だいぶ、いろいろなコラム記事がたまってきました。
四大陸のものもあるかな? ふ、古すぎ!
コラムは、ニュースと違ってコラムニストの意見なので、ついつい、後回しにします。
と言っても、読むのはオンタイムで読んでいるんですよ、一応。
ただ、記事にするのが遅いだけで。
だから、記録用です、私の場合。
で、今回は、私の好きなコラムニストの田村明子さんの「フィギュアスケート、氷上の華」です。
無敗王者のチャンを下した高橋大輔。2年ぶりに取り戻した自分への信頼。
http://number.bunshun.jp/articles/-/220101/
音楽の残響が消えないうちに、観客席がわっと膨れ上がったように見えた。8千人の観客が、いっせいに立ち上がったのである。
よし、勝った。
リンクの中央で、満場のスタンディングオベーションを受けている高橋大輔の姿を見ながら、そう確信した。
4月19日から4日間、代々木競技場第一体育館で行われた第二回フィギュアスケート世界国別対抗戦。チームキャプテンの高橋大輔が率いるチームジャパンが、みごと初優勝を飾った。選抜された6カ国の代表が競った中、鈴木明子、高橋大輔はともに現世界チャンピオンを退けて1位となった。
絶好調のチャンに16ポイント差をつけた高橋の快挙。
中でも高橋はSP、フリーともにノーミスの演技を見せ、過去2年間ほぼ不敗を誇っていたカナダのパトリック・チャンをついにやぶった。わずか2カ月前の四大陸選手権では、30点近い点差をつけられた相手である。
「ほとんど希望のないところから近づけていって、勝ったのは自信につながります」
高橋がそう感想をもらしたように、絶好調のチャンは驚くほどの高得点を出し、一時はもう誰もチャンに勝つことができないのではという印象すら与えてきた。
だが今回、高橋はそのチャンに最終的に16ポイントほどの点差を付けた。彼がチャンをくだしたのは、2010年トリノ世界選手権以来、2年ぶりになる。
「演技のできのわりには、得点が出過ぎ」と謙遜する。
SPで高橋は4回転トウループ、3アクセル、3ルッツ+3トウループをきれいに成功させて94.00というISU史上の最高点を叩き出した。
「思ったよりも点が出て、びっくりしました。演技のできのわりには、出過ぎ。日本開催だから、おまけかもしれませんけれど」
そう照れながら口にしたのは、いかにも謙虚な高橋らしい。同時に、アスリートとして彼が掲げている理想の高さを物語っている。
だが高橋は、4回転を跳ばなくても絶好調のときには90点を出してきた選手である。彼の高い表現能力に4回転が加わったことで、94.00という評価が出たのは当然のこと。「出過ぎ」などと言わずに、もっと堂々と受け止めていいと思う。
3アクセルを転倒したチャンの得点こそ出過ぎだが……。
一方SPで2位スタートとなったチャンはこうコメントした。
「4回転は今季最高のできでした。今シーズン最高のスコアが出て嬉しい。アクセルはちょっと失敗したけど、まあそういうこともあります」
3アクセルを転倒したのに89.81を得たチャンこそ出過ぎだったのではないかと思うが、本人はけろりとしてポジティブな姿勢である。もともとそういう性格なのか、あるいはポリシーとして否定的なことは言わないと決めているのかはわからない。
高橋も自分の「出過ぎ」という言葉が翌日スポーツニュースのヘッドラインになって報道されたのを目にし、思うところがあったのだろう。翌日のフリー後のコメントのニュアンスは、だいぶ変わっていた。
「自分を信じることができるようになりました」
「今シーズン、自分の滑りに自信がなかったところからはじめた。4回転も決して調子が良かったわけではない。でもこの緊張感の中で自分なりの演技をできて、自分を信じることができるようになりました」
フリーの演技後、高橋大輔は、晴れ晴れとした表情でそう語った。
いい感じに力の抜けた、すばらしい演技だった。同じテンポが最後まで続くブルースは、選手を助けてくれる曲の盛り上がりもなく、決して滑りやすい音楽ではない。だが高橋はジャンプ、スピン、ステップとすべて完璧にこなしながら大人の男の色気を最後まで表現しきった。
フリー182.72、総合276.72。2008年の四大陸以来、怪我をしてから初めての自己記録更新である。しかも5コンポーネンツでは9点台が揃い、トランジションで同点以外、すべてにおいてチャンを上回った。
「自分の演技をきちんとやれば、ジャッジは点を出してくれるとわかった。自分のスケートに対する自信を取り戻すことができたシーズンになりました」
いつもの強さを発揮できなかったチャンだが、素直に勝者を讃えた。
一方、チャンはさすがに少し青ざめて沈んだ表情で記者たちの前に現れた。
2度目の4回転で転倒し、珍しく回転不足に。SPで失敗した3アクセルは回避してついに挑まずに演技を終えた。これまでにも細かいミスはあったチャンだが、今回は全体を通して彼らしい強さが感じられなかった。ニース世界選手権後、突然コーチとの師弟関係の解消が発表され、現在宙ぶらりんな状態であることも影響があったのかもしれない。
連勝を続けてきたチャンにとって、1位以外の結果というのは違和感があるのでは、と聞いてみるとチャンはこう答えた。
「正直に言うと、ちょっと違和感はある。でも連勝記録を伸ばすことを目的に滑っているわけではありません。試合だから、勝つこともあれば負けることもあります」
いつもより元気がなく、目の光が弱かった。それでも今シーズンずっと同じ表彰台に乗り続けてきたライバルを讃える余裕を見せた。
「ダイスケはずっと今シーズン、口にしていた目標(SP、フリーで4回転を成功させること)をきちんと達成して見せた。自国開催プレッシャーの中で、あれほどの演技ができたのは観客のためにもすばらしいことだったと思う」
来季の大勝負はチャンの地元・カナダのオンタリオ州で。
もっとも、来季は地元開催のプレッシャーと後押しを受けるのはチャンの番だ。
来シーズンの世界選手権は、カナダのオンタリオ州ロンドンで開催される。五輪前年の世界選手権という大切な大会で、日本の選手たちは最大のライバルの地元に乗り込み、いわば「敵地」で戦わなくてはならない。チャンがそこでいい滑りを見せたなら、ジャッジはさぞかし気前よく点を出すことだろう。
高橋も、そのことをよくわかっている。
「気持ちを緩めないようにしないと。今回はパトリックがパーフェクトに滑った中での勝利ではないので。二人ともパーフェクトだったらやはりまだ彼が上にいくと思う。来季はフリーで4回転を2本入れていきます」
試合の翌日、高橋はそう語った。
チャンに勝利したことで来季のジャッジにも好影響が!?
この国別対抗はまだ開催2回目の団体戦でもあり、さほど重要な大会ではない。だがここでチャンに勝ったという実績を作ったことで、高橋は来シーズン、精神的にも対等な立場で戦いに挑むことができるだろう。国際ジャッジも「あのチャンに勝った高橋」という目で彼を評価するようになる。
その一方、久しぶりに2位に甘んじたチャンも、気合を入れて再調整に取り組んでくるに違いない。たとえチャンが完璧に滑っても負けたくないと思うのなら、高橋が言うようにフリーで4回転を2度入れることは、必須条件となる。
ソチ五輪まで、あと2年をきった。来季も熾烈な白熱戦が期待できることは間違いない。
http://www.asahi.com/sports/gallery/2012figure_country/20120420020.html
お写真は、別の記事よりシェアさせていただきました。
だが高橋は、4回転を跳ばなくても絶好調のときには90点を出してきた選手である。
仰る通りだと思いました。
オリンピックもそうでしたよね。まあ、オリンピックはちょっと特殊かもしれないけど。
私は、あんまり得点にこだわらないんです。
だって、ジャッジは毎回変わるから。大会によって、高く出る時もあれば、低い時もありですから。
でも、選手の励みになるから、本当に良い演技の時はドーンと出てほしいと思います。
今回の国別のジャッジは、どうなんでしょうね?
大ちゃん自身は「シェイキー」なステップに理想が遠かったようで、「出過ぎ」と言ってました。
私は、はじめ観た時、全然、気付かなかったのですが。
でも、全日本やWFCでステップの途中で微笑んだのに、今回はそれがなかったので、あれ?とは思いましたけどね。
でも、集中してるのかな、と思ってあまり気にしませんでした(^^ゞ
あとで、わちゃーとなっていたと聞いてそのせいか、と思いました。
でも、このSPは4回転も入っての完璧は全日本だけで、その全日本よりは、点数、出ていません。
ま、国内選手権は参考記録で公式記録にならないんですけどね。
だから、理想の高い大ちゃんが「出過ぎ」と言う気持ちもわかりますが・・・
3アクセルを転倒したのに89.81を得たチャンこそ出過ぎだったのではないかと思うが、本人はけろりとしてポジティブな姿勢である。もともとそういう性格なのか、あるいはポリシーとして否定的なことは言わないと決めているのかはわからない。
え! 田村さんもわからないの?・・・性格なのかポリシーなのか。
うーん・・・田村さんならパトリックの事、わかるかな、と思ったんだけど。
でも、パトリックの点数、特にPCSは、どんなに転倒しても高いんですよね。
そこは、正直、私も「出過ぎ」と思いました。
特にFSでそう思いました。
これまでにも細かいミスはあったチャンだが、今回は全体を通して彼らしい強さが感じられなかった。ニース世界選手権後、突然コーチとの師弟関係の解消が発表され、現在宙ぶらりんな状態であることも影響があったのかもしれない。
特にFSで、と思ったのは、現地で観てて、パトリックに元気がなかったように感じたからなんです。
演技終了後、思わずつぶやいたくらい。
「元気なかったね、パトリック」
この時、私はパトリックのコーチの辞任を知っていました。
行く前のブログにも、その記事は上げていきました。
そのせいかな、元気ないのは、と思いました。
もっとも、新しいコーチは就任していたらしいです。
それは、Japan Skatesの記事でわかりました。
http://japanskates.com/forum/viewtopic.php?t=83&sid=70cd0fb34afea3c2dabb7866057fe82b
- コーチ変更について
突然のことだったと思いますが、もちろん、Christy(前)コーチにはすごく、すっごくよくして頂いていました。
4Tも教えて下さいましたし、先生の教えがなければ、4Tも降りていないし、技術も向上していなかったと思います。
ただ、スポーツ選手というものは、進歩を望むものなんです。同じところに留まらず、さらに上を目指すものです。
プログラムに関して言えば、「これでやり尽くしている」という訳ではありません。
技術的にも、ジャンプとトランジションを融合させて行かなければ。
『ジャンプとトランジションは分かれてはいないんです。』実際にはそれらはひとつのエレメントで、それらを「どうやったら一枚の布のように見せられるのか」、そのことに注力しています。
ただのジャンプでは、意味がありません。
ジャンプからジャンプへと移って行って、飛ぶだけという風に見えてしまうと、よいものにはなりません。
Kathy(新)コーチとの練習によってジャンプとトランジションの流れがよくなって、トランジションがジャンプの中に織り込めるようにもなると思います。
それは、キャシーコーチに教わって来たことでもあります。
この「スムースなトランジション」という自分のスタイルにとても満足しています。
このインタビューはSP後のものですから、間違いないでしょう。
ただ、キャシーコーチについては、同じ記事で太田由希奈さんのものが載っています。
* 昨夏の Japan Skates インタビューで、
太田由希奈さんが、キャシー・ジョンソン(Kathy JOHNSON)さんについてお話し下さっていました。
http://www.japanskates.com/interviews/Depth/Yukina_Interview_jp.htm
(略) モダンバレエの先生が、キャシー・ジョンソンさん (ジェレミー・アボット選手、パトリック・チャン選手のダンスコーチ) というとても魅力的な方で、コロラドで練習していた選手や、今トップにいる選手達も、皆慕っていて。本当に素晴らしい先生なんですよ!演技の仕方と同時に、表現とはどういうことか、ということも教えて下さって。それから、例えば、挨拶の時、生徒達が目を合わせないで「hi⋯」みたいなかんじだと、それをすごく怒ってくれたり。「私が入って来て、挨拶もなしにただただ音楽をかけていては、気分が悪いでしょ!」って。海外では個人主義で、そういうことを教えてくれる先生というのは、あまりいなかったから。その先生は、そういう面もしっかり教育されていて。だから、合わない生徒もいたと思いますが、私は先生がすごく好きで!
この記事のよると、もともと、パトリックのダンスコーチをしていたようですね。
演技、表現力のコーチ。
人間教育もされるのかな?
でも、その流れで正コーチをされているのかどうかは、はっきりしません。
それよりも、前の正コーチ、クリスティコーチから辞任を言われた事はショックだったのかもしれません。
「驚いた」と報道では書かれていました。
それが本当なら、ショックだったんだろうと思いました。
あと、モチベーションの問題もあったみたいですしね。
ある意味、不調、というのは事実だったと思います。
いつもより元気がなく、目の光が弱かった。それでも今シーズンずっと同じ表彰台に乗り続けてきたライバルを讃える余裕を見せた。
「ダイスケはずっと今シーズン、口にしていた目標(SP、フリーで4回転を成功させること)をきちんと達成して見せた。自国開催プレッシャーの中で、あれほどの演技ができたのは観客のためにもすばらしいことだったと思う」
このパトリックの言葉。
大ちゃんをリスペクトしていると思います。
目標を達成して見せた事。
自国開催のプレッシャーの中で素晴らしい演技が出来た事。
この二つ目の「自国開催のプレッシャー」というのが、引っ掛かりました
パトリックって、自国開催の時、そう感じているんだな、と。
大ちゃんは、逆だからね。
声援をパワーに換えちゃう。
そう言うパトリックだって、GPファイナルが今回カナダで、そこで優勝しているんですけどね。
どうなんでしょうね。
自国開催を、楽しんで自らのパワーに換えられるか、それとも、苦しいプレッシャーと感じるか。
そこに来季の世界選手権カナダ・ロンドンの優勝が、かかってくるようにも思います。
チャンがそこでいい滑りを見せたなら、ジャッジはさぞかし気前よく点を出すことだろう。
高橋も、そのことをよくわかっている。
大ちゃんは、開催国の選手は、いい得点を出してもらえる、と感じているようです。
たしか、前の記事にもそんな事が書いてありました。
『ワールドフィギュアスケート』にもこう書いてあります。
田村「でも今季、男子で最も高い演技構成点(PCS)を出したのは高橋さんのNHK杯のスコアでした。」
高橋「あれはまあ日本ですから。(苦笑)」
田村「それを言うなら、ここはカナダです。(笑)やはり開催地というのは、影響しますか?」
高橋「そうですね。やはりお客様の声援とかも違いますし。テクニックはともかく、演技の面では影響を受けますね。(後略)」
(『ワールドフィギュアスケート』No.51(新書館) GPファイナル後の田村さんのインタビューより)
演技面での影響を受ける。
大ちゃんらしい、と思いました。
心で演技するパフォーマーですから。
あの、声援を見事に自分のパワーに換えて演技を充実させるんですね。
今回の国別のFSは、まさにそんな感じでした。
もっとも、これは大ちゃんの感じ方であって、全ての選手がそうとは限らないと思います。
自国だから、がんばらなきゃ! と緊張しすぎてしまう場合もあると思います。
だがここでチャンに勝ったという実績を作ったことで、高橋は来シーズン、精神的にも対等な立場で戦いに挑むことができるだろう。国際ジャッジも「あのチャンに勝った高橋」という目で彼を評価するようになる。
日本だけでなく、世界中の大会に足を運んで記事を書く田村さんの言う事だから、国際ジャッジの目に期待したいですね。
ここからは、私の妄想です。
ちょっとずれますが、大ちゃんの演技、今までの評価が低く見られていたとしても、
大ちゃん自身は、それすらも前へ進む力にしていたと思いたいです。
なぜかと言えば、大ちゃん自身がそういう状況を、一番のモチベーションにしたんじゃなかな、と思うからです。
『SouL Up』の中に「嫉妬が原動力」というページがあります。
僕の原動力になっているのは嫉妬ばかり。嫉妬心に負けず嫌いの火がつくと確実に張り切ってしまう。僕にとっては「勝ちたい」と思うより「見返してやる」のほうが気持ちを強く持ちやすい。
期待されることは嬉しいけれど、期待してくれていることは応援してくれているということだから、その時点で甘えてしまいそうになる。テンションは上がるけれど気持ちの面では甘い世界に入ってしまう。
それよりも、なんか高橋ってイヤだね、見たくない、あいつきっとダメだね、と言われていると、クッソー、参ったと言わしたる!と火がつく。悪口を言われているとテンションは下がるけれど、負けじ魂が燃えて、そう言ってる人を振り向かせたくなる。それが僕の原動力。
もちろんずっと悪口を言われ続けたら鬱になってしまうけれど、たまにはそういうスパイスはあったほうがいい。
嫌いでもいい、好きになってくれなくていいから、参ったと言わせたい。
『SouL Up』(祥伝社)P.92~
「負けじ魂」
ずっと燃えていたんじゃないかしら。
スコアに対して。
もし、そうだとしても、こういうWildHeartな大輔も好きです。
私の妄想です m(_ _)m
さあ、来季の世界選手権、どんな争いになるのでしょう?
大輔とパトリック。
なんだかんだ言っても、お互い、好敵手に間違いありません。
二人が、どんなプログラムを作ってくるか、楽しみです。
ちょっと関連するお写真も。
多分、FS後のミックスゾーンのパトリック。
バンケでのツーショット。