メゾソプラノのテレサ・ベルガンサは、ソプラノのミレッラ・フレーニととても仲良しで、フレーニの二度目の《蝶々夫人》録音のときは、頼まれてスズキ役で参加したそうです。

スズキが歌い始めるあの早口のシーン、他の人とはまた違う解釈で、聴き惚れます。淡くて繊細、その中から優しさが滲み出るのです。自然と。

ソプラノのフェリシティ・ロットは、フランス語を勉強して《ルイーズ》に主演しましたが(その公演はテレビ放映されました)、母親役のメゾソプラノ、ジョスリーヌ・タイヨンが、娘を𠮟りつけるシーンで「タイヨンさんったら、本当にぶつのよ!痛かったわ」とこぼしておられました(!)

テノールのフランコ・コレッリは、スカラ座でヘンデルのオペラに出ることになったとき、共演者のバス、ジェローム・ハインズと背の高さを競うべく、ある日シークレット・ブーツを用意して履いてみたら、ハインズも次の公演時にもっと高いブーツを履いてきたという、可笑しいエピソードが残っています。

人間同士のやりとりなので、そういう面白さも生じます。

このほか、日本でも有名なあるプリマドンナが、イタリアでの舞台のカーテンコールの時、共演者のバリトンから罵られた話も聞きました。

これは、そのプリマドンナが演技にも熱心で、ついつい、いろんな動きをしてしまうところ、相手役のバリトンさんが、その動きに即興で合わせねばならず、稽古の時よりも歌に集中できなかったということで怒髪天を衝くことになってしまったのだそう。

満員の客席を前に、怒鳴られ続けたプリマドンナも可哀そうかな・・・と思いながら、私はそれを一つの教訓にもしているのです。

そういえば、日本の高名なバリトンさんが嘆いておられました。

「学生の中で、フレーニも知らない人が出てきた。そういう世代でしょうか?」




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北陸地方の震災の義援金について、新しいお知らせが出ていました。

https://www.jrc.or.jp/domestic_rescue/2024notoearthquake.html

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WCARS(一般社団法人国際総合芸術研究会)のブログです。ご参考まで。
https://ameblo.jp/2022wcars/