まだ、続きます。
高橋大輔が引退…GPシリーズ開幕前に自ら“けじめ”/フィギュア
10月15日(水)7時0分配信http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141015-00000002-sanspo-spo
2010年バンクーバー五輪フィギュアスケート男子銅メダルの高橋大輔(28)=関大大学院=が14日、岡山市内で現役引退を表明した。2月のソチ五輪 は右膝故障の影響もあって6位に終わり、3月の世界選手権(埼玉)を欠場。今季は休養することを表明していたが、グランプリ(GP)シリーズ開幕前に、自 ら“けじめ”をつけた。今後はアイスショーに出演しながら、第二の人生を模索していく。
晴れ晴れした表情だった。生まれ育った倉敷市からほど近い岡山市内での会見。フィギュアスケートをメジャー競技に押し上げた高橋は、引退への経緯を語った。
「すごく時間がかかると思ったが、自分の中で一区切りつけて前に進みたかった」
2月のソチ五輪以降は五輪関係のイベントや、アイスショーで多忙だった。8月にアイスショーへの出演を終えて熟考した。誰にも相談せず9月中旬に決断し たという。8月下旬に発覚した“強制キス騒動”で物議を醸した日本スケート連盟の橋本聖子会長にはこの日、引退届を提出した。
ソチで3度目の五輪出場を果たし、モチベーションを保つことが難しくなった。4年後の平昌五輪を目指すには“不可能”と判断した。
今後は未定で、プロスケーターとして12月のアイスショー出演が決まっている。ダンスや語学にも興味を示し、関係者によると海外留学を検討しているという。
五輪でのメダル、世界選手権優勝、GPファイナルVは日本男子初の快挙。それでも、母国開催世界選手権(3月)を欠場し、最後の舞を披露できなかった悔いは残る。
「現役に未練がないわけではない。(復帰の)チャンスが全くないわけではない」。現時点での指導者や振付師への転身は否定的。結婚の予定もないという。
同様に今季休養している女子の浅田真央(中京大)には「僕より(今後を)決断するのが難しいと思うが、正直な気持ちで答えを出すのがいい」とエールを送った。
一つの旅は終わった。28歳はリンク外でも輝けるよう、もう一つの旅に出る。
引退で「男を上げた」高橋大輔 去り際までたたえられた希代のモテ男
10月16日(木)16時18分配信http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141016-00000033-tospoweb-spo
去り際も「いい人」だった。日本のフィギュアスケート男子を長年けん引してきたバンクーバー五輪銅メダリストの高橋大輔(28=関大大学院)が現役引退 を発表。今年4月に1年間の休養を宣言していたにもかかわらず、方針を変更。周囲から「?」のブーイングが起きるかと思いきや…「さすが大ちゃん!」と男 を上げた格好に。いったい、なぜなのか?
世界ナンバーワンの集客力を持つ人気スケーターが突然、現役引退を表明した。高橋は「8月のアイスショーが終わり、自分の時間を過ごしているなか、引退と一区切りつけてから次に進んでいく方がいいと思った。今後はその後、ゆっくり考えていこうと思った」と説明した。
今季は1年間の休養に充て、去就はその間に考えると4月に表明した。しかしその言葉に反して、急展開の引退発表となった。この日早朝の一部メディアによ る報道で、ショックを受けたファン、スケート関係者もいたはず。ましてや本人が日本スケート連盟に引退届を提出しておらず、両親らに伝える前だったという からなおさらだ。混乱してもおかしくなかったが、結局は高橋の「いい人」ぶりが「なぜ、方針変更?」のブーイングを消した。
「1年考えて言おうかと思ったが、シニアの競技シーズンが始まる前に言おうと思った。他の選手がこれからモチベーションを上げる中ではなく、前がいいのかなと」(高橋)
今回の電撃発表は、他の選手にとって重圧たっぷりの競技生活中に自らの話題で邪魔をしたくない、という配慮だったのだ。周囲からは「高橋らしい」(フィギュアスケート関係者)と拍手が起きている。
そもそも、高橋は人望の厚い選手として知られる。「高橋選手は誰からも好かれた。年上、年下問わずみんなから『大ちゃん』と呼ばれて慕われていた。大変 なケガを乗り越えた姿、練習姿勢も若い選手のお手本だった。お疲れさま、と言いたい」(日本スケート連盟・伊東秀仁フィギュア委員長)
元ライバルで昨年暮れに引退した織田信成氏(27)もこの日「大ちゃん長い現役生活お疲れ様でした。一緒に練習できた事、試合に出た事は僕にとって大切な思い出です」とツイッター上でねぎらうなど、仲間も即座に反応した。
誰にでも分け隔てなく接する性格。その真摯な振る舞いは日本を飛び出て「海外でもコーチ、関係者、ジャッジ、選手で高橋選手を嫌う人はいないと思う」(日本スケート連盟関係者)と海外にもファンが多かったという。
高橋によれば、今後はすでに出演が決まっているアイスショー以外は未定。去り際までたたえられた希代のモテ男は、次はどんな舞台で女性ファンをくぎ付けにするのだろうか。
なんでこの顔なのかしらね。
タイトルといい、東スポさんらしいけどね。
毎日新聞のジュニア版でしょうか?
twitterで見つけたものです。
15歳のニュース:男子フィギュアを世界レベルに 高橋大輔、引退
2014年10月18日http://sp.mainichi.jp/feature/maisho/news/20141018dbg048040013000c.html
フィギュアスケート男子の高橋大輔(たかはしだいすけ)選手(28)が14日、現役(げんえき)引退を発表した。3度の冬季五輪に出場し、 2010年のバンクーバー五輪で日本男子初のメダルとなる銅を獲得(かくとく)。世界選手権やグランプリファイナルでも日本男子初の優勝を果たすなど、日 本男子フィギュアを世界トップレベルに引き上げた功労者だ。
■ガラス細工
1999年に中2で初の国際大会に優勝。16歳(さい)で迎(むか)えた2002年には世界ジュニア選手権で日本男子初の優勝を果たした。しかし当初は、ガラス細工(ざいく)と言われるほどメンタル面の弱さを抱(かか)えていた。
自著「be SOUL」には次のようなくだりがある。「試合前の練習で他(ほか)の選手を観察して、オレは今この中では3番くらいだな、と勝 手に自分で順位を決めてしまって勝手に自信をなくす」。だが、07年東京開催(かいさい)の世界選手権では、フリーの「オペラ座の怪人(かいじん)」で鬼気迫(ききせま)るステップを披露(ひろう)し銀メダルを獲得。鋼(はがね)のハートを見せつけた。
■スケートしかない
バンクーバー五輪まであと2年となった08年10月、練習中に右膝(みぎひざ)の前十字靱帯断裂(じんたいだんれつ)と半月板損傷(そんしょ う)という大けがを負う。選手生命も危(あや)ぶまれる中、手術後のリハビリは過酷(かこく)だった。自著の中では、つらさに耐(た)えかねて09年2月 の2週間、リハビリを無断欠席したことを明かしている。でも結局、「自分にはスケートしかない」との思いで自ら復帰。リハビリによって柔軟(じゅうなん) 性が身につき、体の使い方が変わった。引退会見でも「あれがあったからバンクーバーでメダルが取れたし、自分を見つめ直せた」と振り返っている。
■音を見せる
自身は著書の中で「曲に合わせて体を動かすのが今でも一番楽しい」「音と動きがハマッたときが、ものすごく気持ちいい!」と記している。高橋 選手を16歳の時から見てきたというNHKの刈屋富士雄(かりやふじお)解説委員は引退会見の日、「音が聞こえなくても高橋大輔の映像を見ることで音が浮 (う)かんでくる」「音を見せることができる演技」と評価した。
山陽新聞さんのコラム。
登録しなくても読めるものが一つあったので、引退報告記事と一緒に紹介します。
フィギュア高橋選手が引退表明 「次の道に進むため」岡山で会見
http://www.sanyonews.jp/article/82249/1/?rct=okayama_sportsフィギュアスケートの日本男子エースとして活躍し、2010年バンクーバー冬季五輪で銅メダルに輝いた倉敷市出身の高橋大輔選手(28)=関大大学院、 翠松高出=が14日、岡山市内で記者会見し現役引退を表明した。「競技生活に未練もあるが、今のモチベーションでは次の五輪(18年平昌)まで頑張るのは 難しい」と心境を語り、20年間のスケート人生に幕を下ろした。
引退を考えたのは9月半ばで、「僕自身にとっても急な決断だった」という。理由については「(2月の)ソチ五輪を元々一つの区切りと決めていた。次の道 に進むために一度線を引いて、すっきりした状態になりたかった」と明かした。本格的なシーズン開幕を控え、「始まる前に言おうと思った」と他の選手への気 遣いを見せた。日本スケート連盟に引退届も提出した。
今後については未定で、プロスケーターとしてアイスショーなどへの出演などは続ける意向。ダンスや語学に興味を示し、関係者によると海外留学も検討している。一方で「(競技者として)再び戻ることもできる」と現役復帰の可能性に含みも持たせた。
高橋選手は世界一と評された巧みなステップや天性の表現力を武器に、トップ選手へと成長。08年の右膝手術など苦難を乗り越え、バンクーバー五輪の銅メ ダルに続き、10年世界選手権で日本男子初の金メダルを獲得した。女子の陰に隠れがちだった男子フィギュアをけん引し、五輪では2大会連続で日本男子全員 入賞などの黄金期を築き上げた。
「競技人生の集大成」と位置付けたソチ五輪は、右膝の大けがを抱えながら3大会連続入賞の6位に入ったが、3月の世界選手権(埼玉県)は欠場。その後、今季の休養を宣言していた。
岡山スケート界にとっても、競技力向上や普及に大きく貢献。小学生のころから練習拠点にしていたヘルスピア倉敷(倉敷市)の存続危機には、自ら支援を呼び掛けた。
この日は、岡山市であった両備てい園記念財団の贈呈式も兼ね帰岡した。
◇
高橋 大輔(たかはし・だいすけ)倉敷市出身。連島西浦小2年の8歳で競技を始め、翠松高1年の02年に世界ジュニ ア選手権を初制覇した。冬季五輪は06年トリノ8位、10年バンクーバーで銅メダル、2月のソチは6位と、3大会連続入賞を果たした。10年世界選手権 と、12年グランプリファイナルでともに日本男子初となる優勝。10年には第1号の「岡山県民栄誉賞」を受賞した。165センチ、59キロ。
帰岡。
個人的に、岡山の新聞でこれを見つけたのは、なんだか嬉しい( ´艸`)
コラムです。
滴一滴
グラウンドで、銀盤で、ともに“…
http://www.sanyonews.jp/article/83857/1/グラウンドで、銀盤で、ともに“名優”と呼べる存在だった。倉敷市出身の2人のスポーツマンが表舞台を去った。プロ野球・楽天監督を退任した星野仙一さ んと、現役引退を表明したフィギュアスケートの高橋大輔さんである。
▼星野さんは監督として3球団でリーグ優勝を果たし、歴代10位の勝ち星を挙げた。東日 本大震災から3年目の昨年、東北を元気づけた本拠地での「日本一」は記憶に刻まれている。
▼投手としても監督としても、闘志をむき出しにする姿は絵になっ た。選手にも「思い切り目立ってこい」とハッパをかけ、プロとして見せる意識を求めた。
▼星野さんが最初に中日の監督に就任した1986年に高橋さんは生ま れた。8歳で競技を始めたきっかけは、リンクで練習する子どもたちを目にしたことだった。球技や体操には興味を示さなかった優しくおとなしい少年が、自分 からフィギュアをしたいと言いだした。
▼難度の高い4回転ジャンプに挑み、失敗しても攻めの姿勢を貫いた。世界一と評されるステップや抜群の表現力で輝きを 放った。五輪や世界選手権などで「日本男子初」の栄冠をいくつも手にし、フィギュア界をけん引した。
▼決して諦めない気持ち、挑戦を続ける強い意志。岡山県 民が2人からもらった大きな贈り物だ。本当にありがとう。そしてお疲れさまでした。
All Aboutのコラムです。
競技生活からの引退を発表した高橋大輔
長谷川仁美
http://allabout.co.jp/gm/gc/448011/
2010年バンクーバー五輪銅メダルの獲得、2010年世界選手権優勝など、輝かしい成績を残してきた高橋大輔さんが、競技生活からの引退を発表しました。
日本人男子として、アジア人男子として、
初めての成績をいくつも残す
高橋大輔さんが、競技生活からの引退を表明しました。
当日のニュースや翌朝の情報番組などでもトップで扱われるのを見て、彼の道のりや功績はフィギュアスケート界にとどまっていなかったんだな、と感じさせられたところです。
改めての紹介になりますが、高橋さんは、高校1年生のときに世界ジュニア選手権に初出場で優勝し、2006年トリノ五輪(8位)、2010年バンクーバー
五輪(銅メダル)、2014年ソチ五輪(6位)の3大会に出場して、すべてで入賞しました。2010年バンクーバー五輪メダリストと2010年世界選手権
優勝、2012年グランプリファイナル優勝は、いずれも日本男子として、アジア人男子として初めての快挙です。
2008年10月には、中国杯を控えた練習で右足膝の前十字靭帯と半月板を損傷し、手術とリハビリのために五輪の1年前のシーズンの試合に出られないこと
に。氷に乗ったのは2009年4月。それから10カ月後のバンクーバー五輪で銅メダリストになったことも、多くの人の心に残っていることでしょう。
引退理由は、「けがは大きな理由ではない。モチベーションという理由はあるかもしれないです」と。「ソチ五輪をめざす時に、モチベーションを保つのがすご
く難しいと感じながらやっていた。今の僕では(再び五輪をめざすモチベーションを保つのが)不可能だと感じた部分はあった」といいます。
現在28歳。彼は年齢を口にしていないけれど、フィギュアスケート選手としてかなりベテランになる年齢。心身ともに楽ではない状況だったと想像します。
彼のこれまでを思い出すと……
高橋さんのこれまでを思い出すときいつも最初に、2002年11月のファンタジー・オン・アイスでのことを思い出します。まだ高校2年生で、シニアに上がったばかりでどうなるのか……という時期でした。おずおずと不安そうな表情なのに、いったん滑り始めると、スケートがとに かく伸びてスピーディ。スーーっとあっという間に目の前を滑りぬけていってしまったことがとても印象的でした。まだ魅せる感じの演技ではなかったのに印象 的で、「なんだろうこの感じ?」と思ったのを覚えています。
2年後の2004年12月の全日本選手権でのショートプログラム『剣の舞』は、本人にはあまり好評ではなかったようですが、スケーティングやステップが、このあわただしい音楽からまったく遅れず、素晴らしかったです。音楽に負けずに動く懸命さがかわいらしくもありました。
2005年グランプリファイナルのエキシビションでは、しっとりとした『ノクターン』に乗せてリンクを大きく使って伸びるスケートの中に、自然と男らしさが醸しだされているのを感じました。
そのあとの活躍はもう皆さんが知っているとおりです。
愛されるスケーター高橋大輔
高橋さんは、世界中のファンから愛されているスケーターです。
年下の選手の憧れであるだけでなく、年上のスケーターからも演技を楽しみに待たれてきました。2013年12月の全日本選手権で5位になったとき、彼がソ
チ五輪代表にならないと思った海外の年上のスケーターが「彼を五輪で見られないなんて!」とコメントしていました。また、ミーシャ・ジー選手(ウズベキス
タン)は10年前、高橋さんの試合の公式練習をビデオに撮り、それをお手本に練習を重ねてきたといいます。
謙虚で優しく、穏やかで気を使う、そのキャラクターでも愛されてきました。
引退会見でも、「今まで応援してくださった方の前で『引退します』と公言しないまま、ファンの方の心の準備がないままの引退となってしまって申し訳ない」とファンへの思いも語っています。
また、この時期への公表には、後輩スケーターへの配慮も見えました。「(引退発表の)タイミングとしては、シーズンが始まる前にしたいなと。他の選手もこ
れからモチベーションを上げる中で、自分も選手をやっていたので、(シーズンイン)前がいいのかなと」。選手たちへの配慮とともに、「あとは任せたぞ」と
いう後輩たちへのエールにも感じられます。
高橋さんは、会場でスケートを見る醍醐味も教えてくれる存在です。
ステップの1つひとつが驚くほど伸びることや、氷をひと蹴りしただけであんなに進むということを見せてくれました。1万人を超える広い会場でも、パワーや
気迫で満ち満ちる空間の濃密を、何度も感じさせてくれました。だからこそ私たちは、彼が出場すると聞くだけで、試合でもアイスショーでもわくわくさせても
らってきたのでしょう。
高橋大輔というスケーターに……
8月のフレンズ・オン・アイスでは、高橋さんの身体の切れ味は突出していました。引退決定は9月半ばとのことなので、あの時点ではまだ心を決めてはいな
かったと思うけれど、「多分、どこかに(引退の気持ちは)あったんだと思います」と言っている通り、すでに、肩から重い荷物を下ろした人の演技に見えまし
た。
今後については、まだ決まっていないといいます。
「何に情熱を持ってきたかと考えた時、スケートしかなかった。これが本当のものなのか、次から次に来るものを消化してきたものかわからないので、(スケー
トから少し)引いたところで生活してみれば、どこまでスケートを好きでいたのか、これを本当にやっていてよかったと思えたのかわかると思う。特にはっきり
と決めずに、流れのままにいこうと思います」
こんなにも稀有な体験、喜び、思いをさせてもらったスケーターに、こんなにもありふれたことしか言えないのがひどくもどかしい。けれど、シンプルだけど、
あなたの決めたことを尊重したい。お疲れ様でした。たくさんの素晴らしいスケートを見せてくれて、本当にありがとう。これからも楽しみにしています。
彼のスケートに一度でも胸を震わせたことのある人は皆、そう思っているのではないでしょうか。
更新日:2014年10月17日
高橋大輔が人々に与えてくれたもの
松井政就http://allabout.co.jp/gm/gc/448027/
いつかその日が来ることは知りながら、世界中のフィギュアファンが迎えたくなかった日がついに訪れた。フィギュアスケートの高橋大輔選手が現役を引退した。世界中のファンは、これから高橋大輔のいない冬を迎えることになる。
銀盤を去ったフィギュアのエース
故郷岡山県で行われた記者会見。高橋選手はその中で、引退しても一度だけ現役復帰できる規定があることを口にするなど、競技生活に思いが残っていることを感じさせながらの引退となった。
選手生命を奪われかねない大けがなど数々の苦難を克服し、日本のみならず世界のフィギュア界をリードしてきた高橋選手にとって、ようやく重荷を下ろす時が来たといえる。
世界には高橋ファンが大勢いる。
彼がなぜ国を問わず多くの人々を魅了してきたのかを改めて振り返ると、彼がスポーツとしてのみならず「芸術表現」としてのフィギュアを体現してきた唯一無二の存在であったことがわかる。
アーティスト中のアーティスト
世界には氷上アーティストと呼ばれる選手がいる。
当然のことながらそれらの選手は表現力が豊かで素敵な演技をするが、時として、その素敵さと同時に「既視感」を感じることがある。
なぜなら、選手個人の世界観が演じられている場合が多いからだ。そのため、シーズンが変わり、楽曲が新しくなっても、以前と類似した世界観になりやすい。
もし、”曲が違うのに去年と同じような演技”に見えることがあるとすれば、理由はおそらくそれだろう。
フィギュア表現に立ちふさがる文化の壁
表現においては更なるハードルも存在する。それは文化の壁だ。
選手は必ずどこかの国で生まれ育つ。だから感情や心情の表現も、体を使った動作表現も、自分が生まれた国の文化や風土の影響から逃れることができない。
そのため、選手個人の世界観は、たいてい、同じ国の人々には理解されるものの、異なる文化や風土を持つ国の人には理解されにくいという厳しい現実がある。
どんな一流スケーターであっても、異なる文化の人々に世界観を理解してもらうことの困難に直面するというわけだ。
だが、高橋大輔はその壁を越えた。
なぜなのか?
なぜ高橋の芸術性は文化の壁を越えるのか
そのわけは、高橋選手の音楽に対する深い造詣と無縁ではない。高橋が演じるのは、彼個人の世界観ではなく、「楽曲の持つ不動の世界観」なのだ。つまり「その楽曲が生まれながらにして持つ、表現されるべき真の世界観」を表現していたのだ。
彼はその卓越した表現力により、作曲家に成り代わり、「楽曲の世界観」を人の目に見えるかたちで「視覚化」して見せていたのだ。
だから国や文化の壁を超え、人々の心にダイレクトに届いたのだ。
言葉など不要な高橋からのメッセージ
高橋大輔の演技を素晴らしいという人は世界中にいる。だが、どこがどう素晴らしいのかを言葉でうまく説明できないという人が多い。「華麗なステップ」あるいは「深いエッジ」など、高橋を説明する時には幾つかの言葉が使用されているが、それらはあくまで素晴らしさのパーツに過ぎず、彼の素晴らしさの全体像を説明することの困難さに誰もがもどかしさを感じていることだろう。
だが、それも当然だ。言葉で説明できることなど、しょせん、言葉という記号に置き換えることが出来る程度のものでしかないからだ。
高橋の演技は、言葉では伝えられないことを世界観の共有という形でダイレクトに伝えるという、極めて高度な芸術的行為なのだ。
極限のリアリティ
最大の特徴はリアリティだ。高橋はまさに「生きた主人公」となって「楽曲の世界観」を紡ぎ出す。その、極限まで高められたリアリティを前に、人はそれが演技であることを忘れ、彼が視覚化した楽曲の世界観に惹き込まれていく。
やがて演技が終わり、それが数分間という限られたものだったことに人は気づく。
しかし、高橋と世界観を共有した体験は、リアルな肌感覚となって、見た人の中に永遠に残る。それは、高橋の演じた世界が確かにそこに存在したという証となる。
高橋大輔が人々に与えてくれたもの
彼の現役時代をともに過ごし、最高の時をわかちあい、苦しい時には祈ることができた私たちは、フィギュアファンとしてとても幸せだったと言えるだろう。高橋選手が出る競技会には、期待に胸膨らませた人々が多数駆けつけた。
彼の演技が近づくと、会場は一瞬静まりかえり、演技が始まると拍手と歓声、そして歓喜の渦が巻き起こる。
私も幾度となくその中にいた。そして、ある場面を幾度となく目撃することとなった。
人はうれしい時には喜び、笑顔を見せる。しかし、あまりにもの幸福を感じた時、人は、喜びを通り越し、涙を流す。
高橋大輔が演技を終えた後、大歓声とともに立ち上がった多くの人々が、拍手をしながら大粒の涙を流していたことを、いつか彼に伝えたい。
更新日:2014年10月20日
正直言うと、同意できるところと、ちょっと違うかなと思うところが、あります。
まあ、それは当然と言えば当然ですが、
ここに取り上げたこと=同感、
ではないことを一応、書いておきます。
大ちゃんリスペクトという点では、頷けるところは多いですけどね(*^_^*)
追記
えー・・・コメントで松井さんとどう違うのですか?と質問が来たので、
こちらに書きます。
コメント欄でも良かったのですが、確かに本文で書かなかったなあ、とは思っていました。
パッと読んで思った事です。
素人考えなので、深いツッコミは勘弁してください。
高橋が演じるのは、彼個人の世界観ではなく、「楽曲の持つ不動の世界観」なのだ。つまり「その楽曲が生まれながらにして持つ、表現されるべき真の世界観」を表現していたのだ。
「楽曲の持つ不動の世界観」
なんだろう・・・と思うのです。なんかわかる気もするのです・・・
歌子先生が「体中から音楽が鳴っている」と言ってましたが、
さまざまな手の振りで、さまざまな音色に見せられるわけですから
音の視覚化が並外れてすばらしいとは私でも感じています。
でも、
結論からいうと、
大ちゃんが演じるのは大ちゃんの世界、
だと私は思っています。
楽曲に対する大ちゃん個人の世界観だと思うのです。
松井さんは、選手個人の世界観が演じられることは楽曲が新しくなっても、
以前と類似した世界観になりやすい、と書いています。
そしてそれは文化の壁であり、異なる文化の場合は理解するのが困難だと書いています。
でも、大ちゃんがそれを越えたのは、
音楽に対する造詣の深さと「楽曲の持つ不動の世界観」を演じているのであり、
大ちゃん個人の世界観ではない、と書いています。
そうなのかなあ・・・
文化の上に成り立つ個人の世界観もわかるけど、
普遍的な人間の生き様ってものが
文化を越えてあるような気がするのです。
そして、
大ちゃんのの生き様みたいなものが
大ちゃんが演じる世界観に入っている気がするのです。
髙橋大輔の演技は、「髙橋大輔」そのものなんだから。
と思っちゃったわけで・・・
もしかして、私の松井さんの文章の読み取り方が足りないのかもしれない。
なんかまとまらない、おこがましいことを言っている気もするのですが・・・(^_^;)
一つの旅は終わった。28歳はリンク外でも輝けるよう、もう一つの旅に出る。
去り際も「いい人」だった。
今回の電撃発表は、他の選手にとって重圧たっぷりの競技生活中に自らの話題で邪魔をしたくない、という配慮だったのだ。
周囲からは「高橋らしい」(フィギュアスケート関係者)と拍手が起きている。
そもそも、高橋は人望の厚い選手として知られる。
「高橋選手は誰からも好かれた。年上、年下問わずみんなから『大ちゃん』と呼ばれて慕われていた。大変 なケガを乗り越えた姿、練習姿勢も若い選手のお手本だった。お疲れさま、と言いたい」
誰にでも分け隔てなく接する性格。
その真摯な振る舞いは日本を飛び出て「海外でもコーチ、関係者、ジャッジ、選手で高橋選手を嫌う人はいないと思う」(日本スケート連盟関係者)と海外にもファンが多かったという。
だが、07年東京開催(かいさい)の世界選手権では、フリーの「オペラ座の怪人(かいじん)」で鬼気迫(ききせま)るステップを披露(ひろう)し銀メダルを獲得。
鋼(はがね)のハートを見せつけた。
高橋 選手を16歳の時から見てきたというNHKの刈屋富士雄(かりやふじお)解説委員は引退会見の日、
「音が聞こえなくても高橋大輔の映像を見ることで音が浮 (う)かんでくる」
「音を見せることができる演技」
と評価した。
岡山スケート界にとっても、競技力向上や普及に大きく貢献。
小学生のころから練習拠点にしていたヘルスピア倉敷(倉敷市)の存続危機には、自ら支援を呼び掛けた。
難度の高い4回転ジャンプに挑み、失敗しても攻めの姿勢を貫いた。
世界一と評されるステップや抜群の表現力で輝きを 放った。
五輪や世界選手権などで「日本男子初」の栄冠をいくつも手にし、フィギュア界をけん引した。
決して諦めない気持ち、挑戦を続ける強い意志。
岡山県民が2人からもらった大きな贈り物だ。
本当にありがとう。そしてお疲れさまでした。
おずおずと不安そうな表情なのに、いったん滑り始めると、スケートがとに かく伸びてスピーディ。スーーっとあっという間に目の前を滑りぬけていってしまったことがとても印象的でした。
2年後の2004年12月の全日本選手権でのショートプログラム『剣の舞』は、本人にはあまり好評ではなかったようですが、スケーティングやステップが、このあわただしい音楽からまったく遅れず、素晴らしかったです。
しっとりとした『ノクターン』に乗せてリンクを大きく使って伸びるスケートの中に、自然と男らしさが醸しだされているのを感じました。
謙虚で優しく、穏やかで気を使う、そのキャラクターでも愛されてきました。
会場でスケートを見る醍醐味も教えてくれる存在
ステップの1つひとつが驚くほど伸びることや、氷をひと蹴りしただけであんなに進むということを見せてくれました。1万人を超える広い会場でも、パワーや 気迫で満ち満ちる空間の濃密を、何度も感じさせてくれました。
こんなにも稀有な体験、喜び、思いをさせてもらったスケーターに、こんなにもありふれたことしか言えないのがひどくもどかしい。
「芸術表現」としてのフィギュアを体現してきた唯一無二の存在
高橋選手の音楽に対する深い造詣
「楽曲の世界観」を人の目に見えるかたちで「視覚化」して見せていたのだ。
高橋の演技は、言葉では伝えられないことを世界観の共有という形でダイレクトに伝えるという、極めて高度な芸術的行為なのだ。
鋼(はがね)のハート
刃金、とも書くそうです。
意味は、強靱な本質。
まさに、そうだったのだと思います。
でなければ、
この年で世界ランキング10位以内には、いないでしょう。
そのクロニクルを紹介したページです。
朝日新聞デジタル:髙橋大輔に関するトピックス
http://www.asahi.com/topics/word/%E9%AB%98%E6%A9%8B%E5%A4%A7%E8%BC%94.html
髙橋大輔の軌跡
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/special/figureskate/takahashi/history
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