くらやみのくも | 阿修羅の森で

阿修羅の森で

私の世界の諂曲模様

『Tarantula』/Smashing Pumpkins [YouTube]







寝室のドアを開けると
対面の壁の
ちょうど目の高さに
何か黒い異物が見えました。


明りを点けると
15cmぐらいの蜘蛛が
壁にはりついていたので、
眠っている時に
顔を這い廻られてはかなわないと思い
窓から追い出そうとしましたが、
とたんに素早く
棚の裏に見失ってしまいました。



そのまま何日か
その蜘蛛の姿を見掛ける事は無く、
私はやや緊張しながら
毎夜床に就いていました。

或る日、
寝室のドアを開けた時に
さっと黒い物が
私の股下を通り抜けていきました。

追いかけて行くと
リビングの壁に
久しぶりにあの蜘蛛を確認したので
近くの窓を開けると、
彼は
私に追いやられる事なく
元気そうに
ベランダから出て行きました。



ここ数日
日中は爽やかな秋晴れで、
窓を開けると
健やかな呼気が部屋を満たします。

ただ、
17時頃にはもう空が陰り始めて
上着が無いと震える程なので、
私はどうも微熱が下がりません。


まあ、
考え方によっては、
通常よりも熱量を帯びている状態は
森羅万象としては
普段よりも健康な事かも知れません。



先日にうちから解脱した蜘蛛は
活き活きと獲物を仕留めて
腹を満たす事ができたでしょうか。

それとも、
アスファルトで
車輪に踏み潰されたでしょうか。

なんにせよ、
今日も雲ひとつない空の下で
絶対的な異物として、
強烈に
この世界の歯車を謳歌しているでしょう。


私はあのくもを
犍陀多
と名付けました。

縁があって
私が糸口になれたとしたなら
救われる気がします。


もっとも、
報われたいなんて微塵でも思いません。

なぜならきっと
自分の方法でくもを払うことができます。






"硫酸Requiem'"