フランスの文豪フロベールが生み出した架空の人物、サランボー。
古代のカルタゴを守る巫女さんです。敵の首領マトーと恋仲になるが、最後は悲劇で終わります。

ちなみに、あの将軍ハンニバルの父親が、彼女の実父という設定です。
となると、サランボーはハンニバルの姉か妹になりますが(異母きょうだいかも)、ハンニバルは実在の勇将。サランボーはフローベルの筆から生まれたキャラクターです。

このサランボーの物語は、何回かオペラ化されています。ムソルグスキーも未完の作品を遺していますが、有名なのはエルネスト・レイエールがブリュッセルで世界初演したグラントペラ様式の全5幕の大作オペラ。《Salammbò》と綴ります。

2008年にこのオペラが蘇演され(マルセイユにて)、ラジオ放送されました。

仮のデータのつもりでエアチェックしておいたら(死語ですが)、いつまでたっても商業発売されません。自分の研究用の貴重な音源になりました。

ちなみに、原作者がフローベルなのかフロベールなのか、結構迷いますが、いま、この私蔵音源を聴き直していたら、ラジオ・フランスのアナウンサーの人が「フロベール」と発音。オペラの題名は「サランボ」「サランボー」と入り乱れています。

ところで、なんで、こんな知られざるオペラをいきなり思い出しかというと・・・《アイーダ》を観たこの日、批評文用のメモを自宅で整理していたら、作曲家レイエールのことを思い出したからでした。

レイエールは、批評家でもあったので、《アイーダ》初演の際にカイロまでわざわざ行き、貴重な観劇文を遺しています。以前、新国立劇場さんから頼まれて、その辺りの話を文章にしたことがありました。

名作誕生の裏には、知られざる人の働きが結構な量で存在するものです。

なお、いま、you tubeを検索してみたら、《サランボー》の断片的な音源がいくつか出てきました。一つ、紹介しておきます。主演のケイト・オルドリッチ(アルドリッチ)が素晴らしく雄弁です。



拙宅で所蔵している楽譜の中表紙も。



この楽譜の所蔵番号も29番だから、サラリーマン時代に出張先で買っておいた一冊でした。

文章内で言及するのは、今回が初めてかもしれません。35年ぶりぐらいでも、ちょっとでも陽の目を見せられて良かったのかな。


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北陸地方の震災の義援金について、新しいお知らせが出ていました。

https://www.jrc.or.jp/domestic_rescue/2024notoearthquake.html

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WCARS(一般社団法人国際総合芸術研究会)のブログです。ご参考まで。
https://ameblo.jp/2022wcars/