先日、ブログでちらと触れたマリア・ユーイングの《ラ・チェネレントラ》の録音を久しぶりに聴いてみました。

コロラトゥーラをバルトリのように敏速に歌うという感じではないのですが、ロッシーニを歌える喉はしっかり持っていて(《セビリャの理髪師》の映像もあります)、かつ、声が滑らかで適度な濃度もあるので、聴いていて非常に心地よい。

第1幕の王子様との出会いの二重唱では、本当に、パッセージごとに声が花開くという感じで、しみじみと聴き入りました。

実は、楽屋裏では気が荒い時もあるというユーイング。名演出家のピーター・ホールと結婚していたこともあり、いろんな映像が遺っていますが、それらの名演と並ぶぐらいに麗しい歌です。

ロッシーニのオペラには華々しさ(セミラーミデのアリア)から可憐な響き(《結婚手形》のソプラノのアリア)、それに逞しさ(《ギヨーム・テル》のアルノールのソロや《マホメット2世》の登場のアリアなど)などいろいろありますが、《ラ・チェネレントラ》の上記の二重唱は、「ほのぼのとした優しさとメロディの潤い」で群を抜く素晴らしいもの。この作曲家が「内省的な音運び」を書くとどうなるか、という見本です。

童話オペラの良さって、こういうところにあるな・・・と改めて、オペラの滋味を思う。

そういえば、明日というか今日の土曜日は、別の童話オペラの解説を書いたので見に行くことに。言わずと知れた、《ヘンゼルとグレーテル》です。この演目の解説をプログラムに載せるのは、これで3回目。本当に、いろんな種類のお仕事を頂くなあ・・・と実感しています。


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告知の投稿です。

岸純信が代表理事を務めております一般社団法人国際総合芸術研究会(WCARS)より、「オペラ研究家岸純信が語り下ろすDVDシリーズ」として、二つのラインナップを発表し、お陰様で、それぞれの第2巻を、Amazonで10月4日より発売開始いたします。

まず、
『オペラ講座第2巻 ‐ 人々の接し方』は、岸純信著の大学生向け教科書『簡略オペラ史』第1章の内容を映像で補充、解説するものです。著作権の関係で、オペラの映像や音声は使用できませんので、すべて、岸純信が画面に向かって語り下ろしました。オペラ史を考える上で必要な文献類、楽譜等については、その表紙などを画面で紹介し、皆様にご案内しています。マリア・カラスの有名なパリ・デビュー(1958年)の際の逸話も盛り込みながら、社会とオペラの関連性について追究されたい方に御覧頂くべく語りました。ジャケット上のポートレートは、作曲家マイヤーベーアのイラストです。


オペラ講座第2巻

続きまして、
『オペラ徹底解説』シリーズ、新発売の第2巻はビゼーの《カルメン》がテーマです。こちらは、有名オペラ1作を徹底的に語りつくすものでして、岸純信の語りに加えて、ナレーション及び原作戯曲のセリフ朗読(抜粋)が入ます。また、巻末には、マリア・カラスの《カルメン》スタジオ録音(1964年)から10分間弱の抜粋を、附録音源として収録しています(本当に光栄なことです)


オペラ徹底解説《カルメン》

ちなみに、この《カルメン》では、普段、岸純信が曲目解説を書く際に参照する楽譜や論文類を纏めて紹介しています。皆さまのご参考になれば幸いです。

価格は、『オペラ講座第2巻』『オペラ徹底解説《カルメン》』のいずれも、消費税10%込みで3850円になります。Amazonでご注文いただいた場合は、送料が適宜かかると思います。ご注文の際にご確認下さい。

(なお、勿論のことながら、DVDの複製や、DVD内の画像や音声、映像等の外部へのアップロードは著作権の侵害になりますので、その旨添えさせて頂きます)。

これらの、DVD2シリーズは、今後も続々と発売の予定です。パッケージデザイン、映像の編集、ナレーションなど、当会の会員諸氏がそれぞれ得意分野を担当しています。手作りのDVDですが、皆様に広くご活用頂ければ幸いです。

下は、ご参考までにオペラ講座第1巻のDVDジャケット。モーツァルトのイラストです。



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こちらは、オペラ徹底解説 第1巻《椿姫》です。



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学生諸君は、大学の生協さんか八千代出版さんでぜひ注文をかけてください。 出版元の八千代出版さんのホームページです。
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