私の中では、大ちゃんとニコライの件は、前回の記事(2012-06-21)で決着をつけました。








でもね、あの後もいろいろな人とニコライの事を話したり、DOIの大ちゃんの告白を見ながら、もうちょっと思うことが出てきたので書きとどめたいと思います。








「人を好きな方は美しい」

と大ちゃんは言いました。
私が感じる大ちゃんの美しさは、まさにこれなんだろうと思いました。
人が好き。



たぶん、大ちゃんはニコライが好きだったんだと思います。
(いや、絶対そうだろ!と言う方もいると思いますが、私の想像で話しています)



今、現在もそうだかどうかはわかりませんが、『STEP! STEP! STEP!』(日経ビジネス人文庫)には、こう書いてあります。



「ニコライの時に習ったから」「ニコライの時にやり方が身についたから」
今、大輔に練習や演技のことを聞くと、なにかと「ニコライの時」が多い。

原 真子『STEP! STEP! STEP!』(日経ビジネス人文庫)P.43



ニコライの影響力を感じました。
でも、こういう時期ってあるんですよね。
私もピアノをする時の準備運動は、ある時期に教えていただいたことがベースにあります。
それが性分に合っている。
そうすることで自分が安定するみたいな。
そんな要の部分。


でも、大ちゃんはニコライとの決別を選択するのです。


その別離会見を含めた動画、うーんと前に上げたのですが、もう一度再掲します。

動画主様、ありがとうございます。お借りします。






http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=qkJtHXoP77c





 


 


 




実は、この会見は今回のことがあるまで一度も見たことがありませんでした。
見たいとも思わなかったのです。

と言うのも、大ちゃんの言葉があればそれで十分と思っていたからです。











4位のおかげ

今思えば、スウェーデンの世界選手権(08年)の結果が「4位」だったことが、自分にとっては重く、大きな意味がある。
(中略)
この世界選手権後、周りの環境が大きく変わった。まずは振り付け師がニコライからパスカーレに変わったこと。この決断はとても重いものだった。
実は、このシーズンの途中から、ニコライとの間でお互いの勘違いや行き違いが重なり、かみ合わずギクシャクしたこともあった。一度歯車が狂うと、悪いことは重なるものだから。
僕は何事もそうだけれど、不信感を抱きながら、だましだまし進むことができない。だから、このまま来シーズンもニコライと続けることには迷いがあった。それに新しい自分を見てみたい、という気持ちも芽生えていた。もしコーチを代えるなら、オリンピックシーズンまで2年の猶予のあるこのタイミングがいい・・・。
そんな矢先に「4位」になったことでスイッチが入った。もし3位だったら、もう少しこのままやろう、と思ってしまった可能性はある。
試合で、自分としてはありえないないような、あんなミスをしてしまったことも踏み切らせた。別れどきかもしれない・・・。だからあのミスは必然だったと思う。
ただ、それまで全てをニコライに任せていたところがあったので、本当に別れていいのだろうか、今後どうすればいいのか、そんな不安もあって、かなり悩んでいた。
数週間が過ぎたころ、織田選手とニコライが組むことになったことで、僕の心は決まった。ニコライは優秀なコーチだから、見てもらいたい織田選手の気持ちはよくわかるし、同時に二人見てもらうことに抵抗のない人もいるだろう。でも、僕は男子同士で同じ土俵にいるし、自分がメインで見てもらいたいタイプなので、そんな中途半端な態勢では難しい。
やっぱり、だましだましは無理だ。この決断は僕にとって苦しく、最大の決断だった。
今でも(2010年当時)ニコライの事は尊敬している。僕を作り上げてくれた人だし、僕にはとても必要な人だった。離れたことが本当に正しかったのかどうかはわからない。でも、後悔はしていない。
(後略)

高橋大輔『be SouL』(祥伝社)P.136~












今、ここで書きながら最後のあたりで震えてしまいました。

僕を作り上げてくれた人だし、僕にはとても必要な人だった。

短い言葉だけど、痛いくらい伝わってきます。



この決断はとても重いものだった。

この決断は僕にとって苦しく、最大の決断だった。



繰り返される「決断」の言葉。
それだけ、まさに「重く」「苦し」いものだったのです。





ここらヘンのいきさつを他の方の目線で見てみます。
まずは『STEP! STEP! STEP!』










「ニコライから離れます」
会見は恨み節を言うこともなく「僕に自信をつけてくれたことに感謝している」と繰り返し、ここまでの経緯を淡々と、むしろ「全然平気」といった調子だった。事実は話した。しかし、真実、本当の気持ちは話していなかった。
大輔が本当のことを話す時は声が小さくて、わざと人の目をそらすことが多かったりする。「僕、見栄っ張りだったから」
人間不信に陥ったのか?それはそう。しかし、自信もなく人見知りだった子供のころの方が、人を信じなかったかもしれない。「別にね、人間不信になったからって、問題が解決するわけじゃない。あれ(モロゾフとの別れ)があったから、100パーセント信じられる人ってそんなにいない、自分自身で考えないといけないと思った

しかし、大きなショックだったのは事実だ。何をするにしても、大輔にとって一番つらい状況「テンションが上がらない」時期の始まりだった。(後略)

原真子『STEP! STEP! STEP!』(日経ビジネス人文庫)P.55~









なかなか興味深い一節です。
原さんの見解なんでしょうけど、映像の大ちゃんの様子とぴったり重なるんです。
だから、尚更、他に書いてあることがそうなのかな?と思いました。
人間不信に陥る隙もなくやってくるいろいろなこと。
振り付け師を決めたり、衣装を決めたり、練習をしたり。
やることはやっているけど、なんか不安が・・・みたいな。
4回転の練習もがむしゃらにやっていて、ケガをしたのもわかるな、みたいに見えました。









もう一つ。田村明子さんの『氷上の美しき戦士たち』(新書館)











(前略)
本当に人生何があるかわからない。この1ヵ月後、驚くようなニュースが飛び込んできた。
よきライバルだった織田信成が、ニコライ・モロゾフとトレーニングをすることになったという。
高橋はこのことについて、多くを語りたがらない。ネガティブなことを口にするのを極度に嫌う、彼の潔癖な性格のためなのだろう。だが、信頼関係を築いていたコーチが、裏でライバル選手をリクルートしていた衝撃は大きかったに違いない。2008年5月6日、高橋は3年続いたモロゾフとの師弟関係を解消すると発表した。
「彼には感謝をしています。彼がいなかったら、スケーターとしての今のぼくはいなかった。彼が引き出してくれたものは大きいです。ここまで来られたのは、ニコライのおかげでした」
これが、高橋がニコライ・モロゾフに最後に贈った言葉だった。

田村明子『氷上の美しき戦士たち』(新書館)P.73~













前の原さんの見解と言葉こそ違いますが、通じるものがあると思います。
潔癖な性格。
私はこちらの表現の方が本当はピタッと来ます。
若いから、尚更、そんな感じがします。


好きだったニコライ。
でも、なんとなく合わなくなってきて、いろいろな必然的な出来事が重なってきっぱり別離。


きっぱり別れたけど、いろいろな意味で大きな転換点になった人だから、忘れられないんじゃないかな、と思います。
別離についてあまり語らなかった大ちゃんはもしかして織田くんを選んだニコライを憎んでいたかもしれない。
でも、憎むほど好きだった。
そして、時間がたって、逆に、どうしても憎めない人、と思っているんじゃないかしら。
ニコライの事、好きなんだと思います。
基本的に、大ちゃんは人が好きなんだと思います。
四男坊で人に見てもらいたくて人懐こい。
おじいちゃん子で愛情をいっぱい受けて育った優しい子。
故にちょっとシャイ。だけど、人の輪の中に入っていたい。
そんな優しい子。


優しい大ちゃんは、その後チームD1SKで、バンクーバーOGへ向かっていったのです。
ニコライ抜きで。
このチームの一員である井原さんとニコライには確執があります。
ニコライの著書『キス・アンド・クライ』に、エージェントとの行き違いみたいに書かれていたからです。
(すみません、手元に資料がないのでうろ覚えですm(_ _)m)
ですから、大ちゃんは当然、井原さんとのこともあったから、今回の申し出があったことに驚いたのだと思います。





http://www.youtube.com/watch?v=nbYA64chkwE&feature=g-hist



動画主様、ありがとうございます。お借りしました。



 
 
 


「僕は絶対ないと思っていたので」



心なしか強い口調の大輔。
これを聞いた瞬間に、大輔は男だな、と思いました。

ありえない。
あんなことがあって。

人とのつながりを大事にすればするほど、そこのところのけじめをつけていた大輔。

でも、同時にセンチメンタルな感じにも見えました。

このセンチメンタルは、私の友達が語ってくれた中にあった言葉です。

センチメンタル  感傷的

口元に指を持っていって、とつとつと話す大輔。


 

 



「まあ・・・いろいろあって、別れたので・・・」




 


あら、原さんの仰っていた感じ。





いろいろあったから、ありえない。




でも、




最後の決め手はモチベーションとロシアだったんですね。




正直言えば、モチベーションの方は大した理由でないのかな、と思っていました。
なんとなく、ロシアの方が重い気がしたのです。



でも、先日、先ほど「センチメンタル」大ちゃんを話してくれた方とメールのやりとりをしている時に、突然閃いたのです。



もしかして、モチベーションの方が重いのかな?と。



友達は、IFSのインタビューを紹介してくれていで、大ちゃんが「ソチが終わったら辞めます。そのあとどうするか、まだわかりません。プロとして滑っているかもしれませんが、まだわかりません。」と言っているところで、滑らない理由としてハートで滑ることを上げていたのです。



ハートをたくさん使って滑る。



大ちゃんは『little wings 2012』(双葉社)の中で、こう語っています。









「滑るってことに関して、僕はすごく気合いがいるんですよ。多分、みんなが思っている以上にここ(胸を叩いて)を使っているから・・・・・・」

『little wings 2012』スペシャル対談鈴木明子vs高橋大輔 (双葉社)p.62











ハートを使うから、というのは大ちゃんらしいです。
競技会の現地に入ると、エレメンツ的なことより、どう表現するかにシフトをおくみたいなことを言っていたような気がします。
だから、ファンだけでなくみんな、大ちゃんの演技に心惹かれるのです。





でも、ハートを使う演技、それは両刃の剣で、ハートがなくなるとやらない、というリスクが常にあるような気がします。




ソチまでは、どんなにやりたくない時が来ても無理矢理やらなきゃならない、モチベーションを保たなければならない。

そのためのニコライ。

なんか、そんなひらめきが読んで感想を書いている時にしたのです・・・







多分、2010-2011シーズンの辛さが、彼にそう思わせたのかもしれませんね。
なかなか上がらないモチベーションの辛さは、『SouL Up』(祥伝社)を読んでいて痛いほど伝わってきます。

何か起爆剤が欲しい・・・

それがニコライでいいのか、と言う問題はあると思います。
奇しくも大ちゃんが言葉を濁した中にあります(?本当はどうかな?)


「そこに・・・タイミングよく・・・タイミングよくでもないか(笑)」

本当の意味はわからない「よくでもない」
でも、ロシア人だったというのは大きな意味があったように思います。


 
 
 
 


 





あるブロガーさんは、ニコライの選手に対する姿勢に疑問を呈していました。
選手をちゃんと支えるか、と。
私が抱いている不安をズバリ、と言ってくださりました。






で、私はそのことについてコメントを書きました。
ニコライに客員教授でいて欲しい、と。





勝負。




大ちゃんは、ニコライに対してこの言葉を使いました。
私は、この言葉通り、大ちゃんはニコライに今の自分をさらけだしに行くのだろうな、と思いました。
それは、あくまでも支えてもらうためでなく、客観的に見てもらう為に、と思っています。




でも、そこには正直言えば、センチメンタルな面があるかもしれない。



でも、そこに引きずられない強い思いが今の大輔にはあると思います。



ソチで優勝。



馴れ合ってなんかいられない、伸るか反るか、4年に一度の大勝負。



そのためにはこの1年が「勝負」するいい年かもしれません。
直前でなくて。



優しいだけでない、GREEDYな大輔。



秘めた闘志に私は強く惹かれます。











そのためにも自由でいて欲しい。












IFSの記事の中の大輔。


“I will try my best and ask that the fans support me until Sochi.”


大丈夫。
私(私たち)は大ちゃんを支えます。

だから、安心して、進んで!








 


今は、それしか言えません。












今日のBSのDOI、見ました。
大画面での大ちゃん。
終わったら、号泣していました。

大ちゃんに会いたい!

氷上の大輔に会いたい!

そして、トークショーで言えなかった言葉を言いたい!







ソチまで付いて行きます!














あなたの道はあなたのものだから、自由に、あなたの思うように進んで欲しい!










この言葉で一区切りつけようと思います。












































長々と読んでくださってありがとうございます。

これから一週間、忙しくなるので、あまりアップがないかもしれません。
一個ぐらいしたいですけどね。
でも、本業の仕事、正念場なので頑張ろうと思います。
コツコツと。