ムソルグスキーの歌劇《ボリス・ゴドゥノフ》の名盤が復活し、『レコード芸術』の海外盤レビューに載せるため、原稿を朝から書いていました。

このオペラの主人公ボリス・ゴドゥノフは、1551年頃に生まれ、1605年に亡くなったロシアの僭主です。つまり、まだ、帝都サンクトペテルブルクが建造されていない時代の人なので、オペラの舞台もモスクワが中心になります。

史実とオペラでは異なる点が勿論多いようですが、どちらのボリスも非常に興味深い人物です。

ところで、このオペラの演奏を批評する際、避けては通れぬ一つの楽譜が存在します。

ところが、この楽譜に載せられている言葉は、驚くことに、ロシア語の歌詞ではなく「英語の訳詞」のみ、なのでした。1920年代に作られた校訂譜であり、当時の考え方を偲ばせる意味でも面白いのですが、演奏と照らし合わせるとなると言葉が全然違うので、結構な時間がかかります。うっかり注意を逸らすと勘違いしなけないので。最近では、指揮者のジャナンドレーア・ノセダさんとこのスコアに関する話をさせて貰いました。

上に挙げた録音では、若き日の名歌手たちが脇役で参加していて、アンサンブルが非常に聴きごたえありました。楽才は隠しようもないものなのです。

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ヘルシンキとサンクトペテルブルクの海外鑑賞ツアー、12月25日まで締め切りを延長しています。

www.nippo-tourist.co.jp/kaigai-tour/helsinki_190224.html

フィンランド名物の珈琲とシナモンロール。なんでも、コーヒーの消費率は欧州一とも。



鑑賞するオペラはマスネの《タイス》(オプショナル・ツアー/ヘルシンキにて)を、バレエはアダンの《ジゼル》(サンクトペテルブルク)になりますが、サンクトペテルブルクでは、マリインスキー劇場内の3ホールで、ほかにもたくさんオペラやバレエのオプショナル・ツアーを組むことが可能です。マリインスキー劇場はなかなかキャスティングを発表しないのですが、ショスタコーヴィチの歌劇《ムツェンスク郡のマクベス夫人》など、大指揮者ゲルギエフが登壇します。




ロシア名物ニンジンケーキ。ロシアでは貴族層の嗜みに影響されて紅茶が人気です。



北国の人々の温かいもてなしと、オペラ最先端の街の一つでもあるヘルシンキとサンクトペテルブルクの上演水準をぜひ味わってみてください。定時運航に定評あるフィンランド航空を使います。