オペラ史黎明期、カストラートはまだ脇役に甘んじていて、男声主役はテノールが一般的でした。

(いつ頃からカストラートがのしてきたか、調べてみると興味深いですよ)。

その後、バロック・オペラ全盛期では、テノールは大体「主役の弟」ぐらいの役柄がほとんど。

しかし、ヘラクレスのようなマッチョな役柄だと、テノールが主役になるケースがありました。

カストラートがオペラの舞台から姿を消すと、ロッシーニがいきなり、2人の主役級テノ―ルを1本のオペラに起用する例を出してきます。《湖上の美人》《アルミーダ》(2人どころか・・・)《オテッロ》などなど。

ロマン派になると、いまの我々がイメージしやすいテノールの起用法になります。

でも、ドニゼッティの《愛の妙薬》のように、主演者がおずおずとした朴訥青年なので、最高音がテノールにしては低いという例も現れます。これは本当にドニゼッティの慧眼ぶりを実証する好例でもあるのです。

そして、フランスが誇る歌手界の巨星、ジルベール・デュプレが《ランメルモールのルチア》で歴史を変え、ロッシーニの体調を悪くさせ(!)、いまの「フルヴォイスでハイCを出す流れ」へと一気に切り替えるのです。噂になれば、皆、真似して追随しますからね。

ちなみに、フランスは、昔から第2テノールの起用が結構あります。脇役ながらアリアもあって、存在感が大きく、演じ甲斐があるのです。《悪魔のロベール》のランボー、
《フラ・ディアヴォロ》のロレンゾなど。



一方、イタリア・オペラで第2テノールというと、アリアは殆どない。ヴェルディの《オテッロ》のカッシオにしてもアンサンブルだけです。

でも、プッチーニには一作、第2テノールが大活躍の演目があります。演じるのに結構難しい役でもあります。歌いぶりも所作も、しなやかで洒落ていないといけない。探してみて下さい。

なお、ドイツ・オペラでは結構、第2テノールが使われています。

《魔笛》のモノスタトス、《ニュルンベルクのマイスタージンガー》のダーフィトや《サロメ》のナラボートなど、思いつきますね。

★ ★

北陸地方の震災の義援金について、新しいお知らせが出ていました。

https://www.jrc.or.jp/domestic_rescue/2024notoearthquake.html

★ ★ ★
WCARS(一般社団法人国際総合芸術研究会)のブログです。ご参考まで。
https://ameblo.jp/2022wcars/