《ドン・パスクワーレ》における調性移動術。

《連隊の娘》でのオペラ・コミック様式への見事な順応ぶり。

《ランメルモールのルチア》や《ラ・ファヴォリート》で脇役たちに与えた独自の音型の存在感。

それに、不世出のテノール、ジルベール・デュプレの高音域の活かし方など・・・

聴けば伝わり、観れば分かり、楽譜と照らし合わせればしっかり把握できるでしょう。

ところで、日常生活で、いろんな食材の美味しさを知りたい向きの人を時々見かけますが、例えばそういう方々に、ドニゼッティのオペラはお薦めです。接するたびに新しい発見があります。セロリとセロリアックの違いを楽しんだり、金柑で素晴らしいお菓子を作ってしまうような人なら、ドニゼッティにより親しめると思います。