同じ名前のオペラといえば、ロッシーニの《セビリャの理髪師》と、先輩パイジェッロの《セビリャの理髪師》がまず挙がりますね。



こちらはパイジェッロの曲です。

また、ヴェルディとサリエリとバルフの3人も《ファルスタッフ》というオペラを書いています。同じ題材ならニコライの《ウィンザーの陽気な女房たち》も並びますし、ヴォーン=ウィリアムズも《サー・ジョンの恋》を書いています。



こちらは、サリエリの作から。

ところで、実は、先日、モーツァルトの《フィガロの結婚》について書いていて、思いだしたことがありました。

もう一つ、全く同じ題名の《フィガロの結婚》というオペラを書いた人がいるのです。

一般的には殆ど知られていない作曲家ですが、オペラ事典には1ページほどの記述があるので、注目しても良い人だと思います。

こちらの「もう一つの《フィガロの結婚》」の上演歴を調べたところ、出てこない!

楽譜がどこにあるのか、それから調べて行かねばなりません。

まあ、あと数十年ぐらいやっていれば、誰かの研究論文も読めるのでは?と思いますし、自分でその楽譜を手にすることがあるかもしれません。

同じ題材のオペラを比較すると、本当に面白いのです。作り手それぞれの視点がよりはっきりして。グノーの《ロメオとジュリエット》とベッリーニの《カプレーティとモンテッキ》のように、原作が同じではない ー しかし題材としては同じ ー 場合も非常に興味深いですよ。 

★ ★ ★
告知の投稿です。

一般社団法人国際総合芸術研究会(WCARS)製作の「オペラ研究家岸純信が語り下ろすDVDシリーズ」の二つのラインナップが、お陰様で第3巻が、Amazonで発売開始となりました。

『オペラ講座第3巻 ‐ 17世紀のオペラⅠ』は、教科書『簡略オペラ史』第1章の内容を映像で補充、解説するものです。楽譜が遺る最古のオペラ、ペーリの《エウリディーチェ》から、モンテヴェルディの名作群など、楽譜を手元に置きながら語っています。



著作権の関係で、オペラの映像や音声は使用できませんが、キーボード等で即興的に音型を演奏するなども含め、すべて、岸純信が画面に向かって語り下ろしています。ジャケットのポートレートは、19世紀の大ソプラノ、ジュリー・ドリュス=グラ(オペラ史上の大歌手10名のうちの一人)のイラストです。

続きまして、
『オペラ徹底解説』シリーズ、新発売の第3巻はプッチーニの《蝶々夫人》。こちらは、有名オペラ1作を徹底的に語りつくすもので、岸純信の語りに加えて、会員有志のナレーション、及び歌詞のセリフ朗読(抜粋)が入ます。



また、巻末には、マリア・カラスの《蝶々夫人》スタジオ録音(1955年)から10分間弱の抜粋を、附録音源として収録しています。本当に光栄なことであり、マリア・カラス財団さんにも改めて感謝申し上げます。

価格は、『オペラ講座第3巻』『オペラ徹底解説《蝶々夫人》』のいずれも、消費税10%込みで3850円になります(送料が適宜かかると思います)。

(DVDの複製や、DVD内の画像や音声、映像等の外部へのアップロードは著作権の侵害になります)。

これらの、DVD2シリーズは、今後も続々と発売の予定です。パッケージデザイン、映像の編集、ナレーションなど、当会の会員諸氏がそれぞれ得意分野を担当しています。手作りのDVDですが、皆様に広くご活用頂ければ幸いです。

既存の4品(オペラ講座第1巻&第2巻、オペラ徹底解説《椿姫》《カルメン》)と併せて、ご興味おありの方、どうぞよろしくお願い致します。