)




中に入るとすぐこのライトが見えます。


チケットを取るのが遅れたので自由席。

案内嬢がどこの席が良いかと聞く。


目が悪いので横の方でもできたら近い席を。

そういうと案内してくれた。


「そこに階段が3段あります」と丁寧に。


(いや。

そこまで悪くないよ)

と思いながら心遣いに感謝する。



すると一番前の席を案内してくれた。


小泉今日子さんまで10mくらいか。

山形の時よりは少し遠いけど。


でも十分有難いのです。



席に座って。

つい購入したCDを見る。



ジャックダニエルのオンザロック。

これが好きなのです。


拍手とともに2人が入ってくる。


久世氏の言葉を小泉今日子さんが読み、

浜田真理子さんが歌い演奏する。

(時折りコーラスする)


穏やかで豊かな時間が流れる。


文部省唱歌を褒めた文がある。


なぜかメガネを掛けないで本を読む小泉今日子さんの朗読。

山形では掛けてたのにね。



“ 終戦直後、釜山から対馬海峡を渡って帰る、

すし詰めの引揚船の中で、食べ物の事で何人かの男たちの間で喧嘩が起こった。

船内に灯りもない暗い夜だった。

争っている男たち自身、情けないやりきれない思いだったが、それぞれ後には引けなかった。

刃物まで持ち出して、今にも血を見るという時、

両眼を汚れた布で覆ったお婆ちゃんが、

呟くように歌い出した。

「朧月夜」だった。

周りの何人かがそれに合わせ、やがて歌声は船内の隅々にまで広がっていった。

争っていた男たちが最初に泣き出した。

みんな泣いていた。

二番が終わってまた一番に戻り、「朧月夜」はエンドレスに続いた”


菜の花畠に 入り日薄れ

見渡す山の端 霞深し

春風そよ吹く 空を見れば

夕月かかりて におい淡し


里わの火影も 森の色も

田中の小路を たどる人も

蛙の鳴く音も 鐘の音も

さながら霞める 朧月夜



そんなふうにして美空ひばりが語られ、

不慮の飛行機事故でなくなった向田邦子さんが語られてゆく。


久世氏は特に向田邦子さんが好きだった。

彼女がいなくなってからも何度もドラマにした。


娘が中学生の頃、教科書に向田邦子さんの文章が載っていた。

「字のないはがき」

戦時中のお話である。


暴君と言える父が、末っ子の痩せ衰えた幼い向田さんの妹を裸足で飛び出して迎える。

抱きしめて声をあげて泣くのだった。


「私は父が、大人の男が声を立てて泣くのを初めて見た」


そんな文章だったろうか。



そうそう。

久世氏は回文を好んだ。

集めた中でもっとも好きだったのは、


「世の中バカなのよ」


だったらしい。



通勤中に車内で聞くCDは、

ささくれた心を和ませてくれるのです。