あずきの洞窟

あずきの洞窟

洞窟に光がさしたときだけ、日記を書きます。

あずきです。

Amebaでブログを始めよう!

原作がいいから、よくなるのは当たり前だろうか。

原作を読んだ人にとっては、特に映画としての驚きがない作品となっている。

かといって、つまらないわけではなく、でも原作に忠実なので、ストーリーとして意外性もなく。

特筆すべき点としては、原作の再現力だろうか。キャラもよく似ており、カットも原作を忠実に

再現している。

できれば、堤監督にはオリジナル脚本でとってほしかった。


ある思い出を覚えている人もいれば、まったく覚えていない人もいる。人の記憶の曖昧さは相当なものだ。

「ともだち」は、自分という目立たない、記憶に残らない存在を思い出してもらいたいということが

動機の発端だったのかもしれない。

コミックは途中で挫折したので、誰が「ともだち」なのか、実はしらない。

それだけに、映画の後編の方が、より楽しめるだろうと思っている。






人が旅に出る理由はいくつかある。

現実逃避、ご褒美、自分探し。


主人公の彼は、物質的な欲、人とのつながり、社会のルールといった全てのしがらみから

解放されるために旅にでた。

アラスカでひとり、自然と対峙し、自分と対峙する生活を始める。


誰しも、そういった旅へのあこがれは抱きつつも、自分をとりまく日常の枠のなかで、なんとかやっている。

でも彼は違った。

なぜ彼は違ったのだろう。


彼は、若すぎたのかもしれない。

彼にとって社会はあまりに退屈だったのかもしれない。

もしくは、彼を取り巻く現実は、あまりに彼を傷つけたのかもしれない。

彼にとって、社会が規格外だったのかもしれない。


私の知人で、人の死を「あがり」と呼ぶ人がいる。

現世で、やるべきことをすべてやることで、人は「あがる」ことができる、という考え方だ。


主人公は、旅立つ前にあがってもよかったのかもしれない。

価値があるものとされている、お金、社会的地位、家族、人間らしい暮らし、そういったものに

価値を見いだせなかったのだから。


でも、彼は、ひとつの答えに気付くことで、あがることになる。

完全なる孤独のなかで、幸せとは何か、を悟る。


きっと、彼は生まれ変わって、幸せを誰かと分かち合っていることだろう。

そう考えないと、やりきれない。


ショーン・ペン監督の才能と情熱に拍手。

今年度私的no.1作品となるだろう。