パナソニック創業者 松下幸之助さんの本を読みました。


本書は1968年に発行され、2023年時点でなんと277刷!!


大ロングセラーで今も昔も多くの日本人に愛されています。


ちなみに本書は今はなき八重洲ブックセンターで購入したものです下差し


本書の中で印象に残った項目を引用し、恐れながらそこに僕の感想を加えてさせていただきました。


以下引用部分はピンク色太斜字としています。

 


  1.さまざま

「さまざま人があればこそ、豊かな働きも生み出される。それでよいのである。違うことの中に無限の妙味を感じ、無限の豊かさを感じたい。人それぞれに力を尽くし、人それぞれに助け合いたい。いろいろな人がいてよかった。」 


→感想

やはり、商品であれ仕事であれ多品種が良いですね。


それでこそ痒い所に手が届くような細かいニーズに応えることができる。


だから、いろんな人が個性を活かして、より多くのビジネスを起こして欲しいですね。



  2.長所と短所

「お互いにまわりの人の長所と欠点とを素直なこころでよく理解しておくこと。そして、長所を発揮させてあげ、また短所を補ってあげるように心くばりをする。」


→感想

愛情を持って周囲の人間をよく観察し、彼らの長所と短所を把握する。


そのためには、相手に興味関心を持つことが肝心。
 
僕はつい他人に無関心になりがちですので、自戒の念に駆られました。



  3.サービスする心

「自分の持っているもので、世の中の人びとに精いっぱいのサービスをする。

頭のいい人は頭で、力のある人は力で、腕のいい人は腕で、優しい人は優しさで、学者は学問で、商人は商売で…

サービスの良い社会は、みんなが多く与え合っている社会で、だからみんなの身も心もゆたかになる。」


→感想

僕は会計士・税理士というサービス提供者ですので、お客様に対するサービス精神を大事にしたいです。




  4.辛抱する心

「世の中にはいい人もいるけども、よくない人もいる。人と人が相寄って毎日の暮らしを営んでいる。いい人ばかりではない。いろんな人がいる。だから、お互いに辛抱と寛容な心を養いたい。」


→感想

悪い人に対しても寛容なこころで受け止めてあげることで、豊かで生きやすい社会になる。


自分にも他人にも厳しすぎると息が詰まりますわね。




  5.世の宝

「お互いに与えられている日々の仕事はすべての世の宝である。」


→感想

アメリカの経営コンサルタントのジェームス・スキナーはビジネスをこう定義しました。


「ビジネスとは社会のニーズを満たすこと」


どんな仕事も人のニーズがあるからビジネスとして成立している。


ビジネスの根本には人のニーズがある。


だからどんな仕事も貴い。


他人の仕事をバカにしたりするのは、人のニーズをバカにしていることになる。


仕事は人のニーズに応えられる大事な宝。

自分の仕事も他人の仕事も世の宝として大事にしよう。



  6.風が吹けば

「風が吹けば波が立つ。さらに風が大きく吹けば何万トンの船でも揺れる。大切なことはうろたえること、あわてないこと。

嵐の時ほど協力が尊ばれるときはない。うろたえれば協力が壊される。だから、揺れることを恐れるよりも、協力が壊されることを恐れた方がよい。」


→感想

仕事であれ、家庭であれ協力と調和が一番です。


これは僕個人の価値観と一致しました。

 



  7.止めをさす(とどめをさす)

「最後の最後まで見極めてキチンと徹底して処理すること。せっかくの99%の成果も、残りの1%の止めがしっかり刺されなければ無に帰す。」


→感想

仕事やプライベートでもつい最後の爪が甘くて後悔することがよくあります。


他人を慮り、物事の流れを細部まで想定するイマジネーションを持ちながら、最後の最後まで集中力を切らさずに走り切ることを意識したいですね。


言うは易しですが…不安




  8.一人の知恵

「どんなに偉い人でも、人一人の知恵には限りがある。この世の中に住む限り、人びとはみなつながっているのだから、自分がつまずけば、他人も迷惑する。他人に迷惑をかけるくらいならば、一人の知恵で歩まぬ方がよい。わからないことは聞くことである。」


→感想

聞くのは恥ずかしい。


「こんなこと聞いたらバカだと思われるのでは?」


僕もよくこんなことを思って、


「なるほど、なるほど。そうですか。」


と相槌を打ったりするのですが、これは素直さがないですね。


赤ん坊のようなまっさらな素直さを持って


「〇〇とは何でしょうか?」


「わからないので、もう一度教えていただけますか?」


って聞けばいい。


分かったつもりになっていると、後々になってお客様に不信感をもたらしますので、納得するまで聞き続けることが大事かなと思います。


紙に書き出してみたり、図や表にして、自分の理解が合っているかを相手に確認してもらうこと。


まぁ、言うは易しですが予防



  9.思い悩む

「人と人とが密接につながるこの世の中で、思い悩んだまま仕事をすすめたら、とんでもない迷惑を人に与えてしまう。

わからなければ人に聞くことである。己のカラにとじこもらないで、素直に謙虚に人の教えに耳を傾けることである。」


→感想
これって、学校教育でも思うんですよね。

学校のテストって一人一人が個別に受けますけど、みんなで話し合って協力して答えを埋めていく形式でも良いと思う。

だって、社会ってみんなで協力して仕事していくじゃないですか。

なんでテストは仲間と協力せずに、自力でやらせるのでしょうか?

因数分解が苦手ならば、数学が得意な友人に教えてもらえばいい。

その代わり、日本史の平安時代から鎌倉時代への変遷をその子に教えてあげれば良い。

得意分野を互いにアウトソースしあうのが社会ですよ。

今の日本の教育は生徒を己のカラにとじこもらせる方向に導いてます。




  10.転んでも

「七転び八起き」。何度失敗しても、屈せずに奮い立つ姿をいったものである。

だが、一度転んで気づかなければ、7度転んでも同じこと。一度で気づく人間になりたい。そのためには「転んでもただでは起きぬ」の心構えが大切。


→感想

僕も一度で気づく人間になりたい!!


鈍感はダメよと。




  11.自分の仕事

「どんな仕事も世の中に必要なればこそ成り立つ。世の中の人が求めているものでなければ、その仕事は成り立つものではない。

自分の仕事は自分がやっている仕事だと思うのはとんでもないことで、ほんとうは世の中にやらせてもらっている「世の中の仕事」である。」


→感想

先述したジェームス・スキナーのビジネスの定義のとおりですね。


「ビジネスとは社会のニーズを満たすこと」


人のニーズがあるから仕事は存在する。


だから、仕事は己のものではない。


仕事は社会の宝なのだ。


「職業に貴賎はない」という言葉があります。


僕も最近よく思うことですが、職業なんてなんでもいいんですよね。


会計士だろうが、弁護士だろうが、パン屋さんだろうが、清掃業、福祉士、保育士、運送業だろうが、なんだっていいと思うんです。


大事なことはその仕事の意義とその中での自分の役割を理解できていること。


そして、その意義に心の底からコミットしていること。


逆に言うと、心の底からその仕事の意義にコミットできないならば、その仕事をやるべきではないと思います。


それはまさに宝の持ち腐れというものです。



  12.しかも早く

「今日は時は金なりの時代。念入りな心くばりがあって、尚且つそれがさらに早くてわきるというのでなければ、事を成したとは言えない。」


→感想

ビジネスが社会のニーズを満たすものならば、一刻も早くそのニーズを満たしてあげないといけない。


スピードと正確性をあげていこう!




  13.引きつける

「知識も大事、才能も大事。しかし、誠実あふれる熱意がなければほんとうの仕事はできない。「なんとかこの仕事をやりとげよう」という誠実な熱意からよい仕事が生まれる。その熱意は周囲の人を引きつける。」


→感想

自分がやっている仕事の意義とその中での自分の役割を理解したら、あとはもう一心不乱に打ち込むだけ。


わからなければ、他人を大いに巻き込んで、聞いて聞いて聞きまくる。


それくらいのしつこさ、


「なんとしてもやってやる!!」


という強いgrit(やり抜く力)が大事。




  14.手を合わせる

「同じ値段のうどん屋でも、客を大事にしてくれる店に人は寄りついてゆく。客が食べ終わって出ていく後ろ姿に心底ありがたく手を合わせて拝む心持ちがあれば必ず成功する。「親切で、うまくて、早くて、そして客の後ろ姿に手を合わす」

この心掛けの大切さはうどん屋に限らない。」


→感想

「ビジネスとは社会のニーズを満たすこと。」


うどん屋のビジネスは


「お腹空いたなぁ。お腹いっぱい食べたいなぁ。」


という人のニーズを満たすためのビジネス。


うどん屋でお腹が満たされたお客の後ろ姿に心の中で手を合わせる店主の気持ちはどんなものだろうか。


・数多くあるうどん屋から当店を選んできてくれたことへの感謝。


・「お腹いっぱいになりたい」という一人の人間のニーズを満たした店主の成就感と納得感。


・ニーズを満たしたお客様の後ろ姿に「頑張っていってらっしゃい」という気持ち。

 

店主はいろんな思いがあって心の中で手を合わせるのだろうが、「仕事の意義」を深く考えていないとそこまでの心境になることはなかろう。


やはり、「仕事の意義」と「その中での自分の役割」を理解することが肝要だ。




  15.後生大事

「自分の仕事は後生大事な仕事。それに全身全霊を打ち込んで精進する。成功するしないは第二のこと。要は仕事に没入し、一心不乱になること。後生大事に打ち込むことである。」


→感想

ここでもやはり、ジェームス・スキナーのビジネスの定義が思い起こされる。


「ビジネスとは社会のニーズを満たすこと」


人のニーズを満たすためにビジネスは存在するのだから、ビジネスは己だけのものではない。


「世の宝だ」


と松下幸之助さんもおっしゃっています。


僕がやっている公認会計士の監査も「社会に信頼を与える」という意義があるので、これを後生大事にして、一心不乱に打ち込みたいと思う所存です。


以上で終わりとなりますが、やはり、さすがは経営の神様と言われる松下幸之助さんですね。


本書はとてもシンプルな言葉で綴られていますが、一つ一つの言葉がとても力強い。


そして、核心をついている。


本書を読みながら


自分の仕事について


自分の人生について


静かに思いを巡らすことができました。


幸之助さん、ありがとうございますお願い