経済は回復するか?
底打ち確認で日経平均は1万円を回復した。
これからの経済の行方を考えて見ます。
結論から言えば現在の株高ははしゃぎすぎで早晩下落に転じる。
この間の上げを後講釈すれば、大幅な下落時に国策で年金基金が買い支えた。
そこへでタイミングよく底打ちしたため、需給関係で実体以上の上げとなったということだろう。
株価は実体経済に見合う水準へと下落していくと思われる。この間の下げ止まりとは経済実態の水準の確認をしただけで、あく抜けとならない点が重要である。
金融バブル後の世界はそれ以前の景色とは様変わりするはずである。
第1に米国の過剰消費【借金をして消費】を前提とした経済構造には戻らない。
米貯蓄率は昨年までの0~マイナス%が4月には5.7%に上昇した。それでも借金穴埋めには不十分で10パーセントまでの上昇が不可欠と言われる。
米国国内総生産の7割を占める消費は、世界の輸出国からバブル以前のように輸入する事は構造的にあり得ないということである。
世界の最も大きな最終需要が復活しないということである。
このことは市場にほとんど織り込まれていない。
財政赤字は前政権の41兆円から100兆円へと膨らむ。一方で米国債の消化に中国、ロシアが背を向け始めた。
第2に中国が米国に代わって世界経済を引っ張る力を持っているかということが問題となる。
確かに中間層が一定割合を占め内需に厚みが出てきている。
しかし景気対策の57兆円が8パーセント【中国は最低8パーセント以上の経済成長がなければ失業者問題で社会不安がおこるとされる】以上の自律回復にリンクするだろうか。
結論から言えば困難と思われる。
理由
①40パーセントを占める輸出が20パーセント減少し、その本格回復【少なくとも米国、EU,日本の先進国】の可能性がないこと。「世界の工場」としての地位が果たせなくなるということである。
この輸出減少を内需振興で乗り越えようとしているが無理である。
大盤振る舞いの57兆円でやっていることは鉄道や道路のインフラ整備と内陸農村部への家電購入補助である。
農村部の人たちの使える現金の多くは農村から沿岸部への出稼ぎで稼ぎ出した分である。出稼ぎ先(沿岸部の輸出用製品工場)が縮小しているのに、出稼ぎで溜め込んだお金を補助を付けて吸い上げて本格的内需が生まれるだろうか。
②主要なエネルギー源である石炭が温暖化の関係でこれまでのように安く使えなくなる。先進国の援助をうまく引き出そうと必死であるが、世界的に見ても、石炭火力のCO2削減【地中貯蔵、ガス化など】はいまだ本格的に採算ベースに乗っていない。
ただでCO2削減型石炭火力技術は手にすることはできないだろう。
石炭火力からのエネルギー転換という大問題【コストのかかる変革】を抱えている。
2050年の世界での50パーセント削減を前提として、世界の人口に排出量を均等に割り当てると一人当たり約2トンとなる。
中国は既に一人4トン近くを排出しているので、ここから半減させなければならないわけである。
③目先の現象で見ても5月の発電量は前年同月比で3.5パーセント減といまだ水面下である。「製造業の生産活動がそれほど回復していないのではないか」と言われる。
5月の製造業購買担当者景気指数が前月比0.4ポイント悪化【悪化は半年ぶり】した。景気刺激策が一服したためとコメントされた。
第3にEUはどうか。6月4日欧州中央銀行のトリシュ総裁は2009年の成長率予測をマイナス4.6パーセントと3月の予想より2パーセント引き下げた。実質上の破綻国も複数抱える。金融機関は米国以上に傷ついておりその膿を出し切っていない。
第4に日本も輸出主導の経済回復は上記の理由【最終需要が回復しない】で無理ということである。
中国の57兆円分で目先の生産ががやや回復している分野もあるが、中国が自律回復しない可能性が高いので、中国への日本からの輸出回復も一過性のものとなる。
日本国内の内需振興は長年追及して実現しなかった。
第5にこれから世界的に雇用の悪化が本格化する。
最終需要が回復しようがない。
特に日本は社会保険不安、消費税の大幅引き上げ【12パーセント】、高齢化社会などの将来不安が重なり消費は大きく冷え込む。現在失業率は5パーセントであるが、早晩史上最悪の5.5パーセントを越えるだろう。
第6に世界各国の財政出動の副作用が出るのと、経済の自律回復が起こるのではどちらが早いか。
国債価格の下落【金利上昇】、ドル大幅下落兆候が見え始めた。
日本の国債の危うさは次回。
残念ながら、前者の確率が高いようである。
(結論)
市場は、景気は底を探る状況が続き、下振れのリスクを抱えながらのL時回復だということを確認する過程に入る。