発電コストについて次のような数値がまかり通っている。

原発は1キロワット当たり4円から5円、火力は8円、太陽光は40円。

本当に原発コストは安いのだろうか


以下の費用は原発コストに反映されていない。

①原子力発電に伴う汚染物質の廃棄費用が算入されていない。

放射性廃棄物は数万年単位で保管し続けなければならない。

しかし、これまで最終処分の引き受け地は見つかっていない。

多額の交付金を積んでも今後候補地は現れるのか。


②原発引き受け自治体に国から多額の交付金(税金)が支払われてきた。これもコストに反映されていない。


③東電および周辺住民がかけるべき原発事故保険費用がコストに算入されていない。

国の補償(税金)を抜きにした商業ベースで考えるとると、引き受け企業はいないだろうといわれる。


保険を考慮したときの原発コストは2倍になるという試算もある。

それだけでコストは火力と同じ8円を越える。


④大規模事故の場合の保証費用がコストに反映されていない。

今回の事故で東電が商業ベースで対応できる金額ではないことがはっきりした。


⑤テロ対策費用がコストに算入されていない。

小説で”民間警備会社が警棒を持って2人で守っている原発”と表現された。

原発を本格的に守るには、警察ではなく自衛隊の警備が必要である。

これも膨大なコスト(税金)である。



以上のように原発による発電コストは膨大であり、とても商業ベースに乗るものではない。


では何故このような数値がいまだに報じられるのか。

原発推進の利益集団の力が強いからだろう。

一国の総理さえ集中砲火を浴びるのである。


ではコストが高いといわれる再生可能自然エネルギーに展望はあるのだろうか。

一部評論家は訳知り顔で「それら自然エネルギーはいまだコストが高く、発電比率も2パーセント未満なのでしばらくは原発に頼らざるを得ない」という。


ここに東電依頼で専門家に依頼して出された試算結果がある。

皮肉にも太陽光への本格移行が可能であることが示されている。


(以下引用)


2050年に「脱原発」を実現した場合の国内の経済影響はほとんどないとの試算を、茂木源人(げんと)・東京大准教授(社会戦略工学)がまとめた。太陽光パネルをすべて国内で生産し、未利用の土地を活用することなどの条件が前提で、実現には政府の姿勢が鍵になりそうだ。

【詳しく知る】脱原発へ 自然エネルギー20年代早期に20%へ 菅首相、政策転換を“国際公約”

 試算は電力会社の依頼を受け実施した。

 現在、日本の電源は原発約3割、火力約6割、太陽光を含むその他が約1割。試算では、太陽光パネルの寿命は20年で、発電量は年率1%で劣化するとした。50年までの電力需要を考慮し、(1)原発を段階的に廃止し、その分を太陽光が代替する(2)原発はそのままで、太陽光が普及していく分、火力を減らす(3)原発はそのままで、太陽光は住宅への普及限度の1000万戸まで増え、その分の火力が減る--の3ケースで分析した。

 その結果、50年の国内総生産(GDP)は、(1)536兆円(2)533兆7000億円(3)536兆1000億円で、ほぼ同レベルになった。




(次回予定。中国の危機深まる!ー中国、世界経済の地雷源にー)




①管政権のやるべきこと。

・東電への圧力強化。発電、送電、配電の分離への道筋をつけること。

・自然エネルギー法案に政治生命をかけること。


②原発事故

・メルトダウン[燃料棒が溶け落ちること]メルトスルー[燃料棒が高温のため圧力容器を貫いて格納容器または外部にまで達すること]が起こったことは東電も認めた。


しかし圧力容器、格納容器の内部が安定的上状況かどうかは最終的に確認されていない。


・工程表は上記の最も重要な情報を欠いた状況で作られたもので、実現可能性を論じる根拠を欠く。



③世界経済

前々回に次のように指摘した。


[引用]

新興国の成長鈍化の兆し(これも主要因はインフレ)と世界的インフレ傾向が現在の経済トレンドを形成している。


ウオッチすべきは①中国景気の停滞、不動産バブル崩壊②米国景気の自律回復のレベル③日本のラストチヤンスとしての構造改革が進展するか。失敗すれば国債の暴落の現実的可能性生じる。



・格付け会社S&P米国国債引き下げ方向の評価。


・EUと中国等新興国は景気よりインフレ対応を優先して金利引き上げ。

主要国でインフレ対応より景気刺激を優先して金融緩和政策をとり続けているのは米国と日本。


・米国が6月に金融緩和策を終焉させるのかどうかに市場は注目。

確率は5分5分か。

米国でも景気の立ち直りは緩やかだが、インフレ対応はその比重を高めつつある。


・新興国のインフレ対応に伴う金利上昇により、景気の鈍化傾向が明確になりつつある。中国はインフレ率は5パーセント(目標4パーセント)をこえ、ベトナムは17パーセントを越えた。


(分析)

中国では銀行金利が物価上昇率に追いつかず、銀行に預ければ資産が目減りする状況であり、実物商品が買いあさられている。それが更にインフレをもたらすという悪循環である。


更に『ジャスミン革命』の影響を抑えるため内陸部の所得を増やす必要があり、政府主導で賃金の半ば強制的上昇が続いている。中国では人件費上昇と資源高がインフレ要因となっている.


更に中国の政治経済の危機はステージを変えつつあると思われる。

最近の中国共産党のヒステリックな思想、宗教、人権運動弾圧は共産党の強さの反映ではなく、『共産党の恐怖の表れ』である。


中国で起こっていること。中国が更なる経済発展を維持するには、一段の市場原理の徹底が必要である。


市場原理の徹底の最大の障害は中国共産党の特権であることが見えてきつつある。経済発展の障害は歴史の力で取り除かれる。共産党幹部はそれを感じてとって恐怖心を抱いているのである。


思想弾圧強化と賃金上昇という「あめとムチ」で「共産党の危機」を乗り越えようとしている。


金利の引き上げと賃金上昇は目先景気抑制要因である。現在7パーセント成長を目指しているが、7パーセントを切るようなことになれば失業者があふれる。


政府は広範な失業者を生み出すことを最も懸念している。

綱渡りの政策運営を行っているわけである。


綱渡りが成功するか否かを決定づける鍵は『インフレ』である。

(以上引用





米国は財政出動をやりにくい状況である。

FRBの資金提供が回りまわって国内のインフレ要因になっている。

経済の自立回復に黄色信号、住宅市場が好転しない。


EUでは、ギリシャがEUの構造的矛盾の典型例になりつつある。

財政は各国の主権を認め金融政策や通貨は統一されている。


金融危機が起こっても自国の通貨安が輸出優位、観光優位のバネが働かない。構造的要因がある以上財政政策の統一が図られるまでは危機は再生産され続ける。


中国経済は今年、世界経済停滞の引き金を引く可能性が高い。

・温暖化に伴う異常気象ー中国国内の作物、食糧インフレは収まらない。

・インフレ対応→金利上昇→経済成長鈍化[目標7パーセント]→失業者増加→社会不安

・不動産バブル崩壊ー銀行の不良債権膨張ー金融危機


7パーセント達成でも失業者が大量発生するといわれる。

7パーセント後半の成長率維持に黄色信号がともり始めるかどうかと不動産バブルの進展[現在3地域で不動産価格下降]を注視するべきだろう。


管総理大臣殿


国民と管氏自身のために現在やるべきことをお知らせいたします。


管政権は国民や議員が管氏を信任するかしないかの選択ではなく、政策の選択という土俵を直ちに構築すべきである。


その政策とは

『日本は環境立国を目指す』


具体的には

①発電と送電の分離の結論を早急に出す。

東電の力を見くびってはいけない。

分離はこれまでも提起され、つぶされてきた。

世論の厳しい目がある現在だからこそ可能な政策課題である。


電力業界に競争原理を持ち込み、電気料金を引き下げ、その分を自然エネルギー普及に当てるべきである。


原発が落ち着けば産業界・官僚・与野党議員・学者・マスコミを総動員して発電と送電の分離阻止活動が繰り広げられるだろう。


大きな利害構造の変化を伴うため、闘いの覚悟なしには実現しない課題である。


②原発の増設をせず順次閉炉にし、2020年代のなるべく早い時期に完全な脱原発を実現すると宣言する。


③大胆な炭素税を設定し、総額3兆円(消費税1パーセント分で2兆5000億円)を自然エネルギー普及に使うことで日本を世界最先端の自然エネルギー大国にする。

これはドイツの脱原発経費見積もり以上の金額である。


以上を実現する中で日本の産業構造は環境シフトし、その結果教育、文化等全ての分野での環境シフトを生み出し、日本は環境人材の宝庫となる。


冨と世界からの尊敬の両方を得ることになる。


重要なことは、以上のような戦略設定は先進国しか取れない戦略であることである。

環境シフトは炭素税、排出権取引など目先企業のコスト負担を高める[国際競争力を弱める]可能性があるからである。


このコスト負担を乗り越えて国際競争力を維持できるみとうしを持つ国しか先の戦略設定はできない。

すなはち新興国にこのような戦略設定はできないのである。


そもそも日本が中国など新興国に伍していくには、日本しか取れない戦略を持つことが不可欠なのである。



かくして、国民は管政権を支持するか否かではなく、先の環境立国政策に賛成か反対かを迫られることになる。


管政権は以上を実現するために闘うことで歴史に名を残すことになる。



(追伸)

G8で東電の工程表実現を確約したのは2重の大きな誤りである。


第1に工程表は原子炉内の中枢部分がどうなっているか分からない状況で作られたものであり、いわば机上で作った願望に過ぎない。

現実的可能性を論じられる代物ではない。

したがってそれが実現される可能性もきわめて低い。


第2に、「発電、送電分離」を本気で打ち出せば管政権は東電の「敵」となる。

工程表を担う当事者は東電であり、管政権は「敵」に政治生命のカードの一部を渡したのである。