初めは指揮系統に従わずに独立して戦う勇壮な隊の活劇かと思っていた。
そうではなかった。
岡本喜八監督の戦場西部劇でした。
アクションに溢れスピーディーな展開。
公開当時かなりヒットしたと聞く。
今観ると戦場の状況が分かりにくいのでついていきにくい部分もある。
1959年公開映画だから古さを感じる部分もある。
だが「画」は紛れもなく凛と屹立している。
どんな危機的な状況でも笑顔を絶やさない主人公。
状況は二転三転する。目まぐるしく。
大手新聞記者に扮して最前線に赴く。
弟が心中したと聞いて疑惑を解明しようと活動する。
軍上層部の腐敗。
そして陰謀と裏切り。
エンタメに女性は欠かせないから慰安婦として雪村いづみを起用。
可愛かったんだねえ。
そして当然ながら主人公はモテるのであった。
三船敏郎が真剣におバカな隊長役を演じる。
冒頭だけ。
コミカルな効果を生み出している。
(こんな役の三船は初めて観た)
三船は岡本喜八と仲が良かったらしい。
面白かったが岡本喜八監督の最高傑作は「肉弾」だとボクは思ってる。
「日本のいちばん長い日」では資金は豊富に得たが、「肉弾」には資金が出ない。
岡本は自宅を抵当に入れて資金を捻り出したそうな。
制作費1000万。
(安いなあ)
「日本のいちばん長い日」には4億以上が与えられたのに。
お金がないから配給はATG。
(ATGの名作は多い)
特攻兵。
突撃前に一日の休暇が与えられる。
だが自分が死ぬ意味を見出せない。
せめて最後にと女性を買おうとする。
その女郎部屋には勉強するおさげ髪の美しい少女がいた。
(上の写真は勉強を教える場面)
大谷直子がとても可愛い。
そして大胆な裸身を見せる。
防空壕の中でふたりは結ばれる。
(彼女の為なら死ねる!)
そう思えた。
だが翌日少女は大空襲で亡くなる。
彼は特攻を決める。
彼女のために。
監視する。
ふたりの一夜のシーン。
(ただ大学時代のウブなボクは納得したけど、普通は有り得んだろう?
岡本喜八は女性を描くのが苦手かもと思ったりしたが、まあそこはご勘弁あれ)
そうしてドラム缶に魚雷を結びつけて特攻を図るのだった。
(ボクの記憶ではたらい舟だった。
どちらにせよ成功する訳がない。
岡本喜八監督は完璧に特攻を皮肉ってますね。
そりゃ製作費が出ないでしょう)
あらすじはこんな感じ。
「独立愚連隊」は痛快アクション映画。
「肉弾」はブラックユーモア。
全く異なるが「戦争」というものへの痛烈な批判が両者に流れている。
「美しい戦争」では兵士はただ虫ケラのように踏み潰されるだけなのだ。
岡本喜八は兵士として空襲に遭い、多くの死を見た。
戦争への陸海軍への怒りは終生消えることはなかった。
それは彼のすべての作品に通奏低音の様に流れている。
さてと。
次は「ジャズ大名」を観よう❗️
(明日生き延びたらね。
地吹雪が凄くてホワイトアウト。
クルマの運転が危うい💦
明日は職場に行けるだろうか❓
停電になりませんように)