講演会でプッチーニの《マノン・レスコー》をご紹介したところ、本当にさまざまなご意見&ご感想を頂きました。

マスネの作品とは場面構成が違うのですが、プッチーニの出世作ならではの旋律美はそこかしこに。

ただ、来場者の方の御質問にもお答えしたのですが、その旋律美がもっと繋がってゆくのが、《ラ・ボエーム》以降の名作群になるのだと思います。

また、帰りの電車の中では、オッフェンバックの《ホフマン物語》に関する話題も出ました。

今度、新国立劇場さんでバレエの《ホフマン物語》を上演されるので、そちらに関しても。今回は私自身にも仕事のご用命がありました。

そこで、ある受講者の方が
「オペラの《ホフマン物語》は、女性の3役が一人一人違う方がいいですね」
と仰ったのですが、
私自身は、
「声楽的完成度から言えば、違う歌手が1役ずつ担当した方がよいのでしょうが、ドラマの面からは、あのオペラは、出来る限り兼役するように書かれているんです。高校生の時の私も、ザルツブルク音楽祭のプロダクションが、兼役で上演された ー ソプラノ4役を一名(エッダ・モーザー)で、メゾ2役を一名(アン・ハウエルズ)で、従者4役を一名(レミー・コラザ)で、敵役4役を一人で(ヨセ・ファン・ダム)。他の役もナタナエルとスパランザーニを兼役で、ヘルマンとシュレミルを兼役で、ルーテルとクレスペルを兼役でやった ー ので感動して、楽譜を輸入までして買ったんです。あのオペラは、人間にいろんな面があるということの集合体のような作品なので、私は兼役しないプロダクションは好みません」
と返答させて頂きました。

楽譜を読めば、そのことがより分かるはずです。キャスト表自体もそうなっていますしね。それは、作曲家や台本作家たちの「思想&コンセプト」の象徴なのです。



でも、実際的には、独りでやれる人はそう多くありません(ソプラノ3役もしくは4役に関して)。パトリツィア・チョーフィは素晴らしかったですが。

上に挙げた画像は、《ホフマン》のアルコーア社版のキャスト一覧です。出版社側の都合でドイツ語表記になっていますが、譜面本体にはフランス語のテクストが独語訳と併載されています。



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北陸地方の震災の義援金について、新しいお知らせが出ていました。

https://www.jrc.or.jp/domestic_rescue/2024notoearthquake.html


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WCARS(一般社団法人国際総合芸術研究会)のブログです。ご参考まで。
https://ameblo.jp/2022wcars/