第二次大戦の後半。
ソ連の志願した女性兵士たちなどを描く。

原作はノーベル賞を取った女性作家の作品。
500人以上からの聞き取りを重ねて。

医者や看護師としての役割もあるが、
狙撃兵など戦闘員としても活動した。

原作は長大だがエピソードを切り取ってコミックにしている。




1200万人が戦死したソ連。
彼らにとっても兵士として戦場に行くのは辛い事だった。



糧食は不足していた。
その中でも捕虜のドイツ兵に分け与える。


夫婦で戦場に。
前線から夫の帰りを震えるように待つ。


ふと。
彼が現れて。


「早く寝なさいよ」というのに、
「寝るのが惜しいんだ」と夫は答える。


爆撃の破片は一瞬で彼の命を奪う。





これは戦場においてムチャ。


「みな私が悲しみのあまり狂ったのだと思いました」


皆ができないと言う。
それはそうだろう。
数千キロを飛行機を飛ばして遺体を運ぶ意味がない。


「家は燃えてなくなりました」




「夫を家に連れて帰れたらお墓なりとも残ります。
戦争が終わって私の帰る場所ができます」


「私は夫を葬るんじゃありません」

「恋を葬るんです」

初め激怒していた司令官。
「将軍!貴方は恋をした事がありますか」
と聞かれ戸惑う。
そしてこの言葉を聞いて長く沈黙する。
そして彼女に近づき手にキスをする。


奇跡のように飛行機が出る。


夜の兵舎での女の子たちのお喋り。
女性用の衣服はなく男性用を嫌がる。

生理用品もなく、行進しながら赤く染まるズボン。
血が凍ってナイフのようにズボンが足を切る。
川に入って洗い流そうと。
狙われて命を落とす。

戦場における女性兵士の日常がかえってリアルだ。

ボクにとって印象的だったエピソード。
腕の良い狙撃兵である女性。
突然、戦場に現れた仔馬を撃つ。
(食べるものがないのだ)

具沢山のスープとなって女性たちの兵舎に運ばれる。
皆んな仔馬の可愛さを見ていた。
口にできないと言う。

狙撃した女の子は兵舎から逃げ出す。
泣いている所をみんなが呼びに来る。

「美味しい❗️」と言って皆が笑いはしゃぐ。

たわいがないと言えばそうかもしれない。
だがそれも戦争の一断面なのだ。


女性が前線で兵士として活動するマンガは初めて読んだ。
多少、翻訳のせいか感傷的な言葉はあるものの女性視点からの知見を得る事ができるだろう。

戦争において資本主義も共産主義もない。
ただリアルに残酷なだけだ。

敗戦記念日が過ぎたばかり。
夏に読むに適した良いマンガだと思う。

「過去の戦争に君たちの責任はない。
だが再び戦争が起こらないようにする責任がある」

誰の言葉だっけ?